エムエスツデー 2021年4月号

お客様訪問記

京都市建設局
アンダーパスの冠水異常通報システムの更新に採用された現場設置形データロガーWebロガー2 (形式:DL30

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

京都市建設局 アンダーパスの冠水異常通報システム

今回は、京都市建設局を訪問し、鉄道などの下を道路が潜るアンダーパス(写真1)の冠水異常通報システムの更新に採用された日本ソフト開発(株)製クラウド型遠隔監視サービスSOFINET CLOUDと、現場設置形データロガーWebロガー2(形式:DL30)を組合せた異常通報システムについて、同土木管理課山口敬弘様、大野晃司様、および、システム構築を担当いただいた日本ソフト開発(株)野原徹様、藤田誠様にお話を伺いました。

写真1:アンダーパス
写真1:アンダーパス

クラウド型の異常通報システムを導入

[エム・システム技研、以下エムと略称]導入の経緯についてお聞かせください。

[土木管理課]京都市建設局土木管理部土木管理課では、本市の土木事務所が行う業務(道路の維持補修など)の総合調整を担当しています。今回は、防災対策の一環として、アンダーパスの冠水異常警報システムの更新を行いました。冠水異常警報システムは6つの土木事務所が管理するアンダーパスに、計16箇所設置されています(地図中 116 )。豪雨などにより冠水したアンダーパス(写真2)に自動車が誤って侵入すると、重大な事故が発生する恐れがあるため、土木事務所は道路利用者の安心・安全を確保するために、交通規制をできるだけ迅速に行う必要があります。以前はFOMA (*1)回線を使ったメール通報システムを6年間ほど利用していましたが、2023年にFOMA回線が終了することから、今回、LTE(*2)回線を利用した仕組みを検討しました。安価で管理がしやすく、クラウド型であること、拡張があることといった条件のもと検討を行い、この度クラウド型の異常通報システムを導入しました。

(*1)FOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access):NTTドコモが提供している
    IMT-2000方式による携帯電話サービス。
(*2)LTE(Long Term Evolution):第3世代移動通信システム(3G)と第4世代移動通信システム
    (4G)技術との中間に位置する通信システムで3.9Gともいわれています。

クラウド画面で冠水情報を確認

[エム]導入していただいたシステムの構成や運用方法についてお聞かせください。

[日本ソフト開発]当社のクラウド型遠隔監視サービスSOFINET CLOUDとエム・システム技研製Webロガー2を組合せて異常通報システムを構築しました。仕組みですが、まずアンダーパスの冠水情報板(写真3)の表示と連動した「冠水注意」・「通行止め」の警報信号と設備の停電警報信号、合計3点が冠水警報盤(写真4)から出力されています。その警報3点をWebロガー2のModbus/TCPサーバに入力し、データとしてまとめています。その警報データをLTE回線対応のルータで取込み、クラウドデータセンターにTCP/IP通信で転送しています。SOFINET CLOUDで構築した通報システムによって、担当の土木事務所に設置しているブザーを出力し、LED警告灯を点灯します。現場に設置するデータサーバ機器の選定において、要求仕様である入出力の拡張性があり、設定しやすいものを検討した結果、Webロガー2を採用しました。コンパクトなサイズで警報盤への収まりが良いことも決め手の一つでした。Webロガー2はプログラミング不要で、コンフィギュレータソフトウェアを使った簡単な設定をすればModbus/TCPサーバとして構築できるため重宝しています。
[土木管理課]アンダーパスに設置している冠水情報板では水位検知器によって路面の冠水がはじまると「冠水注意」の表示になり、15‌cmに到達すると「通行止め」の表示に変わります。その表示と連動して、各土木事務所に設置されたブザーと警告灯が点灯し、通知するシステムです。警報発生時、土木事務所の職員はクラウド上の監視画面にて各アンダーパスの状態を確認、発生箇所を特定し現場に急行します。また、担当者の勤務時間外に警報が発生した場合、メールで知らせるようになっています。メール受領後、クラウド上の確認画面にアクセスし、メールの確認ボタンを押さなければ、一定時間後に携帯電話へ音声通報されるように、二重にシステムを構築してあるので、万が一メールに気づかないということがあっても安心です。平常時の降雨量であれば冠水が起きる心配はありませんが、ゲリラ豪雨や夕立などのように瞬間的に大量の雨が降ると、排水処理しきれないためアンダーパスが冠水してしまいます。本システムは令和2年の4月より運用を開始していますが、まだ豪雨はなく、「冠水注意」の状況は発生していないため、本システムが稼働したことはありません。今まではメール通報でしかわからなかった警報システムですが、雨が降ったときにクラウド画面でいつでも冠水情報を確認できます。

執務室で変更設定ができる

[エム]導入して改善されたポイントがあれば、お聞かせください。

[土木管理課]まず、従来メールのみであった通報の仕組みから、警告灯+ブザー、メール+電話の仕組みに変わったことにより、迅速に対応できるうえ、安心感のあるシステムになりました。また、以前のFOMA回線のメール通報システムでは困っていたことがありました。メールの送信先には土木事務所の職員を登録しているのですが、年度毎の人事異動によって、送信先のメールアドレス変更をしなければならず、その都度16箇所ある現地の操作盤へ行き、道路上でノートPCを接続して変更作業をする必要がありました(写真5)。メールアドレス変更後、テスト通報を行い、メールの受取が確認できるまで、道路上での作業となるので安全のために道路の交通規制をしなければならず、市民の皆様にご迷惑をおかけしていました。今回のクラウド型冠水異常通報システムの導入により、土木事務所の執務室にいながらいつでもメール内容の変更、メンテナンスが可能になり(写真6)、業務負担の低減、職員の安全性向上、市民の皆様の負担低減など多くの改善ができ、大変満足しています。

アンダーパスの冠水異常通報システムの更新に採用された現場設置形データロガーWebロガー2 (形式:DL30)
アンダーパスの冠水異常通報システムの更新に採用された
現場設置形データロガーWebロガー2 (形式:DL30
拡大図

[エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム·システム技研をよろしくお願いします。

採用された製品のご紹介

  • 現場設置形データロガー Webロガー2

    形 式  DL30形 式  DL30 形式:DL30

    Web画面による遠隔監視機能、データロギング機能、イベント通報機能に加え帳票の作成機能などを備えた現場設置形のデータロガーです。

京都市建設局のご紹介

京のみち、かわ、公園・みどり ~持続可能で安心・安全な市民が主人公のまちづくり~
京都市建設局は、道路や河川、公園等の整備や維持管理を担当しており、橋りょうの耐震補強や河川改修などの防災・減災対策、円滑な移動・輸送を確保し、都市の活力を高める道路整備、四季を感じることができる公園や街路樹の整備などを行っています。京都市オリジナルイラスト 「けんくん」と「せっちゃん」
加えて、週休2日工事を始めとした働き方改革を推進し、「地域の守り手」である市内建設事業者の健全な発展を促しています。こうした取り組みに合わせてウィズコロナ社会における「新しい生活スタイル」の普及・定着を図りながら、持続可能な社会を目指す国連の開発目標「SDGs」を推進するとともに、都市のレジリエンスを磨き、市民が主人公のまちづくりを進めております。
日本ソフト開発のご紹介 SOFINET CLOUD
SOFINET CLOUDについて、詳しくはこちらをご覧ください。
日本ソフト開発(株)は、滋賀県米原市に本社を置き、1972年(昭和47年)創業し、今期節目の50期目を迎えました。時代は新型コロナにより「ニューノーマル時代」に遷移する中、政府が提唱する「Society5.0」の実現に向け重要なテーマであるIoTに30年来取り組んできました。
「SOFINET CLOUD」は、上下水道、雨水排水機場、農業用水事業、アンダーパスなどの社会インフラ事業から民需事業まで幅広い分野で活用頂けるIoTクラウド型監視サービスです。日本ソフト開発(株)
現在では全国約300の事業体に納品させていただき、とりわけ政令指定都市では60%の導入率に至りました。監視制御のみならず、データ分析による診断機能や維持管理を効率的に支援する設備台帳や保全台帳など価値の高いサービスをご提供いたしており、今後もお客様にとって有益で持続可能な事業の一助となりますよう、なお一層サービス向上に向けて取り組んでまいります。


京都市 嵐山の渡月橋

本システムについての照会先:
(株)エム·システム技研 カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200


ページトップへ戻る