エムエスツデー 2009年9月号

リモートI/O、ドライバソフトウェア、BAコントローラ

リモートI/O R3シリーズの新製品紹介(3)
−ワンショット出力カード(形式:R3-PD16)−

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 ワンショット出力カード(R3-PD16)の外観と寸法

 今回は、ワンショット出力カード(形式:R3-PD16□)をご紹介します。

 現場機器の起動・停止を、PLCからフィールドバスを経由して実行する場合には、自動・手動の制御方式の切換えを含め、現場に信号保持回路などを使用していることがしばしばあります。このような場合には、PLCからの出力としてワンショット出力を使って制御します。

 なお、PLCからワンショット信号を出力することは可能ですが、リモートI/Oを使ってワンショット信号を出力できればPLCの負荷を減らせるだけではなく、現場制御も容易になります。

1.概 要

表1 ワンショット出力カードの種類

形 式 ワンショット出力種類
R3-PD16 リレー接点出力16点
R3-PD16A トランジスタ出力16点(NPN出力)
R3-PD16B トライアック出力16点
R3-PD16C トランジスタ出力16点(PNP出力) (開発中)

 リモートI/O R3シリーズのワンショット出力として4機種の信号を準備しています(表1)。

 これら4機種の動作は基本的には同じですが、信号の出力回路によって形式を分けています。

 ここでは、リレー接点出力(形式:R3-PD16)を例にしてご説明を進めます。

2.R3-PD16の概要

 R3-PD16は、Do16点(リレー)接点出力カード(形式:R3-DC16に出力モード設定のためのディップスイッチを追加したハード構成になっています(図2)。

図2 R3-PD16のパネル図

図3 R3-PD16の端子接続図

 したがって、出力端子配列などはR3-DC16と同一です(図3)。

 出力モードとしては、連続出力モード、ワンショット出力モード、発停ワンショット出力モードの中から側面のディップスイッチ(図2)を使って選択設定できます。

 ・ 連続出力モード
 接点出力カードR3-DC16)と同様に動作します。

 ・ ワンショット出力モード
 データ信号の立ち上がりを検出し、出力を一定時間ONにします。

 ・ 発停ワンショットモード
 データ信号の立ち上がりを検出し出力を一定時間ONにし、立ち下がりを検出し次の出力を一定時間ONにします。

3.R3-PD16の設定

 R3-PD16の設定は、側面のディップスイッチ(SW1、SW3)を使って行います(図2)。

 複雑な設定手順を必要とせず、設定操作は容易です。

 ・ ON時間設定(SW1)
 ワンショット出力モードと発停ワンショット出力モードの場合に、ON時間を100ms単位で設定できます。

 ・ 出力保持設定(SW3-1)
 連続出力モードの場合に、出力保持設定を行います。

 ・ モード設定(SW3-2、SW3-3)
 連続出力、ワンショット出力、発停ワンショット出力などの諸モードを設定します。

 ・ 出力データ長(SW3-4)
 発停ワンショットモード出力時の出力データ長を設定します。

4.R3-PD16の動作

 R3-PD16には3種類の動作モードがあります。

 ここでは各モードの動作を簡単に説明します。

 (1)連続出力モード

 このモードのR3-PD16は、接点出力カードR3-DC16)とまったく同じ動作を行います。

図4 データとリレーの割付(連続出力モード、ワンショット出力モード)
図5 データとリレーの割付(発停ワンショット出力モード)

 PLCなどからの16ビットデータの各ビットがリレー出力1個に割り付けられていて(図4)、ビットデータが“1”になればリレーは“ON”になり、“0”になるとリレーは“OFF”になります。

 (2)ワンショット出力モード

 データビットの立ち上がりを検出すると対応するリレーを設定された時間だけONにします。

 データとリレーの割付は、連続出力モードの場合と同じです(図4)。

 (3)発停ワンショット出力モード

 このモードは、出力データ長を8ビットまたは16ビットに設定(ディップスイッチSW3-4で設定)して使用します。

 ・ 出力データ長16ビットの場合

 データ2ビットが2個のリレーに割り付けられます(図5(a-1))。

 ビット1、2を“1、0”に変化させると、リレー1を設定時間“ON”にします。

 ビット1、2を“0、1”に変化させるとリレー2を設定時間“ON”にします。

 “0、0”の設定はリレー動作なしで、“1、1”は出力データリセットです。

 出力データリセットは、同じリレー(たとえばリレー1)を続けて“ON”にしたい場合に設定します(図5(a-2))。

 ・ 出力データ長8ビットの場合

 データ1ビットが2個のリレーに割り付けられます。このため、データビットの9~16は使用できません(図5(b))。

 ビット1の“0”から“1”への立ち上がりを検出すると、リレー2を設定時間“ON”にします。

 またビット1の“1”から“0”への立ち下がりを検出すると、リレー1を設定時間“ON”にします。

おわりに

 今回ご紹介したワンショット出力カードR3-PD16)は、ユーザー各位からのご要望を受けて製品化を実現した一例です。

 エム・システム技研ではR3シリーズをはじめリモートI/Oの入出力やフィールドバス通信の拡充に今後も努めて参りますので、よろしくご期待ください。


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