エムエスツデー 2008年1月号

電力監視コンポーネント、表示器

パネル埋込形 電力マルチメータ(形式:53U)
− 入出力仕様を追加 −

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、かねてより、省エネルギー実現のための電力監視システムを経済的かつ簡単に構築可能とする電力変換器の拡充に力を注いでいます。

 2006年に96角のパネル埋込形電力マルチメータ(形式:53U図1)を発売し、多数のお客様にご採用いただきました。また先般110角パネル埋込形電力マルチメータ(形式:54Uも発売し、国内外のお客様のニーズに応えるべく、引続き機種の充実を図っているところです。

図1 53Uの外観

 このたびは、53Uの出力および制御用入力仕様を追加し、入出力仕様の拡充を図りましたので、ここにご紹介します。

 具体的にはアナログ出力4点、アナログ出力2点、接点出力4点などの仕様を追加し、結果的に出力コードを8種類追加しました。

 アナログ出力信号は「DC4~20mA」または「DC1~5V」であり、出力および制御用入力点数については「アナログ4点」、「アナログ2点+接点出力2点」、「アナログ2点+接点出力1点+接点入力1点」を用意しました。

 接点出力は警報用またはパルス出力用に割当てることができ、「接点出力4点」、「接点出力3点+Modbus」を追加しました(詳細については、表1の追加仕様一覧をご参照願います)。

表1 53Uの追加仕様一覧(表中の数値は出力および制御用入力点数)

  外部
インタフェース
接点出力 接点入力 Modbus アナログ出力
DC4~20mA
アナログ出力
DC1~5V

1 1 1 1




2 4
3 4
4 1 1 2
5 1 1 2
6 2 2
7 2 2
8 3 1
9 4

主な機能と特長

 電力マルチメータ 53Uは、96角、ユーロ端子接続、ストッパ固定、IP50などの特長をもちます。

 従来の仕様と今回追加した仕様を以下にご紹介します。

(1)測定要素
 1台で単相2線、単相3線、三相3線、三相4線 といったすべての結線方式に対応できます。また測定項目としては、電圧、電流、有効電力、無効電力、力率、周波数、皮相電力、電力量、無効電力量、高調波注)、最大値、最小値、デマンドといった多数の要素から、ご希望に合わせてお客様が自由に選択・測定して、表示できるフレキシブルで高機能なマルチメータです。

(2)LCD表示
 53Uの表示は4行表示としました。

 上3行では、電圧、電流、電力などの瞬時値を表示します。また、できるだけ文字サイズを大きくし、視認性の向上を図りました。さらに、表示値と連動するバーグラフを3個用意して、現在値を一目で把握できるようにデザインし、日常監視の便を図っています。

 最下行には文字によるインフォメーション機能をもたせ、通常は電力量など積算値の表示を行っていますが、警報発生時には警報の内容を文字で点滅表示することによってオペレータに知らせます。機器設定時には、最下行に設定項目を文字で表示するようにし、マニュアルを見なくても設定できるようにしました。なお今回は、表示の更新周期を任意に設定できるようにしたため、測定値をゆっくりメモすることができます。

(3)操作性
 計測表示内容は、前面のボタンを押していくことで、電圧 → 電流 → 電力・・・のように簡単に切り換えられます。また、無操作状態が設定した時間続くと、あらかじめ設定した表示に戻るホーム表示機能を設けました。

 VT比、CT比の設定などで使用する設定メニューへのアクセスに際しては、暗証番号による保護機能を備えているため、間違ってうっかり設定値を変えてしまうことはありません。

(4)通信機能
 計測したすべての演算項目をRS-485 Modbus通信で伝送でき、各電力供給ラインごとに配置した53Uを上位でまとめて監視することによって、各種電力データの収集分析を容易に実現できます。また、通信機能を使って警報値やバックライトの輝度変更などの各種設定も可能です。

(5)接点出力
 接点信号の出力はオープンコレクタ出力であり、有効電力量、無効電力量などの計量用パルス出力あるいは警報出力のいずれかに設定できます。また、その際パルスレートや警報設定値を自由に設定できます。なお、模擬出力機能を装備しているため、立ち上げ時に容易に接続を確認できます。

(6)接点入力
 接点入力信号については、電力量計測におけるリセット用トリガ信号、あるいは昼間電力量、夜間電力量など測定条件の切り替え、設備のON時間の計測入力などに使用できます。またModbus通信によって接点の状態をモニタできるため、負荷のON/OFF情報を測定データとともに伝送できます。

(7)アナログ出力
 アナログ出力信号は4チャネルまたは2チャネルであり、信号としてはDC4~20mAまたはDC1~5Vのいずれかをお選びいただけます。それぞれのチャネルには各種の測定項目を任意に割り付けて出力できます。また MX・UNITシリーズ などでご好評をいただいている、立ち上げ時に出力を任意の値に設定できるループテスト機能も装備しました。

(8)パソコンによる設定
 コンフィギュレータソフトウェア(形式:53UCFG)をエム・システム技研のホームページからダウンロードしてお使いいただくことにより、パソコン上で電力マルチメータ53Uの設定編集、設定のファイル管理、編集画面の設定値と機器の設定値の比較表示などが可能になります。機器前面からでも同じ内容の設定は可能ですが、53UCFG を使用することによってはるかに短時間で簡単に処理できます。

(9)パソコンによる監視
 53U専用PCレコーダライトソフトウェア(形式:MSR128LU□に対応しています(図2)。このソフトウェアをお使いいただけば、市販のWindowsパソコンを利用して工業用記録計を実現できます。53U が収録したデータをパソコン上にトレンド表示、あるいは数値表示します。このソフトウェアもエム・システム技研のホームページからダウンロードしてお使いいただけます。

図2 53U専用PCレコーダライトソフトウェア画面例

お わ り に

 今回ご紹介した電力マルチメータ53U は、電力管理を行うお客様の声を反映した極めて使いやすく有用な製品であると確信しています。
 なお、エム・システム技研は、今回ご紹介した53U以外にも多種類の電力計測関連製品を用意しています。エム・システム技研の電力変換器シリーズを、省エネ実現のためにぜひお役立てください。

注)高調波は、電流・電圧について 31次高調波まで測定可能です。


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