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エムエスツデー 1994年1月号
工業計器の生産・受注規模の動向
1993年7月に発行、同年9月に一部修正された(社)日本電気計測器工業会の「工業会統計年報」をベースに1992年度(1992年4月~1993年3月)の日本における工業計器の経済規模を前年度と比較してみました。図1、2にその概要を示します。この結果を元に、その特徴的な傾向をとらえてご参考に供したいと思います。
まず生産総額(*)は約4,281億円で前年比5.2%減、受注総額は約4,389億円で8.4%減になっています。もう少し生産統計の内容に立ち入って機種別生産額をみると、一番構成比率の高い監視・制御装置(プロセス・コンピュータ、デジタル計装制御システム、テレメータ・テレコントロールシステム、多点監視制御システムほか)が1,441億円であり前年比13.5%減と大幅に減少し、工業計器全体の減少(5.2%)の主原因になっていることが分かります。不況による需要減に加えて、ダウンサイジングの影響が既に現れているとも考えられます。
次に受注統計の内容をみると、官公需が1,045億円と前年比33.0%増加しているにかかわらず、民需(2,740億円)での17.5%減の影響を吸収することができず、全体としては前述のとおり8.4%の減少を生じています。民需の中味をみると、製造業が20.7%減、非製造業(電気・ガスなど)でも10.1%減になっています。
さらに製造業の中を業種別にみると、石油(増減なし)・食品(3.4%減)を除いて他の業種はすべて2桁%(16.7~33.0%)減であり、全業種での深刻な地盤沈下がうかがわれます。工業計器の窓を通して基幹産業の設備投資動向をのぞいている感があります。また、単なる一時的な不況の影響だけでなく産業構造上の変化傾向をも予感させるものがあります。
(*)生産統計については、(社)日本バルブ工業会1993年 7月発行の「バルブ工業概況調査報告書」から工業計器(操作端)に相当すると考えられる部分を選定し、ベースとした(社)日本電気計測器工業会のデータに加算しています。