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2003年10月号

レベル の お 話

第10回  レベルスイッチ

松山技術コンサルタント事務所 所長 松 山 裕

1.レベルスイッチの概要
 レベルスイッチは、液体もしくは粉粒体のレベルとあらかじめ設定したレベル値とを比較し、その差の正負に応じてオンオフ信号を出力する計器です。したがってレベルスイッチを使用しても、対象面のレベルが設定した位置の上にあるか下にあるかしかわかりません。しかしこれを使用することにより、タンクがオーバーフローしたり空になったりすることを防ぐことや、上限用と下限用の2個のレベルスイッチを使用してレベルをほぼ上下限間にコントロールすることが可能です。そのためプロセスの現場では、レベルスイッチが多量に使用されています。
 これまでに説明してきたレベル計の変換・表示部分を変更することにより、レベルスイッチ機能を実現することができます。しかしセンサ部分の構造を大きく変えた製品もあります。また、これまでに説明しなかった原理によるレベルスイッチもあります。以下主なレベルスイッチについて説明します。

2.フロート式レベルスイッチ
 液面に浮かべたフロートに固定した磁石により、外部に設置したマイクロスイッチやステムに内蔵したリードスイッチを駆動させます。その例は、本連載第2回の図4に示しました。1本のステムに複数のリング状のフロートを通し、複数のレベル位置を検出する製品もあります。

3.超音波式レベルスイッチ
 粉粒面用超音波式レベルスイッチの例を図1に示します。超音波の送信器と受信器の間に粉粒体があれば、超音波は透過せず受信器からの出力はオフになります。この原理は、マイクロ波式や放射線式のレベルスイッチにも使用されています。
 超音波は液体中ではよく通り、空気中では減衰が大きくなります。したがって、超音波送信器と受信器を対向させて液面近くに置くと、液面の上昇によって受信器の出力はオンになります。これと同じ原理で、1個の超音波送受信器を使用する例を図2に示します。この場合、送信波は容器の反対側の壁から反射されて送受信器へ帰ってきます。超音波送受信器はタンクの外側に接着するだけなので、取付けが容易です。 

4.静電容量式レベルスイッチ
 静電容量式レベルスイッチは、棒状の電極をタンクの上部から挿入する場合と側面から直角に挿入する場合があります(本連載第5回の図7参照)。側面挿入の場合、測定対象が高粘性液で測定電極に厚く付着すると、誤動作を生じる可能性が高いので注意が必要です。
 
5.振動式レベルスイッチ
 音叉状、板状もしくは棒状の振動片を一定周波数で振動させておきます。これらを取り付けた位置まで液体もしくは粉粒体レベルが到達すると、振動の周波数が減少する(液体の場合)か振動が停止します(粉粒体の場合)。そこで、この変化を検出してレベルを知ることができます。音叉形の製品の例を図3に示します。この場合音叉の根元は振動しないので、高粘性液の付着はほとんど問題ありません。各種の製品があり、通常の製品では粉粒体の見掛比重が0.2程度まで測定可能ですが、高感度形では0.02程度まで測定可能の製品もあります。
 
6.回転羽根式およびピストン式レベルスイッチ
 回転羽根式では、羽根車をモータで低速回転させます。タンク内に突出した羽根車が粉粒体に埋まると、羽根車は回転を停止しますので、これを検出してマイクロスイッチをオンオフさせます。
 ピストン式では、円板をモータにより前後に往復運動させます(図4参照)。円板が粉粒体に埋まると往復運動が停止するので、これを検出してマイクロスイッチをオンオフさせます。

7.導電率式レベルスイッチ
 2本の金属電極を水などの導電性液体に接触させると、この間に電流が流れます。これを検出すれば液面の位置を知ることができます。2本でなく3本以上の電極を使用する製品や、1本のケーブルに多数のリング状の電極を取り付け、10点のレベルを検出する製品もあります。後者の構造を図5に示します。
 導電率式レベル計は、構造が簡単で安価であるため、昔から広く使用されています。ただし導電性がない液体(たとえば純水)には使用できません。

8.光式レベルスイッチ
 先端が90°の円錐状になっているガラス棒の一方から光を入射すると、棒が空気中にあるときは光は全反射して元に戻ります。しかし棒の先端が液体中にあると、光は液体中に入り元に戻りません(図6参照)。そのため、光が戻ったかどうかを検知器でチェックすることにより、液体のレベルを知ることができます。

9.熱式レベルスイッチ
 熱式レベルスイッチは、加熱された物体の冷却度合が空気中より液体中の方が大きいという原理に基づいています。アメリカFCI社の製品について説明します。同社のレベルスイッチは、1本のヒータと2本の温度センサにより構成されています。温度センサAはヒータの近くにあり常に加熱されています。温度センサBはヒータから離れており、雰囲気温度を測定しています。レベルスイッチが空気中にあるときは、温度センサAとBの温度差はかなり大きいのですが、このスイッチが液体中にあると温度センサAは冷却されるので、AとBの温度差は小さくなります。この変化を検出して液体のレベルを検出します。 ■


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