エムエスツデー 2009年1月号

2009年新年のごあいさつ

イラスト:早勢勉代表取締役会長 宮道繁

 あけましておめでとうございます。

 去年の今頃は、北京オリンピックを控え、経済は活気に溢れていました。原油価格は高騰し、エタノールをとるためにトウモロコシが利用されて、食用分が不足しているといわれ、「資源戦争」なる言葉が目に付きました。

 今年は、リーマンショックに代表される経済の大激震に見舞われ、世界中の経済が凍りつくような状態で、この変わりようはいささか受け入れがたいものがあります。サブプライムローンの焦げ付き問題に端を発して、アメリカ経済の底流となっていた金融技術による証券化で大きな利益を上げたうえ、そのリスクを売り抜けるような投資銀行の活動は間違いであったことを、市場が知らせたものと考えることができるのではないでしょうか。(2008年10月20日発行の神谷 秀樹 氏著「強欲資本主義 ウォール街の自爆」は、この辺りの事情を解り易く描いてみせています。)現実には、実物経済に大きな打撃を与え、アメリカの製造業を代表するGM、フォード、クライスラーのビッグスリーといわれてきた乗用車メーカーが販売不振に見舞われ、アメリカ政府への支援要請を行うに至りました。

 サブプライム問題は世界に飛び火して、アイスランドのようにGDPをはるかに超える負債をかかえる国が現れたり、破綻に至る地方銀行をかかえる国が出てきそうです。日本も決して対岸の火事と決め込むわけにはゆくはずがありません。2009年は厳しい年になることを覚悟する必要があると思います。ここで私たちメーカーに試されるのは、新製品の開発力だと確信しています。エム・システム技研は、新しいオートメーションの流れに沿って、新しいテクノロジーを活かした新製品の開発により、新市場を創出することで、継続的な発展を期したいと考えています。

 1960年代には、重厚長大を追求して巨大プラントが続々と建設され、PA(プロセスオートメーション)市場が急成長しました。それに引き続いて加工産業、組立産業などの下流産業が成長してFA(ファクトリーオートメーション)市場が急拡大し、現在に至っていることは読者の皆様もよくご存じのところです。これからは、自動化の波は一般消費者に直接係わる省エネルギーや工場空間や事務所空間などのメンテナンスの省力化へと波及し、一層身近かなところで進展することでしょう。

 エム・システム技研では、電力計測と消費電力監視を容易に実現する機器群を完成し、実績を上げつつあります。また大形ビルの個別空間や各種設備の集中監視・制御を、オープンネットワークを通じて容易かつ便利、安価に構築できるリモートI/O機器の整備を進めてきました。今年は、数多く見えてきた実ジョブの上に実績を重ねる年と位置づけ、ユーザー各位のご意見を素早く新製品に反映させることで、このニューマーケットにおいて確固とした存在になることを目指し、大きく前進したいと考えております。

イラスト:早勢勉
【イラスト:早勢 勉】

 エム・システム技研は信号のオープン化を追い風として成長して参りました。創業の頃は、計装信号がDC4~20mAに統一されたことで「変換器事業」を立ち上げることができました。最近はデジタル通信の標準化とオープン化の波に乗り、フィールドと上位コンピュータやPLCとを結ぶModbus、CC-Link、DeviceNet、FL-net、BACnet、LONWORKS、PROFIBUS、MECHATROLINKなど、ほとんどのオープンネットワークを使いこなして開発して参りましたリモートI/Oと呼ばれる機器が、ユーザー各位のご好評をいただいております。
 今年も、これら新製品のご紹介や新市場の事情などをこの『エムエスツデー』に掲載して参りますので、従前と変わらぬご愛読のほど、お願い申しあげます。


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