エムエスツデー 2007年5月号

フィールドロガー、テレメータ

テレメータD3シリーズ新製品
多重伝送 SIN-NET用 通信カード、ツイストペア用 10km対応通信カード、 光ファイバ用 通信カード(2)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 D3-LT5とD3-LP1の外観と寸法

 前号では、テレメータD3シリーズの多重伝送 SIN-NET用 通信カード(形式:D3-NS1の機能や特長についてご紹介しました。

 今号では、ツイストペア用 10km対応通信カード(形式:D3-LT5光ファイバ用 通信カード(形式:D3-LP1についてご紹介します。

 

 

2.ツイストペア用 10km対応通信カード:D3-LT5

(1)D3-LT5の特長

 D3シリーズのツイストペア用10km対応通信カードD3-LT5)の場合、私設線(シールド付より対線(ツイストペアケーブル) CPEV-S φ0.9)を使用して最大10km(50bps時)まで伝送することが可能です。

 通信カードの側面にあるディップスイッチを、マスタ局、スレーブ局に設定するだけで簡単に1対1の通信を行うことができます(図2)。

図2 1対1のシステム構成例(ツイストペア用10km対応通信カード(D3-LT5)実装)

図3 1対1(上位通信付き)のシステム構成例(ツイストペア用10km対応通信カード(D3-LT5)実装)

 また上位通信カード(表1)を実装すれば、PC または PLC による入出力の制御や監視を簡単に行うことができます(図3)。

表1 D3シリーズの上位通信カード

製 品 名 称
形 式
上位
通信カード
通信カード(CC-Link用、Ver.1アナログ16点対応) D3-NC1
通信カード(CC-Link用、Ver.1アナログ32点対応) D3-NC2
通信カード(CC-Link用、Ver.2対応) D3-NC3
通信カード(DeviceNet用、アナログ16点対応) D3-ND1
通信カード(DeviceNet用、アナログ32点対応) D3-ND2
通信カード(DeviceNet用、アナログ64点対応) D3-ND3
通信カード(Modbus用) D3-NM1
通信カード(Modbus、1対n専用) D3-NM2
通信カード(Modbus/TCP(Ethernet)用) D3-NE1
通信カード(Modbus/TCP(Ethernet)、1対n専用) D3-NE2
通信カード(Tリンク用) D3-NF1

 • 最大10kmまで伝送可能

 D3-LT5 の場合、通信速度を比較的低速な50bpsに設定することによって、最大10kmまでの伝送距離を実現しました。

 従来は私設線では実現できなかった、遠隔地に設置されている機器の監視、制御を D3-LT5 を使用して容易に実現できるようになりました。

 • 通信速度を自由に設定可能

 通信距離が短い場合、通信カードの前面パネルにある通信速度設定用スイッチを設定することによって、最大 38.4 kbps までの通信速度を選択することができます。

 通信速度を速くすることにより、自局入力カードから相手局への応答時間、また相手局入力カードから自局へ応答時間が速くなり、高速レスポンスを必要とするシステムに使用できます。

 通信速度の設定は、通信距離に応じて7段階から選択(表2)することができるため、用途にあった通信速度が選べます。

表2 D3-LT5の伝送距離

通信速度
伝送距離
50 bps 時 10 km 以下
300 bps 時 8 km 以下
1200 bps 時 6 km 以下
4800 bps 時 4 km 以下
9600 bps 時 3 km 以下
19.2 kbps 時 2.5 km 以下
38.4 kbps 時 1.5 km 以下

 • 通信状態を目視で確認

 D3-LT5 では、通信状態を前面パネルにあるRUN、ERR 表示ランプで簡単に確認することができます。

 側面ディップスイッチを設定することによって、データ送信時は RUN 表示ランプが赤色点滅、データ受信時は ERR 表示ランプが赤色点滅します。

 表示ランプの状態を確認することによりマスタ局・スレーブ局間のデータ送受信を簡単に確認することが可能です。

 表示ランプの標準設定状態は、データ交信時には RUN 表示ランプが緑色点灯、データ交信異常時には ERR 表示ランプが緑色点灯します(光ファイバ用 通信カードD3-LP1)の場合も同様です)。

3.光ファイバ用 通信カード:D3-LP1

図4 1対1のシステム構成例(光ファイバ用通信カード(D3-LP1)実装)

(1)D3-LP1の特長

 D3シリーズの光ファイバ用 通信カードD3-LP1)の場合は、光ファイバケーブル(GI-850nm)を使用して1対1通信が可能です。

 ツイストペア用10km対応通信カードD3-LT5)と同様に、上位通信カードを実装し、PC または PLC を使用して入出力の制御や監視を容易に行うことができます(図4)。

 • 接続、設定が簡単

 D3-LP1の光ファイバ線接続については、マスタ局のTXD(送信)とスレーブ局のRXD(受信)の間と、マスタ局のRXDとスレーブ局のTXDの間を共に光ファイバで接続するだけです。

 D3-LP1の通信の設定は、ツイストペア用 10km対応通信カードD3-LT5)と同様に側面にあるディップスイッチをマスタ局、スレーブ局に設定するだけで簡単に1対1の通信を行うことができます。

 • 通信区間は完全に絶縁

 D3-LP1では、通信線に光ファイバを使用しているため、光ファイバケーブル、マスタ局、スレーブ局の3者間は完全に絶縁されています。

 また絶縁されているため、通信線への雷やノイズの影響はありません。

 • 最大4kmまで伝送可能

 D3-LP1では、GI-850nmの光ファイバを使用して最大4kmまで(ただし最大許容損失:12dBで)伝送することが可能です。

お わ り に

 D3シリーズは、多くのお客様からのご要望と今までの経験をベースにして生まれた製品です。

 ツイストペア用10km対応通信カード、光ファイバ用 通信カードには、1対1 通信以外に下記の 1対n 専用通信カードも用意しています。

 • Modbus、1対n専用ツイストペア用 10km対応通信カード(形式:D3-LT6

 • Modbus、1対n専用光ファイバ用 通信カード(形式:D3-LP2

 ほかに現在、下記の製品化を予定していて、順次ラインアップを充実させていきたいと考えています。

 • 多重伝送 SIN-NET 用 テレメータカードインタフェース(形式:D3-NS2)(仮称)

 • 多重伝送 SIN-NET用 リモートI/Oインタフェースカード(形式:D3-NS3)(仮称)

 • 1:1専用(リピータ機能付)、無線テレメータRMD2対応 通信カード(形式:D3-LR1)(仮称)

 エム・システム技研は、お客様のご意見、ご要望をいただいて、今後さらにテレメータD3シリーズの機能の拡充に努めて参ります。


ページトップへ戻る