トップページ >レベルのお話 第4回

2003年4月号

レベル の お 話

第4回  圧力式レベル計

松山技術コンサルタント事務所 所長 松 山 裕

1.圧力式レベル計の概要
 液体が入っている容器の底には、液面の高さと液体の密度の積に比例した圧力がかります。したがってこの圧力を測定することにより、液面の高さ(レベル)を知ることができます。これが圧力式レベル計の原理です。ただし、内圧のあるタンク内の液体のレベルを求めるには、内圧の影響をキャンセルするために差圧測定が必要になります。
 圧力式レベル計は、直接式、ダイアフラムシール式、エアパージ式 、投込み式、メトリテープ式に分類されます。なお通常圧力式レベル計には、差圧伝送器が使用されています(メトリテープ式を除く)。差圧伝送器そのものについては、本誌の2002年11月号において説明したので、必要により参照してください。

2.直 接 式
 容器内の液体を直接差圧伝送器内に導く方法を直接式といいます。内圧のない場合と内圧のある場合の構成を、図1と図2に示します。図1のh 1は、容器と差圧伝送器の設置位置間の高さの差です。実際に知りたいのは液位hなので、h 1に相当した圧力分だけ差圧伝送器の零点をシフトさせて使います。これをゼロサプレッションといいます。
 容器内に内圧があっても、図2の構成にして容器の内圧を差圧伝送器の低圧側に導入すれば、差圧伝送器に加わる差圧ΔP は図1の圧力Pと同じになります。しかし、ボイラなどのように容器内に蒸気があると、常温では凝縮して液体となり、内圧を導入する導圧管内にたまります。この状態では、差圧測定が不安定になる可能性があるため、凝結器を図3に示すように設置して、低圧側の凝結液のレベルを一定にします。この方法をウエットレグ方式といいます。一方図2の方式はドライレグ方式といいます。ウエットレグ方式では、低圧側導圧管が液体に満たされるため、差圧伝送器の低圧側にかかる圧力が高圧側の圧力より高く、その結果差圧(ΔP)は常にマイナスになります。電子式差圧伝送器は、出荷時点では差圧が零のときDC4mA、差圧が100%のときDC20mAを出力するように製作されています。したがってこのようなケースでは零点を大きくシフトさせ、液位が零のとき出力がDC4mAになるようにします。これをエレベーションといいます(図4参照)。また、両導圧管内の液体の密度ρ1、 ρ2の変化は、レベル測定における誤差要因になります。

3.ダイアフラムシール式
 直接式レベル測定法では導圧管が必要ですが、導圧管には詰まりや洩れの心配があります。また腐食性が強い液や固形物を析出しやすい液では、差圧伝送器内に液体を入れることは好ましくありません。そのため、ダイアフラムシール付き差圧伝送器を採用する例が最近増加しています。なお、ダイアフラムシールというのは、液体の圧力をいったん薄い膜(ダイアフラム)で受け、封入液を充填した細いパイプ(キャピラリーチューブ)を介して差圧伝送器に圧力を伝える機器で、通常容器の側面にフランジで接続します(図5参照)。この方法でも、封入液の密度変化は誤差の原因になります。封入液の密度変化は温度変化によって生ずるので、高精度測定が必要なときは封入液温度補償型の製品が使用されます。

4.エアパージ式
 液体中に少量の空気を連続的にパージすると、その背圧はパージ管先端の液体の圧力に等しくなります。これを差圧(または圧力)伝送器に加えてレベルを測定する方法をエアパージ式といいます。この方法は、比較的低コストでレベルを測定できることと、差圧(圧力)伝送器の位置が測定に影響しないという利点があります。

5.投込み式
 上水、下水、河川、井戸、地下タンクなどの水位の測定は、今までに説明した圧力式レベル計では困難です。このような目的に、投込み式レベル計が使用されています。投込み式レベル計では、ケーブルの先に圧力測定部を取り付け、これを水中に投入して水位を測定します。圧力測定部は一般に円筒形で、内部に圧力検出変換部をもっており、検出した圧力をDC4~20mAに変換して出力します。ケーブルの内部には、電線のほかに圧力センサの片側に大気圧を導入するためのチューブも入っています。

6.メトリテープ式
 メトリテープ式レベル計は、液体の圧力によってテープ状のセンサがつぶれ、内部の抵抗線を短絡するという独特の原理に基づいています。原理図を図6に示します。
 テフロンのジャケットに包まれているセンサの内部には、ステンレス板に金メッキしたベースストリップと金メッキしたニクロム線の巻線(ピッチ6mm)が入っています。液体中にあるテープ部分では、液体の圧力によってジャケットがつぶれ、ニクロム線がベースストリップに押しつけられて短絡します。液面が下降すると巻いたニクロム線の弾性によって下降部の短絡状態が解かれます。そのため、センサの抵抗値は上部のつぶれていない部分のニクロム線の抵抗値になります。これを電流信号に変換して外部へ発信します。このセンサには、液面と抵抗の短絡位置との間に動作間隙があり、水の場合では125mm程度です。なお内圧のあるタンクでも、センサフィルタを通してタンクの内圧を導入すれば液位を測定できます。
 このセンサは、アメリカでオイルタンカー用に開発されたもので、高粘性液用にとくに適しています。  ■


前回へ 次回へ

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー
(旧社名:株式会社エム・システム技研)

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.