エムエスツデー 2006年5月号

MsysNet、SCADALINX

Webブラウザ対応監視ソフト
SCADALINX HMI Ver.2(2)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 本稿はWebブラウザを利用するサーバ・クライアント形のHMIソフトウェア「SCADALINX HMI(形式:SSDLX)」Ver.2の機能紹介の2回目です。

 前回は、Ver.2で追加された帳票機能についてご紹介しました。今回は、リモートI/O(Modbus通信)への対応および4点警報と強化されたアラーム機能についてご紹介します。

1.リモートI/O(Modbus通信)対応

 SCADALINX HMI Ver.1で接続できる機器は、エム・システム技研独自のL-Busプロトコル機器に限定していました。Ver.2では業界標準として世界的に普及しているオープンネットワーク、Modbus/TCPの接続を可能にしました。

 すなわち、SCADALINX HMI リモートI/O R3シリーズR5シリーズ図1)、ネットワーク変換器(形式:72EM-M4などを介してリモートI/O R1MシリーズR2Mシリーズ および RZMSシリーズ などに接続し、分散化された監視システムを構築することができます注1)

図1 システム構成例

2.4点警報機能

 SCADALINX HMI Ver.1では、アナログ値の警報設定は、上限・下限の2点だけでした。お客様からの上上限・下下限の警報設定ができれば使いやすいというご要望にお応えするため、Ver.2では4点警報機能を追加しました。

 4点警報機能の概要について、まずご説明します。

 (1)4点警報タグの登録

 図2は4点警報の設定画面です。1チャネルのアナログ入力に対して上限・上上限・下限・下下限アラームを設定する際には従来の方法では、それぞれ4つのアナログアラームタグを登録し、それぞれのプロパティ画面にてそれぞれの発生条件を設定する必要がありました。しかし今回、アナログアラームタグのアラーム種別に「4点警報」を追加したことにより、1つのタグ、1つのプロパティ画面にて4つのアラームの登録が可能になり、効率の高いエンジニアリング作業ができるようになりました。

図2 4点警報の設定画面

 (2)フェースプレート

 モニタ画面のフェースプレートとして4点警報アナログアラームタグを指定することが可能になりました。4点警報フェースプレート(図3)を使うことによって、アラームの発生条件や状況を視覚確認することができます。

図3 4点警報のフェースプレート

3.アラーム機能の強化

 (1)アラーム限界値の四則演算式

 アナログアラームの発生条件である限界値については、限界値計算式として定数値だけではなく、複数のプロセスタグ値や定数値を組み合わせた四則演算式が設定できます注2)。また四則演算式を入力するための支援機能も備えています(図4)。

 (2)アラーム限界値をモニタ画面から変更

 他のプロセスタグ値を変数とした、限界計算式を設定できるようになったことにより、アラーム限界値をモニタ画面から直接変更できるようになりました。

 限界値計算式中に呼び出されているプロセスタグ値を、モニタ画面から変更した場合には、アラーム限界値も限界値計算式に応じてリアルタイムに変更されます。また、アナログ4点警報タグを使用すれば、運転中にチューニング画面からアナログ値の状態を確認しながら限界値を変更することが可能です注3)図5)。

 (3)アラーム発生/復帰時に操作出力を発生できます

 アラーム発生時に、他のアナログ/デジタル出力プロセスタグにアラーム状態を出力する設定を行うことができます。この出力値には、定数値以外にもプロセスタグを設定することができます。プロセスタグをアナログ出力値として使用すると、運転中に出力値を変更することが可能です(図6)。

 出力プロセスタグにアラーム状態を出力することにより、アラーム発生時に警報灯を動作させるなどのシステム構築が可能になりました。

 表1にアラームタグの仕様を示します。

表1 帳票機能

タグの種類 アナログアラーム(上限、下限、偏差上限、偏差下限、変化率、4点警報)、デジタルアラーム
タグ名の文字数 最大半角16文字、英数字とハイフン( - )、アンダスコア( _ )のみ(全角文字使用可能)
タグコメントの文字数 最大半角16文字(全角文字使用可能)
最大タグ数 アナログアラーム10000(4点警報時は最大5タグ分使用)、デジタルアラーム1000

 

お わ り に

 以上、2回にわたってSCADALINX HMI Ver.2の機能についてご紹介しました。今後も、お客様からのご要望にお応えして機能の追加充実を図って参ります。どうぞご期待ください。

注1)SCADALINX HMIで利用できるリモートI/O機器の機種については、仕様書あるいはホットラインへのお問合せにて、ご確認ください。
注2)限界値計算式には半角256 文字まで設定可能です。また限界計算式中にはプロセスタグ値は6個まで使用可能です。
注3)チューニング画面での4点警報アナログアラームタグの限界値設定は、図4の限界値計算式で四則演算を含まないプロセスタグが1個だけ指定されている場合に可能です。

SCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。


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