エムエスツデー 2009年3月号

お客様訪問記

(株)食品急送 石狩センターで採用された
MSRpro使用のロガーシステム

(株)エム・システム技研 カスタマセンター システム技術グループ

 北海道石狩市は、札幌市の北側に隣接し、市内を石狩川が貫流するとともに広大な石狩湾に臨む、大変水に恵まれた環境にあります。江戸時代初期以降は、石狩川河口部流域が知行(ちぎょう)としての「場所」として松前藩によって区画されたことや交通の要衡であったことから、西蝦夷地の中心地として重要な役割を果たし、とくにサケの交易で大賑わいをしてきました。近年は、石狩湾新港をベースにした国際的な文化・経済の拠点として、めざましい発展を遂げています。「石狩」の市名由来としては、市のほぼ中央を流れる石狩川からきた名前で、先住民であるアイヌ民族の言葉で石狩川を指す「イシカラペツ」に由来しています。その意味は「曲がりくねって流れる川」また「神様がつくった美しい川」といわれています。市の総面積は721.86km2で、東西に28.88km、南北67.04kmに広がっています。北海道の中でも温暖で四季の変化に富み、台風の影響も極めて少ないのが特徴です。対馬海流の影響による海洋性気候で、とくに春から夏、秋にかけては暮らしやすく、冬期間の気温も零下10度以下になることは少なく、年間の気温変化もそれほど大きくありません。積雪も12月から3月頃までで、最大積雪でも120cm前後です。

 今月は、この北海道石狩市にある(株)食品急送の本社営業所石狩センターを訪ねました。(株)食品急送の業務内容は、温度管理が必要な冷蔵・冷凍食品の保管業務、ピッキング作業(倉庫内仕分け作業)、配送をメインとしており、1991年に誕生した会社です。

 今回は、新工場増設に伴う各冷蔵・冷凍庫の温度、設備の消費電力、各種警報等の監視用として採用された、PCレコーダソフトウェアMSRpro Ver.5(形式:MSR2K-V5を用いたデータロガーシステムについて、(株)食品急送 本社の業務部長 佐藤 隆 様、情報システム課長 加藤 義和 様、また冷蔵・冷凍設備を納入された五島冷熱(株)本社の代表取締役社長 五島 秀(しげる)様、そして本システムの設計、構築をされた(有)中川冷機製作所 部長 中川 彰 様にお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]まず、本システムを導入された経緯についてお聞かせください。

[中川]パソコン(PC)による温度監視システムについては従来他社メーカーの製品を使用し、しかもメーカーに部品の選定とパソコンの設定を依頼し、システムとして購入していました。このような方法では、安価にシステムを構築することが困難であるため、今回エム・システム技研の製品を使用したシステム構築を検討し、リモートI/O R3シリーズPCレコーダソフトウェア MSRproが候補に挙がりました。入出力カードが豊富なリモートI/Oを使用することによって、温度、湿度、電力、警報など多種類の信号を一括で取り込めるため、導入、運用効率のよい設計ができ、まずハード面でのコストメリットが出ました。

 さらにソフト面では、今までシステムとして一括購入していたため、私自身はソフトウェアの設定、構築を行ったことがありませんでしたが、MSRproは標準画面として、トレンドグラフ、オーバービュー、帳票をもっているため、簡単なシステム設定ができ、またタグの割付を行うだけでソフトウェアが設定できました。

 また、リモートI/O R3シリーズの通信カードにはIPアドレスを登録でき、MSRproサーバPCを2台同時に接続できるため、2箇所から同時にインターネット経由で遠隔監視ができる点も高く評価しました。コスト面、お客様からの希望の多様化に柔軟に対応できるシステムであること、初めての自分にも理解できる技術内容、さらにはメーカーサポートの充実などの諸点が採用の決め手になりました。

[エム]システムの構成や概要について教えてください。

図1 システム構成図

[中川]構成については図1をご参照ください。

図2 食品急送 事務所(1 階)リモートI/O
図3 食品急送 事務所(2 階)PC
図4 冷凍庫内部
図5 五島冷熱 事務所(1 階)PC

 各冷蔵・冷凍庫の温度、外気温湿度、警報、設備の消費電力などの信号を事務所1階の監視盤に設置されているリモートI/Oに取り込んでいます。リモートI/O(図2)からの信号はHUBを介して事務所2階に設置しているプリンタとPCに接続され、データの収集、監視を行っています。

 なお、ルータを介してインターネット経由で冷凍・冷蔵設備メーカーである五島冷熱(株)の札幌本社事務所のPCにも接続し、データの収集、監視を行っています。

[加藤]ネットワークとしては、NTTの光ブロードバンドインターネット「フレッツ光」を使用しています。インターネットで遠隔監視を行うため、セキュリティを考えてVPN(Virtual Private Network)で接続しました。LAN構築専門業者にヤマハ製ルータとパソコンの設定を依頼し、ネットワークを構築しました。

[エム]今回、システムを導入されてのご感想をお聞かせください。

[佐藤]冷蔵・冷凍食品の保管、配送には綿密な温度管理が要求されます。事務所に設置されたPC(図3)では常時トレンドグラフの表示を行っていて、帳票機能を使用し各冷蔵・冷凍設備(図4)の温度、外気湿度、電力の日報を作成し、毎日データチェックを行っています。日報データは、1枚の紙を使って1時間毎のデータ推移、使用電力量が確認できるため有効活用できています。食品を扱っているため、何かあったときにデータを要求されることになります。本システムでは、PCに電子データとして収録しているため、過去データを一瞬にして検索でき、満足しています。また、装置メーカーである五島冷熱(株)の事務所でも同様にデータの収集、監視を行っていただいているため安心して運用できています。

[五島]今までは現場まで行かなければ、納入した装置の稼働状況を把握できませんでした。本システムの導入により、事務所内のPCで納入機器の稼働状況がリアルタイムに監視できるようになり、またデータの収集ができるようになったことに満足しています。さらに、MSRproのアラーム機能を利用し各データの異常点の設定を行っています。画面には常時トレンド画面を表示し、アラームが発生したときに、現場の状況を確認するように運用しています(図5)。現状ではデータの監視だけを行っていますが、将来的には収録データを解析し、装置の効率アップにつなげたいと考えています。

[エム]今後の課題はございますか。

[佐藤]現状に満足しています。強いて挙げるなら、(株)食品急送の銭函工場ではペーパー式の記録計を使ってデータ収集を行っているため、将来これをペーパーレスの記録システムにすることを検討しています。

[エム]お忙しいところ、ありがとうござました。

本稿についての問い合わせ先:
有限会社 中川冷機製作所
部長 中川 彰 様
〒065-0031 札幌市東区北31−条東10丁目
TEL:011-752-4622
E-mail:nakagawareikiseisakusyo@yahoo.co.jp

MSRproは、(株)エム・システム技研の登録商標です。


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