エム･システム技研、以下エムと略称　本システム導入の経緯についてお聞かせください。

宇田様　会社の方針として現場設備のIoT化に注力していくという流れがあり、現場機器の運用や監視といったところに要している人手を自動化することで、省人化したいと考えています。こちらのプラントでも点在している井水設備の消費電力量や、水道メータの検針作業を巡回点検で定期的に実施していますが、自動化により工数を削減し業務効率の改善をする取組みを行っています。また、重要設備であるろ過器のインバータやポンプの稼働状況を常時モニタリングし、異常の検知を素早く行いたいと考えたことが導入のはじまりとなります。

エム　本システムの概要や構成についてお聞かせください。

杉澤様　今回、新たに構内の様々な箇所の井水設備を更新するにあたり、同様のシステム構成を検討したところ、各設備間の距離が離れているため、通信線をひくことは困難でした。そこで、920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるを採用しました。既設ろ過器のインバータと電力量計にはくにまる子機（形式：WL40MW1）を設置して、機器の間をModbus-RTU（RS-485）で接続しています。インバータからは消費電⼒、稼働時間、電流計測、重故障などの情報を収集しています。ポンプと水道メータにはくにまる子機とリモートI/OのR3シリーズ、R7シリーズを組合せて設置し、アナログ信号やパルス信号で温度、圧力、流量といった測定値を取込んでいます。これらの信号は構内中央に設置したくにまる親機（形式：WL40EW2）に無線で伝送しています。そして、別の建屋に設置したWebロガー2から社内LANを経由して、くにまる親機と通信を行い、くにまる子機を通して各データを取得し監視・記録を行っています。

エム　Webロガー2ではどのような監視を行っているのかお聞かせください。

杉澤様　ユーザ定義画面機能を使用してインバータ、ポンプの運転状態と各種計測値の監視を1画面で行っています。ポンプの運転状態はトレンドグラフにも登録し簡単に過去の稼働状況が確認できるようになっています。また、電力量や水の使用量の帳票管理を行い、SDカードへ記録しています。社内LANからWebロガー2にアクセスが簡単にでき、事務所のPCだけでなく会社支給のスマートフォンからでも確認できるようになっています。設備の故障とポンプの電流値異常をWebロガー2の機能にある領域設定を使用して、関係者にメールで知らせる仕組みにしています。

エム　Webロガー2を採用してのご感想をお聞かせください。

杉澤様　電力量計と水道メータの巡回点検は月1回の頻度で手書きで記録し、月報の作成をまとめて行っていましたが、Webロガー2を採用することで帳票の作成まで自動で行うため工数が削減できました。またリアルタイムでデータが収集できるようになったので、これまでより細かい日毎の使用量の変化が見えるようになり、トラブル解析にも役立っています。
Webロガー2の設定は、専門の知識がなくても比較的スムーズに行うことができました。今回はオープンネットワークのModbus/TCPを活用して、他社のインバータや電力量計からデータを取得する設定も初めて行いました。最初は苦労しましたが、理解できると大変便利な仕組みだと感じました。
Webロガー2の本体設定用、作画用それぞれのソフトウェアが無料で提供されているところも大変良かったです。

エム　今後の予定などをお聞かせください。

杉澤様　今回のシステムに無線を追加して敷地外にある排水の総合流量を計測したいと考えています。監視対象が増えてきたときにできるだけ1つの画面にまとめたいので作画機能に優れたリモートグラフィックパネル リモートGP（形式：RGP30）も活用していきたいです。Webロガー2とくにまるを使用した監視システムは社内でも横展開しており、今後ほかの事業所でも水道の検針システムの構築を計画しています。

宇田様　エム･システム技研のWebロガー2で収集している井水設備のCSVデータと、ほかのシステムの計測データを自社サーバに集約し、ほかのプラントも含めた一括で帳票監視できる仕組みを構築中です。今後さらに多くの系統の電力量や蒸気の使用量をリアルタイムで監視できるようにしていき、生産ラインのバッチ毎のエネルギー原単位の改善に活用していきたいと考えています。

エム　本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム·システム技研をよろしくお願いいたします。