エムエスツデー 2006年3月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

MSRproに新登場する
電力監視用ソフトウェア「MSReco」

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 近年、省エネルギー対策への関心が高まり、使用電力の削減や時間単位での使用電力の監視が必要不可欠な問題になってきました。

 企業や工場では、デマンド(最大需要電力)監視による使用電力量の計測や監視を行い、契約電力や消費電力量の削減によって省エネルギーとともに電気料金の節減を図る必要があります。とくに、年間使用電力量が600万kWhを超える企業では、エネルギー使用状況の記録が義務付けられています。

 このような状況に対応し、エム・システム技研では、リモートI/O R3シリーズを使用して電力監視を行うシステム機器および監視・記録用のソフトウェアを開発し、ご提供しています注1)

1.MSRecoの特長

 電力監視用ソフトウェア「MSReco」(エムエスアールエコ)の特長は、信号変換されたデータをネットワークを介してPLCへ送信するリモートI/O R3シリーズを収納したR3ベースに、電力量を測定する電力用カードを追加収納することにより、容易に電力の計測・監視・記録を可能にした点です。

 パソコンを利用することにより、電力監視用としての特別な計測・監視機器や記録機器の設置が不要となります。

 このように、MSRecoR3シリーズの各種入力カードと組み合わせて、各電力系統の使用電力量、電流などのデータを計測し、監視するソフトウェアです。

 図1に示すように、2048チャネル対応クライアント/サーバ形PCレコーダソフトウェアMSRpro(形式:MSR2K)」のサーバソフトウェアでデータ収録を行い、デマンド監視表示や電力監視表示はMSRecoで行います。

 MSRpro-Clientと併用して使用できるため、リアルタイムデータはMSRpro-Clientの画面で、電力監視用データはMSRecoの画面で表示するなど、画面の組合せが可能です。

図1 MSRproの構成

 以下、MSRecoに組み込まれる各画面とともに、各機能について説明します。

(1)デマンド監視

 デマンド監視時間における使用電力量を監視します。

 表示画面としては、デマンド監視画面とデマンド履歴画面とがあります。デマンド監視画面を図2に示します。

 デマンド監視画面では、リモートI/O R3シリーズ高速パルス積算入力カード(形式:R3-PA4A)によって演算した電力積算パルスデータを使用して、電力会社との契約電力との差を監視します。デマンド監視時間単位で目標電力量に対する予想電力量を計算し、4段階別の警報を発生します。デマンド監視時間単位で測定したデマンド量はファイルに保存されます。現在のデマンド量および予測デマンド量を折れ線グラフで表示し、警報状態を警報文字列と色で表示します。

 デマンド監視時間は15分、30分、1時間のいずれかを指定します。

 画面数は最大32画面(32系統)まで設定でき、2画面を同時に表示できます。

 各デマンド画面に対応するデマンド履歴画面は、デマンド監視時間ごとのデマンド実績値と、1日の合計、最大、最小、平均のデマンド値とを算出し、表示します。表示内容は、帳票としてのプリンタへの出力、およびCSV形式でのファイル出力ができます。

図2 デマンド監視画面

(2)電力監視

 工場の製造ラインやオフィスなどの系統別使用電力量をバーグラフと折れ線グラフで表示します。表示画面としては、電力監視画面と電力履歴画面とがあります。電力監視画面の例を図3に示します。

 電力監視画面では、1画面に1グループ(8系統)の電力量を表示できます。画面数は最大32画面まで設定でき、2画面を同時に表示できます。

 各画面に対応する電力履歴画面は、前日、前々日の合計電力量と、1日の合計、最大、最小、平均電力量とを算出し、表示します。

 積算電力量はファイルに保存されます。保存したファイルを使用して過去のグラフと比較し、使用電力量の分析などにご使用いただけます。

 表示時間単位としては、時間、日、月、年から選択でき、季節別、時間別の比較が可能です。

図3 電力監視画面

(3)帳票出力

 使用電力量を積算し、日報、月報、年報を作成します。1時間分のデマンド値と、最大、最小、平均デマンド値を算出し、印刷します。図4に印刷例を示します。

 デマンド値はデマンド監視時間に合わせて表とバーグラフで表示され、最大、最小、平均値は数値で表示されます。帳票については、プリンタへの印字およびCSV形式でのファイル出力が可能です。

 また、自動出力機能を使用することにより、毎日の使用電力量を定時刻に自動印刷することができます。

図4 印刷例

2.設定方法

 MSRecoの設定はデマンド監視画面上から行います。図5にデマンド画面の設定画面を示します。 目標デマンド値、警報値、表示色などを設定します。

図5 デマンド画面の設定画面

3.構 成 例

 工場内の使用電力量、各製造ラインの使用電流を計測、監視する場合の例をご紹介します。リモートI/O R3シリーズ電力入力カード(形式:R3-WT4)によって積算電力量を計測し、交流電流入力カード(形式:R3-CT4A)によって使用電流を計測します。各種カードからの入力データをMSRproサーバで収集し、MSRecoで監視・記録します。

 設備別、生産品目別など細かい単位で電力使用状況の計測を行うと、生産品目による設備稼働の変動やピーク時間などの分析を行うことができます。

 MSRproクライアントの背景画付監視画面注2)に電力系統図などを表示させ、MSRecoの電力監視画面と同時に使用することにより、図上でのより分かりやすいライン監視を実現できます。

お わ り に

 今回ご紹介した電力監視用ソフトウェア「MSReco」は、MSRproを収納したCD-Rに追加されます。

 今後も、R3シリーズ電力関連カードへの対応を広げ、充実した電力監視システムをご提案して参ります。どうぞご期待ください。

 (本稿にてご説明した仕様は、今後一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)

注1)電力監視システムについては、『エムエスツデー』誌2005年11月号でご紹介しています。
注2)背景画付監視画面については、『エムエスツデー』誌2006年1月号でご紹介しています。


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