エムエスツデー 2019年7月号

お客様訪問記

IoT用端末 データマル®を用いた自動計測で、
温泉設備の見て廻り手書きメンテナンスの手間がなくなりました

木もれびの宿 ふるさとの「温泉設備の遠隔監視システム」に採用された データマル®

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は神奈川県箱根町湯本にある「木もれびの宿 ふるさと」を訪問し、同旅館の温泉設備の遠隔監視にご採用いただいた、データマルを使ったシステムについて、「木もれびの宿 ふるさと」の運営元の(有)アネックスおかだ 副支配人 花上 健作 様および監視システムを構築し納入されたアイ・オー機装(株)代表取締役 中村 和之 様にお話を伺いました。

温泉設備の遠隔監視を検討

 [エム・システム技研、以下エムと略称]この度のシステム導入の経緯についてお聞かせください。

 [花上様]毎日、午前11時、午後4時に温泉の湯温度をボイラの温度計を見て確認しています。旅館従業員は全部で7名であり、通常営業日には4名で日々対応しているため、その時間帯に来館されたお客様の接客など、別の仕事で定時には記録できないことがあります。
 また、女湯は女性従業員しか入れないこともあり、手が空いている人なら誰でもよいというわけではありません。ボイラは旅館の外にある機械室の中に置かれているため、中で作業しているときには、お客様がフロントに来ても気付かずお待たせしてしまいます。
 データマルを導入することで見て廻り手書きメンテナンスの手間をなくし、自動計測することによってお客様への対応に専念し、接客サービスの品質を上げることが目的です。

インターネット経由で「データの見える化」

 [エム]今回のシステムの構成をお聞かせください。

 [中村様]設備構成は大きく分けて、ボイラ、ろ過装置、熱交換器、循環配管によって成りたっています。データマルには、給湯温度、男湯・女湯の湯温度およびボイラ・ポンプの運転状態と警報信号を取込んでいます。
 データマルの簡易Webサーバ機能を利用して、各ポンプの稼働状態、湯の温度、ボイラで沸かしたお湯の温度をインターネット経由でスマホ、タブレット、パソコンで「見える化」しています。また、Eメール通報機能を利用して、ボイラ装置の異常警報を関係者にメール通報しています。

 [エム]エム・システム技研製品をお選びいただいた理由は何でしょうか。

 [中村様]データマルは、遠隔で監視を行うために必要なWebサーバ機能、データロギング機能、イベント通報機能などを備えたIoT用端末で、希望していた価格帯に入っていました。また、専用の入出力カード(R8シリーズ)を組合せる構造を採用していて、アナログ入力、センサ入力(熱電対、測温抵抗体)、接点の入/出力などが用意されています。必要な入出力の種類と点数に応じて自由に選定、組合せができるなど増設の自由度が高いところも魅力でした。
 また、エム・システム技研製品は廃形(はいがた)しないので、今後も製品を安心して使い続けることができることも採用した理由です。

 [エム]新しいシステムを運用されてみていかがですか?

 [花上様]2018年7月からデータマルを導入しており、現在はデータマルでロギングした計測値と人が手作業で計測した値を比較して検証を行っています。もう少し検証を行い、データに差異がなく問題なければ、手作業をやめて完全に自動化したいと考えています。
 自動化ができれば、1日2回行っている温泉の湯温度の計測の手間がなくなるため期待しています。

木もれびの宿 ふるさとの「温泉設備の遠隔監視システム」に採用された データマル® システム構成図
木もれびの宿 ふるさとの「温泉設備の遠隔監視システム」に
採用されたデータマル® システム構成図
拡大図

ボイラ装置の予知・予防保全も計画

 [エム]今後の予定などをお聞かせください。

 [花上様]ボイラ装置の予知・予防保全を行いたいと考えています。過去にボイラの故障があり、壊れるまで気付けませんでした。着火回数が増加してくると加温の性能が劣化していると判断できます。こういう傾向監視がデータマルでできれば、温泉を楽しみにして来ていただいたお客様に迷惑をかけることがなくなり安心できます。現在は、温泉に入れる塩素注入は一定間隔で行っていますが、計測値から一定値になるように塩素注入を自動化したいです。
 また、とくに秋になると落ち葉が露天風呂に落ち、そのまま温水に混ざって一緒に機械に入り、ポンプの圧力が下がってきます。機械の圧力も監視していきたいと考えています。

自動化で作れた時間はサービスの品質向上に活用

 [花上様]さらに一歩進んで、手作業で行っている風呂温度を季節に合わせて最適な温度にしたり、定期的にお風呂の温水を溢れさせて落ち葉などを取り除くことも自動化していきたいと思います。
 自動化を進めることで手作業の管理がなくなり、お客様と接客する時間が増えます。より細かなサービスをすることで、お客様が満足してリピート利用していただけるような旅館にしていきたいです。

 [中村様]設備の消耗品などを定期的に交換することは、予知・予防保全には必要なことですが、劣化していないものを交換する必要はありません。データマルで記録した情報をもとに交換が必要なもの不要なものを我々が判断することで、無駄な出費を抑えることができます。
 箱根の温泉旅館をサポートすることで、観光地である箱根全体の活気を底上げできるようにもしていきたいものです。

 [エム]本日はお忙しい中をありがとうございました。

木もれびの宿 ふるさとのご紹介

木もれびの宿 ふるさと 木もれびの宿 ふるさとは、神奈川県箱根町湯本の温泉街にあり、2004年にオープンしました。宿は全8室のみで、木の温もりを感じられる和モダンな2階建ての旅館です。宿泊だけでなく日帰りでの温泉の利用もでき、静寂を感じられる隠れ宿で、お忍びでゆっくりとお過ごしいただけます。

〒250-0312 神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋191
電話:0460-85-5559
FAX:0460-85-7779
https://www.hakone-furusato.com/

木もれびの宿 ふるさと

アイ・オー機装(株)のご紹介

アイ・オー機装(株)は神奈川県綾瀬市(海老名市の東隣)2010年12月に設立した水処理施設・設計施工修理改修の会社です。事業内容は主に下記の3つです。

①FRP(繊維強化プラスチック)濾過機(浴槽・プールなどの水をろ過タンクに送り、
 ろ過材を通過させ、汚濁物質を除去して、浴場・プールなどに還流させる装置)の販売。
②温浴施設・プール・井戸水の水処理。
③かけ流し温泉・循環式浴槽の温度制御を得意としています。

本システムについての照会先:
アイ・オー機装(株)
〒252-1113 神奈川県綾瀬市上土棚中4-2-16
TEL:0467-84-8862 FAX:0467-84-8863


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