エムエスツデー 2009年1月号

電力監視コンポーネント、表示器

ピークホールド付、実効値演算形
高速CT変換器(形式:CTPH)、高速PT変換器(形式:PTPH)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 CTPH、PTPHの外観と寸法 エム・システム技研は、これまで様々な電力用変換器を開発して参りました。

 今回は、新たに開発した電力用変換器として、ピークホールド付、実効値演算形「高速CT変換器(形式:CTPH」およびピークホールド付、実効値演算形「高速PT変換器(形式:PTPH」についてご紹介します(図1)。

1.概 要

 今回ご紹介する製品は、ピークホールド機能をもった高速CT・PT変換器です。ピークホールド機能を使用することによって、最大過電流や最大過電圧を監視できます。

 これまでの高速CT変換器(形式:CTAF高速PT変換器(形式:PTAFは平均値演算形でしたが、今回開発した高速CT変換器CTPH)と高速PT変換器PTPH)は実効値演算形であり、高速応答を実現しました。

 応答が速いため、地絡時やモータの始動、拘束時に発生する過電流、欠相時に発生する過電圧などをより正確に監視できます。

表1 CTPH、PTPHの主な仕様

高速CT変換器(形式:CTPH) 高速PT変換器(形式:PTPH)
入力信号
AC0~1A、
AC0~5A
AC0~110V、AC0~220V
AC0~150V、AC0~300V
AC0~259V
第1出力信号
DC4~20mA、DC0~1mA
DC0~10V、DC0~5V、DC1~5V
第2出力信号(瞬時値出力/ピークホールド出力)
DC4~20mA、DC0~1mA
DC0~10V、DC0~5V、DC1~5V
供給電源
AC100~240、DC24V、DC110V
応答時間
実効値形 50ms以下(0 → 90%)
耐 電 圧
AC2000V

2.特長図2図3図4

 高速CT・PT変換器(CTPHPTPH)は、CPUを内蔵しデジタル演算によって実効値を演算しています。

 実効値を演算するのに、最短でも1周期は信号をモニタする必要があります。本製品は、1周期ごとに64回のサンプリングを行い、1周期ごとに実効値を演算し出力(応答時間50ms設定時)しており、実効値を演算するうえで最も速い信号処理を行っています。

 応答時間については、計測周期と信号変化の同期がとれないため、測定の都度異なりますが、入力周波数が50Hz(1周期20ms)の場合で応答時間(0→90%)が25~50msという超高速応答を実現しました。ただし、応答時間は可変であるため使用環境に応じた設定が可能です。

図2 CTPH、PTPHの前面パネル図

(1)応答時間
 前面ディップスイッチを使って、50ms、100ms、200ms、500msのいずれかから応答時間(0→90%)を選択できます。

(2)第1出力、第2出力
 第1出力は瞬時値だけを出力しますが、第2出力の場合は、前面ディップスイッチによって瞬時値とピークホールド値の出力切替えが可能であり、最大過電流、最大過電圧のモニタ用としてだけでなく、瞬時値2出力形の高速CT・PT変換器としてもご使用いただけます(ただし、それら2出力間は非絶縁です)。

(3)接点信号入力
 接点信号入力がONになると、ピーク値をリセットします。動作電源内蔵の接点信号入力であるため、別途外部電源を用意する必要はありません。接点信号入力がONの間は、前面LEDの点滅が速くなり、リセット直後の出力は瞬時値を出力します。

 第1出力・第2出力−接点信号入力間は、耐圧AC500Vの絶縁性能があります(信号入力−接点信号入力・第1出力・第2出力−電源間は耐圧AC2000Vの絶縁)。

(4)リセットボタン
 前面リセットボタンを使えば、接点信号入力と同様にピーク値をリセットすることが可能です。リセット時には、前面LEDの点滅が速くなります。

図3 CTPHのブロック図
図4 PTPHのブロック図

おわりに

 今回は、ピークホールド付、実効値演算形の高速CT変換器CTPH)と高速PT変換器PTPH)をご紹介しました。

 このほかにも、広帯域電流変換器(形式:CTS高速電力変換器(形式:MEWTF3要素形交流電流トランスデューサ(形式:L3CK3要素形交流電圧トランスデューサ(形式:L3PKなど、様々な電力用変換器をラインアップしています。

 ここにご説明した高速CT・PT変換器(CTPHPTPH)を新たにご使用いただくことによって、従来より安全な電力計装システムを、より容易にご構築されるためのお役に立つことができれば誠に幸いです。

 今後も電力関連製品の機能拡充、機種拡充に努めて参ります。電力関連機器に関するご意見、ご要望などがありましたら、お気軽にエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。


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