エムエスツデー 2005年1月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

モバイル測定に最適なPCレコーダ入力(形式:RZUS-U9)
バスパワードUSB、チャネル相互間絶縁、12点ユニバーサル

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 RZUS-U9・RZMS-U9の外観 PCレコーダ 注)を発売して以来4年間、入出力ユニットのレパートリを拡充して参りました。とくに、2004年春にはRZMS-U9(チャネル相互間絶縁、12点ユニバーサルアナログ入力)を発売し、ご好評をいただいています。

 現在、このRZMS-U9の測定機能・性能・外形はそのままで、給電とPCインタフェースをバスパワードUSB(通信も給電もPCのUSBポートによる)としたRZUS-U9を開発中であり、近日発売の予定です。
 本稿では、電源配線を必要としない新しい入力ユニットRZUS-U9の主な仕様と特徴についてご紹介します。

図2 RZUS-U9とRZMS-U9の関係

1.基本構成とUSB仕様

 従来のPCレコーダ機器はCOMポート接続用で、COMポートのないノートPCに対しては図2(a)に示すように市販のUSB/RS-232-Cシリアル変換器を用いる必要がありました。また電源配線も必要で、これらの点からモバイルユースには少々不便でした。

 RZUS-U9は、図2(b)に示すように、USB/シリアル変換機能とRZMS-U9を一体化し、さらにUSBケーブルを通して受電するようにした製品です。そのブロック図は図3に示すとおりです。RZUS-U9のアナログ入力測定部はその構成・機能・性能においてRZMS-U9と同一です。

 RZUS-U9にはRZMS-U9がもつRS-485インタフェースを残してあり、これを介して従来のPCレコーダ用入出力機器と接続可能です。

 RZUS-U9は、Full Speed USB2.0(12Mbps)規格に完全に準拠し、USBから5V約0.25Aを受電して動作します。活線挿抜(ホットスワップ)を可能にする厳しい突入電流制限規格およびPCからの電源制御(低消費電力になるSuspendモード制御など)にも厳密に対応しています。
 利用可能なUSBケーブルは最長5mです。

図3 RZUS-U9のブロック図と入力接続

2.アナログ入力基本仕様

 表1に、新製品RZUS-U9と既存PCレコーダ入出力ユニットの主な仕様を示します。
 新製品RZUS-U9は、RZMS-U9が実現した12チャネル相互間絶縁と直流・熱電対・測温抵抗体・ポテンショメータ入力の機能・性能を継承しています。また、フィルタリング時定数・バーンアウト検出モードなどの設定機能、現場校正機能、測温抵抗体入力における線路抵抗補償機能などもRZMS-U9から引き継いでいます。

 RZUS-U9の詳細設定にはRZMS-U9同様にコンフィギュレータソフト(RZMSCFG)を用います。このときのパソコン・RZUS-U9間接続もUSBで行えます。

表1 PCレコーダ用入出力ユニット

→拡大図

3.アナログ入力測定部の構成と特徴

 図3に示すように、アナログ入力チャネル相互間および警報出力・トリガー入力・通信インタフェース(USB およびRS-485)間はすべて絶縁されています。
 アナログ入力部は光リレーマルチプレクサとフローティングADCによって構成され、複数チャネルの光リレーが同時には絶対オンにならない回路により、チャネル相互間絶縁を確保しています。
 50/60Hz電源ラインからのノーマルモードノイズは、AD変換周期を電源ライン周期の整数倍にすることにより除去します。

 以上は記録計の入力回路として一般的な方式です。しかし、同様の構成でも他社製記録計の多くは、ノーマルモードノイズが重畳するとADC前置アンプが飽和し測定誤差を生じ易いという問題をもっています。その原因は、光リレーマルチプレクサ回路の過渡応答に関係し入力回路フィルタ時定数を大きくしにくいためです。RZMS-U9およびRZUS-U9では、独自の技術によって過渡応答の高速性と入力回路フィルタの大きな時定数との両立を図り、この問題を解決しています。

お わ り に

 本稿でご紹介したRZUS-U9によりPCレコーダの適用範囲がさらに広がることを願っています。とくにモバイルユースでの活躍が期待されています。

注)PCレコーダの従来製品につきましては、製品紹介パンフレットをご覧ください( エム・システム技研ホームページhttps://www.m-system.co.jp/Japanese/index.htmlでもご紹介しています)。


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