エムエスツデー 2005年4月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

2048チャネル クライアント/サーバ形 PCレコーダ
MSRpro(形式:MSR2K)(2)

(株)エム・システム技研 開発部

 入力点数最大2048点、演算・解析機能付の新しいデータ収集・記録装置用ソフトウェアMSRpro(エムエスアールプロ)について、前号で製品概要と特長についてご紹介しました。
 今号では、MSRproの充実した様々な機能についてご紹介します。主な機能に関する仕様は表1表2に示すとおりです。

4. 充実した表示画面

 2048点という多チャネルのデータを表示するため、MSRpro-client/analyzerでは、次に挙げる4つの画面を用意し、用途に応じて使い分けられるようにしました。

  • トレンドグラフ画面
  • オーバービュー画面
  • アナライザ画面
  • アクティブトレンド画面

(1)トレンドグラフ画面
 収録データや演算したデータの時間経過をリアルタイムにトレンド表示する場合は、トレンドグラフ画面を用います(図1(a))。グラフの表示方向や、ペン指示の種類(マーカー、デジタル表示、バーグラフ、カラーグラフ)を選択できます。

(2)オーバービュー画面
 収録データとアラーム状態の監視表示を行う場合は、オーバービュー画面を用います(図1(b))。
 オーバービュー画面については、ご好評いただいているPCレコーダソフト(MSR128)の見やすい画面を、できる限り受け継ぎました。

図1 MSRpro-client/analyzerの各画面

(3)アナライザ画面  過去のデータの表示、解析には、アナライザ画面を用います(図1(c))。
 過去のデータを表示する際、データの条件を指定して検索・表示できます。検索の種類としては、最大値、最小値検索、指定値以上/以下の検索(アナログデータ)、エッジの立ち上がり/立ち下がりの検索(デジタルデータ)などがあります。
 また、重ね書き機能を使用すれば、過去のデータを3つまで重ねて表示でき、各データを比較できます。
 収録データはCSVファイルに変換して出力できますから、表計算ソフトなどを利用して詳細なデータ解析が可能です。

(4)アクティブトレンド画面
 リアルタイムにデータの重ね書きをしたい場合は、アクティブトレンド画面を用います(図1(d))。
 過去に収録した理想データと、これから収録するデータとを重ねて表示し、理想値との差を収録しながら確認できます。

 また、アクティブトレンド画面にはマスク表示機能があり、収録データを表示している画面に、設定範囲を示す陰影を同時に表示できます。したがって、収録中のデータが設定値の範囲に入っているかどうかを一目で確認することが可能です。

 また、マスク表示値をアラームの上下限値に設定することで、データが正常域に入っているか、アラーム領域に近づいていないかなどが確認できます。図2 右上は、マスク表示をアラーム上下限値に設定した例です。
 図2に示す4つの画面の中から必要な画面を選んでクライアントに表示できます。また、図2と同じ画面を表示することもできます。

図2

5.アラーム機能

 アナログアラームを設定すると、設定したしきい値に基づいて警報状態を検出します。また、ヒステリシスの設定、接点出力カードへの警報出力ができます。たとえば、温度の推移を監視する場合、熱電対入力カード(形式:R3-TS)で温度信号を入力し、警報を検出すると、接点出力カード(形式:R3-DC)を介して警報出力するシステムが構成できます。  デジタルアラームでは、接点状態により「正常」「異常」を検出します。発生したアラームはアラーム履歴に記録され、アラーム履歴のファイル出力も可能です。

6.CDの構成

 ここにご紹介したMSRpro(形式:MSR2K)は、MSRpro-server(サーバソフトウェア)、MSRpro-client/analyzer(クライアントソフトウェア)およびMSRpro-builder(設定用ソフトウェア)の3つのソフトウェアを1枚のCD-Rに収納しています。このCD-Rがあれば、設定、収録、データ表示、解析の全機能をご利用いただけます。

表1 ソフトウェア仕様

機能項目 仕 様
接続ステーション数 最大 8ステーション
最大チャネル数*1 2048点
フィルタ機能 移動平均
最速測定周期 100ms(ただし、接続できるステーション数は1ステーション)
演算機能 入力データに対して各種の演算を行い収録データとする 
演算種類:開平、四則演算、論理演算、温圧補正、折れ線近似
チャネル間演算 2チャネル間の演算
グループ 32チャネル/1グループ(64グループで2048点を表示)
収録周期 100ms、500ms、1s、2s、5s、10s、20s、30s、60sをグループ毎に設定可能
収録方法 連続、指定時間、トリガ(プレトリガ、ポストトリガ、トリガ期間)を
グループ毎に設定可能
警報(アラーム)検出 アナログ上下限警報:スケールを5ゾーンに分けて警報状態を検出する
デジタル入力警報:接点状態により「正常」「異常」を検出する
ヒステリシス アナログ上下限警報:各警報設定ゾーンに対して有効
デジタル入力警報:ディレータイマ 1~60秒
警報出力点数 すべての警報を出力可能
(ただし、実出力するには接点出力カードが実装されていることが必要です)
アラーム履歴 アラームの発生・復帰をタイムスタンプ付きでファイルに保存する
収録データの保存 Windowsファイル形式にて保存 CSV形式/バイナリ形式
データの接続 クライアントソフト(MSRpro-client/analyzer)に接続
設定機能 MSRpro-builder:MSRpro-serverへの各種設定を行うソフトウェアを用意

*1、収録データ、演算データを表示できる最大数です。

表2 データ表示仕様

項 目 機 能
監視表示機能 リアルタイム・トレンドグラフ表示(縦書き/横書き)最大32チャネル/画面
リアルタイム・オーバービュー監視画面表示 最大32チャネル/画面
最新アラーム表示
解析表示機能 解析データ表示(縦書き/横書き) 保存データ表示
比較(保存データ、リアルタイムデータ(8チャネルのみ))、検索、マスク表示、拡大
コメント書き込み、データ読み取り、実量表示
アラーム履歴表示
印刷機能 画面コピーをbmp形式で出力
設定機能 アナログアラーム警報設定値、ヒステリシスの設定
デジタルアラーム遅延時間、ヒステリシスの設定 グラフ・背景色の設定
システムメンテナンス MSRpro-builderを実行

お わ り に

 2回にわたってMSRproの概要・特長と充実した機能についてご紹介しました。  MSRproは、皆様のご期待に応え、新しく誕生しました。今後とも、皆様のご意見、ご要望を取り入れ、ご期待に添えるより良い製品にしていきたいと考えています。

(本稿にて記述している仕様は、一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)


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