エムエスツデー 2009年12月号

電力監視コンポーネント、表示器

英文字表示 4点指示形
電力マルチメータ(形式:54U、54UC)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 英文字表示 電力マルチメータ(形式:54U、54UC)の外観と寸法

 パネル埋込形 電力マルチメータ(形式:54U54UC)については、すでに『エムエスツデー』誌2007年6月号2008年10月号2009年9月号でご紹介しましたが、おかげさまでその後受注が順調に続いています。ところで、最近海外のお客様から「96角より大きく、見やすいメータが欲しい」というご要望をお受けしたため、このほど54U54UCの英文字表示タイプを新たに追加しましたので、ここに従来の機能と併せてご紹介します。

1.英文字表示タイプについて

 “最大”“最小”や“警報”など、日本語で表現されていた部分が、英語に変更されています(図2)。英文字表示タイプは、ご注文時の形式コードにてご選択いただけます。機能や操作に関しては、日本語タイプと同じであり、日本語タイプと同様にご使用いただけます。

図2 110角 電力マルチメータ(54U)と96角 電力マルチメータ(53U)の寸法比較

2.外形について

 現在、パネル埋込形の電子式マルチメータについては、日本国内では、JIS C1103(配電盤用指示電気計器寸法)に準拠する110角の製品が主流ですが、海外ではIEC 61554(Panel mounted equipment - Electrical measuring instruments - Dimensions for panel mounting)に準拠する96角の製品が主流になっています。

 54・UNITシリーズは、この110角と96角のどちらのパネルにも取り付けが可能なため、パネルカットを変更することなく、既設のメータと置き換えることができます。

 図2に110角 電力マルチメータ(形式:54U)と96角 電力マルチメータ(形式:53Uの寸法を比較して示します。

3.主な機能と特長

(1)入力回路
 単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式の入力回路に対応しています。

(2)測定要素
 測定要素は、電流、電圧、有効電力、無効電力、皮相電力、力率、周波数、有効電力量、無効電力量、高調波注1)、電圧位相差など、様々な測定要素を計測できます。

 上記項目のほかに、潮流演算注2)、四象限演算注3)、最大値、最小値、電力デマンド、カウント時間など、合計450項目以上の中から選択し、測定値を表示できる高機能なマルチメータです。

(3)オープンコレクタ出力
 オープンコレクタ出力は、電力量計測用のパルス出力と、警報出力のいずれかに設定できます。オープンコレクタ出力1点+接点入力1点あるいはオープンコレクタ出力2点(接点入力はなし)のどちらかを選択できます。また、システム立ち上げ時に容易に接続の確認を行うための模擬出力機能も備えています。

(4)接点信号入力
 接点信号入力は、デマンド値の更新や電力量のリセット用トリガ信号に使います。また、Modbus通信を用いると、ON/OFF情報を測定データと共に伝送でき、接点の状態をモニタすることが可能です。

(5)Modbus通信、アナログ出力
 Modbus通信かアナログ出力のどちらかをご選択いただけます(ただし、54UCはCC-Linkのみ対応です)。

 Modbus通信の特長は、すべての測定項目の測定値を伝送することができ、必要な電力データを上位に送り、収集分析を行えることです。また、通信機能を使って、表示項目や警報値などの設定を行うことができます。コンフィギュレーションソフトウェアを使用することも可能です。

 アナログ出力は4チャネルあり、各種の測定項目を割り当てることができます。また、出力を任意の値に設定するためのループテスト機能も備えています。

(6)前面表示
 54・UNITの前面表示は、デザイン性に優れたLCDを採用し、バーグラフ1行とデジタル表示3行を表示します。最下行にはインフォメーション機能をもたせていて、通常は積算値を表示していますが、警報発生時には警報の内容を文字で点滅表示することによってオペレータに知らせます。

 バーグラフは選択切り換えにより、任意の測定項目を表示でき、目盛の最小値、最大値については任意の値に設定することが可能です。警報の範囲も同時にバーグラフで表示しているため、一目で測定値と警報の範囲を実量で把握できます。

 また、ホーム表示機能を設けていて、無操作状態が設定した時間続くと、あらかじめ設定した表示に戻ります。

(7)赤外線通信、コンフィギュレータ
 54・UNITは、赤外線通信アダプタ(形式:COP-IRUに対応していて、パソコンと54・UNITを非接触で通信させることによって、各種の設定が行えます。

図3 赤外線通信によるコンフィギュレーション

 コンフィギュレーションソフトウェア(形式:53UCFG)は、エム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp/)からダウンロードしてお使いいただけます。このソフトウェアを使えば、パソコン上で54・UNITのパラメータを編集することができ、機器パラメータの編集、書き込み、読み込み、パラメータのファイル管理、編集パラメータと機器パラメータの比較表示などが可能になります。機器前面からでも同じ内容の設定は可能ですが、53UCFGを用いることで、設定作業をより容易に行うことができます(図4)。

図4 コンフィギュレーションソフトウェア(形式:53UCFG)画面例

おわりに

 以上、英文字表示タイプを追加した電力マルチメータ54U、54UCをご紹介しました。

 今後も、電力管理関連機種の拡充に努めて参りますので、電力管理関連機器に関するご意見、ご要望などをおもちの場合は、ぜひともエム・システム技研ホットラインまでお寄せくださるようお願いします。

注1)高調波は、電流・電圧について31次高調波まで測定可能。
注2)送電、受電の演算
注3)送電LEAD・LAG、受電LEAD・LAGの演算


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