(株)エムジーカスタマセンター

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放電開始電圧

放電素子と電圧制限素子の電圧特性は、一般に、右のグラフのようになっています。印加電圧をゆっくりと上げていくと、素子の端子間電圧は、はじめのうちは印加電圧に追従しますが、途中で不連続点が現れます。この点の電圧を放電開始電圧といいます。
放電素子と電圧制限素子を併せてサージ吸収素子と呼びますが、これらサージ吸収素子は印加電圧に追従しているときは絶縁体と同じで何ら作用しません。しかし、放電開始電圧を超えると急激に動作抵抗が小さくなり、印加電圧を抑えるように働きます。

放電開始電圧
静電容量

避雷器の端子間容量です。線間容量と線−接地間容量があります。
当社では避雷器にコンデンサを使用していませんが、避雷器内部のサージ吸収素子の寄生容量や、プリント基板のパターン配線容量のため、端子間容量がわずかに存在します。一般的な直流信号に接続する場合、避雷器の静電容量程度では特に害は生じません。
しかし、周波数の高い信号に接続する場合は、信号が予定以上に減衰して問題になることがあります。また、本安(本質安全防爆)では、端子間容量に電気エネルギーが余計に蓄積されるため、アプリケーション上、特に注意を要するファクタになります。

洩れ電流

規定された電圧において、避雷器の線間および線~接地間に流れる電流です。サージ吸収素子は、雷サージ電流がたび重ねて流れると次第に劣化してきます。
劣化すると洩れ電流が増え、信号や絶縁に悪影響を与えるので避雷器を交換しないとなりません。エム・レスタチェッカや寿命表示形避雷器は、洩れ電流を測定して避雷器交換の判定をします。

制限電圧

避雷器に雷サージ電流が加わったとき、避雷器は電流をバイパスさせて、雷サージ電圧を抑えます。このとき、避雷器の保護側端子間に現れる電圧を制限電圧といいます。制限電圧は、放電素子の過渡特性や電圧制限素子の動作抵抗、あるいは避雷器内部の配線インピーダンスによって、放電開始電圧よりいくらか高めの電圧になります。
例えば、放電素子ですと、雷サージ電圧の立ち上がりが急峻になるにつれ、制限電圧は高くなります。電圧制限素子ですと、雷サージ電流が大きくなるにつれ制限電圧も高くなります(図1)。以上のように、制限電圧はサージ電圧・電流に影響されます。制限電圧の測定は主にコンビネーション波形という開回路では電圧、閉回路では電流が出力される発生器を用います(図2)。そのため制限電圧の試験条件を表記する場合、2kV/1kAというように電圧値と電流値を併記することが一般的です。
制限電圧が低いほど、被保護機器を守る能力が高いといえますが、制限電圧を低く抑えるに伴って、普通は放電開始電圧や最大使用電圧も低くなるので、使い勝手が悪くなります。
制限電圧と放電開始電圧の差が小さものが優れた避雷器といえます。メーカーによっては、放電開始電圧が低いことを表に出さず、制限電圧が低いことだけをアピールしているものも見受けられるので注意が必要です。

電圧制限素子の電流と電圧

図1

標準雷サージ波形

図2

応答時間

雷サージ電圧が加わってから、避雷器が放電を開始するまでの時間です。
応答時間の測定は、波長1μsの電圧矩形波を印加して行います。高速で放電電流を測定するのは計測技術上非常に難しいので、印加電圧が電圧を維持できず低下したときを放電開始とし、そこまでの経過時間を測定します。ただし、避雷器の応答性は内蔵しているサージ吸収素子に依存するため、素子単体の応答時間を測定し、これを避雷器の応答時間に代用しています。以上の測定方法で、当社の避雷器には、応答時間ns級の実力があることを確認しています。
近年、いくつかのメーカーが応答時間"数ns"をセールスポイントにしています。応答が速いほど、雷サージ電圧を素早く抑えられるので、避雷器として優れているといえます。しかし被保護機器を守れるかどうかは制限電圧で決まります。避雷対策は機器に掛かる過電圧をいかに低く抑えるかがポイントです。応答性は避雷器選定の目安にしか過ぎず、あまり応答性にこだわるのは無意味なことと考えています。

放電耐量

避雷器が吸収できる最大サージ電流です。標準雷サージ電流波形を1回印加したとき、避雷器の諸特性が所定の範囲内である最大のサージ電流値をいいます。放電耐量の大きい高耐量形避雷器を設置すれば、避雷器寿命も延びて安心ですが、一般に放電耐量とコストは比例関係にあるため、高耐量形は、主として激雷地域や劣化時の交換作業が大変な場所に設置されます。

内部直列抵抗

直列インピーダンスとして、ラインに入っている抵抗成分です。
具体的には、制限電圧を低く抑え、かつ電圧制限素子の劣化を抑えるために避雷器に組み込まれている抵抗器またはコイルを指します。内部直列抵抗は避雷器の性能を高めるために必要ですが、信号ラインには電圧損失やループ抵抗の増加、電源ラインには電力損失などの影響を与えるため、避雷器接続に際して検討が必要です。当社は内部直列抵抗を極力小さくしていますので、ラインに与える影響を心配せずに避雷器を接続できます。

最大負荷電流

避雷器内部を連続して通過できる最大電流値のことです。制限電圧を低く抑え、かつ電圧制限素子の劣化を抑えるため、避雷器には直列インピーダンスとして抵抗器またはコイルを内蔵しています。
抵抗器内蔵の場合、電流を流し過ぎると、抵抗器がジュール熱で発熱するので、電流値を制限しています。コイル内蔵の場合、電流を流しすぎると、コイルが磁気飽和しインピーダンスが極端に低くなるので、やはり電流値を制限しています。

最大使用電圧(最大線間電圧)

避雷器の線間に接続できる定常的な電圧の最大値をいいます。
これ以上の電圧を加えると電圧制限素子が放電を開始するため避雷器の劣化を進めます。また被保護機器の正常動作も保証できなくなります。なお、避雷器には有極性と無極性があります。有極性の避雷器は、負電圧の最大使用電圧がほとんど0Vであるため、±10mAのようなゼロクロス信号は接続できません。この場合は無極性の避雷器を接続してください。また、正電圧だけを扱う電子機器は負のサージ電圧に弱い傾向があります。この場合は有極性の避雷器の接続をおすすめします。

接地について

■ 接地抵抗とは

ご存じのように、電線は長くなると抵抗値が大きくなり、太くなると小さくなります。また、同じ形状の電線でも銅とアルミでは抵抗値が異なります。これらのことから、物質の抵抗値は長さ(L)に比例、断面積(S)に反比例し、材質ごとに固有の比例係数(これを抵抗率(ρ)と呼びます)をもつことが解ります。
そして、以上は簡単な式で表現できます(図1)。
この考えは接地抵抗に対しても同じです。図2のように接地極からの距離(L)が大きくなると、接地極を中心とした半球状の面積(S)は距離の二乗で大きくなるので、ab間、bc間‥‥、各間の接地抵抗はグラフのように距離に反比例して小さくなっていきます。そして、各間の接地抵抗の総和が接地極の接地抵抗になります。
したがって、接地極がa点のような小さい電極の場合、接地抵抗はRaのように大きくなります。逆に半球dに相当する大きな電極の場合、接地抵抗はRdのように小さくなります。なお、接地抵抗は接地抵抗計を使って測定できます。

■ エム・レスタの接地
電気設備の接地工事は、電気設備技術基準(以下、電技)に基づいて行われることが多いです。電技では、接地は右表のとおりA~D種の4つに分類しています。
電技には、エム・レスタのような低圧用避雷器の接地について記載されていませんが、当社では最も易しいD種接地(100Ω以下)で十分と考えています。
接地極とは雷サージを大地に戻すため地球に取り付けた電気的端子です。接地抵抗が小さいほど、雷サージは大地に戻りやすく優れた接地といえますが、連接接地(避雷器のQ&A参照)の概念を用いれば、接地抵抗にこだわる意味はなく、避雷効果はC種でもD種でもかわりません。
逆に接地抵抗にこだわれば、接地工事は大掛かりなものになってしまいます。接地抵抗を100Ωから10Ωまで1/10に下げようとすれば、電極面積は100倍以上に拡げることになります。また表面土壌の抵抗率が大きい場合、大きな電極を深く埋めることになり、工事はさらに大変なものになります。エム・レスタは接地を選びませんので、このような意味からも気軽にご使用いただけます。

種別 接地抵抗値 用途
A 種 10Ω以下 高圧用機械器具の金属性外箱や金属管に施す接地
B 種 (150/ig)Ω以下
ig:地絡電流[A]
高圧/低圧変圧器の低圧側の中性点に施す接地
C 種 10Ω以下 低圧用機械器具(300V超過)の金属性外箱や金属管などに施す接地
D 種 100Ω以下 低圧用機械器具(300V以下)の金属性外箱や金属管などに施す接地
接地抵抗計とは・・・

図Ⅰのように、電極Aを測定する接地極に接続し、電極Bを地中に埋め、その間に交流電圧Eを加えるとともに電流Ⅰを測定します。次に、A~B線上で探針Cの位置を順次変えて、電極A~探針C間の電圧を測り、図IIのようなグラフを作成します。電極A、Bに近づくほど電圧変化の傾斜がきつく、中間では平坦になるのは、前述したとおり接地抵抗が接地極からの距離に反比例するからです。グラフからExを求め、電流Ⅰとの比で接地抵抗を算出します。ただし、電極AB間の距離が短いと平坦部分がなくなるので、正しいExを求めることができません。このため、電極AB間は20m以上離すことになっています。