2004年10月号 | |||||||||
計装豆知識◆◆ 変換器の仕様書の読み方について (10) ◆◆
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電源電圧には、公称電圧を意味する定格電圧と限界値を意味する許容電圧があります。電源事情により公称電圧が必ずしも一定値にならないことを考慮し、許容電圧には概ね10%の余裕を含めています。変換器は必ず許容電圧範囲内でご使用ください。下限未満で使用すると、たとえば、出力にリップルが現れるなど、変換器が正常に動作しません。逆に、上限超過で使用すると、内部使用部品が過熱したり、耐圧破壊するので非常に危険です。 電源周波数は、国や電力会社によって50Hzと60Hzがまちまちです。また、近年はやりの自家用発電では、インバータの出力周波数は55Hzであったりします。エム・システム技研の変換器はすべて50/60Hz共用で、両者の中間の周波数55Hzも問題ありません。なお、指定周波数範囲外で使用した場合には、指定電源電圧範囲外での使用と同様の問題が起こります。 電源容量は、変換器が定常状態にあるときの消費電力をもとに要求仕様を設定しています。しかし、電源投入時などの過渡状態には、短時間ですが、定常状態の4倍ぐらいの電流が流れます。したがって、電源容量は余裕を含めて設計する必要があります。ただし、この注意は前記インバータのように、過電流保護注)が素速く動作する電子式電源装置を使用する場合に限ります。ブレーカで容量を決める場合は、一般に変換器の立上がりの方がブレーカの動作より速いので、とくに過渡状態を考慮する必要はありません。
電源電圧については、交流電源と同様に許容電圧を守ってください。リップル含有率は、安定化電源装置を使用する場合には問題ありませんが、交流をトランスで降圧した後、整流するだけの簡易電源を使用する場合は、その幅が仕様以下であることはもちろん、ピーク値が許容電圧範囲を超えないことも確認してください。出力電力は、交流電源の場合の電源容量と同じく、定常状態での値です。変換器は電源投入時に図1、2に示す電圧-電流特性をもちます。このため、電源容量は概ね、24V電源では3倍、12V電源では2倍(別データによりますが110V電源では2倍)の余裕をもつように設計してください。また、フの字垂下特性をもった電源装置だと、変換器が立上がらないことがあるため、極力、その使用は避けてください。もし使用する場合は、フの字の角度にもよりますが、4~5倍以上の余裕が必要になります。
●交流電源:許容電圧範囲 AC85~264V 47~66Hz AC100Vのとき 約4VA AC200Vのとき 約5VA AC240Vのとき 約6VA ●直流電源:許容電圧範囲 R :DC24V±10% R2 :DC11~27V P :DC85~150V リップル含有率10%p-p以下 約3W ■ 注)過電流保護とは、電源の出力電流が規定値以上流れないようにして、電源または負荷を保護する機能をいいます。 代表的な方式に、逆L字垂下形(図1)とフの字垂下形(図2)があります。フの字垂下形は、短絡電流が小さいため保護効果は高いのですが、一般電子機器や変換器のように電圧-電流特性がノンリニアなものを負荷とした場合には、いったん過電流保護が働くと自動復帰しにくい傾向をもちます。 【(株)エム・システム技研 開発部】
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