エムエスツデー 2010年1月号

信号変換器、警報設定器

Products Review
充放電試験装置用 高性能アイソレータ

充放電試験装置用 高性能アイソレータ

高精度・超高速 直流入力変換器

図1 英文字表示 電力マルチメータ(形式:54U、54UC)の外観と寸法

 各種電池の「充放電試験装置」用に開発しました。

 電気自動車用ニッケル水素電池やモバイル機器用リチウムイオン電池など、エコの面でも携帯性の面でも、電池は日常生活に欠かせない存在になりました。この電池の開発・生産において、性能・品質検査を行う「充放電試験装置」はとても重要な役割を担います。その「充放電試験装置」で信号の絶縁・変換を行う高性能アイソレータを新たに開発しました。

 アイソレーション(絶縁)回路の設計は、エム・システム技研が最も得意とする技術のひとつです。このたび開発しました高性能アイソレータは、特にお客様からご要望があった機能・性能を実現し、工業プロセスの計装用とは少しことなるアイソレータに仕上がりました。エム・システム技研では、高性能アイソレーション機能をもつ変換器2機種およびモジュール形アイソレータで商品化いたします。

 なお本文では「みにまるシリーズ M2VF3」のデータをもとに説明させていただきます。

高性能アイソレータ

特長1. 高精度変換

 なぜ高精度が必要か?

 逆電圧や過電圧の印加など、各種の測定モードをカバーするために、通常、変換器には余裕のある測定レンジを設定します。一方、リチウムイオン電池の満充電(充電完了)点の検出等においては、測定レンジ中の微小な範囲での電圧変化を測定する必要があります。したがって、変換器には0.1%以下の高精度が求められます。

高精度変換

特長2. 超低温度ドリフト

 なぜ低温度ドリフトが必要か?

 基準精度が良くても、温度特性が悪くては総合変換精度が落ちます
(→総合精度=基準精度+温度特性×温度変化量)。

 通常、試験装置では起動/停止の頻度が多く周囲温度の変化が大きい一方、何か月にもわたる長期連続測定を行うこともあります。したがって、変換器には極めて温度ドリフトが低い、優れた温度特性が求められます。

超低温度ドリフト

特長3. 超高速応答

 なぜ高速応答が必要か?

 電池の急激な負荷変動や短絡時、物理的な破壊時などにおける過渡的な電圧変動を観測するために、解析ソフトでは、1kHz以上の高速サンプリングでデータ収集をします。

 したがって、その前段に設置するアイソレータには、一桁以上高い周波数への応答が求められます。

超高速応答

まだまだある特長

(1)ノイズに強い
● CEマーキング適合
● IEC61000-4-6準拠

  充電用電源や放電用負荷などのインバータが発生する高周波ノイズに対しても強い耐性があります。

(2)超低消費電力
●低消費電力 0.4W(負荷抵抗が1MΩのとき)

  超低消費電力であるため発熱が少なく、盤内に多連密着取付けしても問題ありません。

(3)安心の完全絶縁
●ガルバニックアイソレーション方式による3ポート絶縁
 絶縁耐圧 : AC2000V 1分間

  入力−出力−電源間の3ポート完全絶縁であるため、安心です。

充放電試験装置の概略構成例

 充放電試験装置では、様々な充放電モードやパターン移行条件を組合わせて各電池セル電圧(Vc)、充電電圧/放電電圧(Vb)、充電電流/放電電流(Va)、並びに各セルの温度(Ta)、周囲温度(Tb)などを測定します。測定値は、信号変換器により計装用統一信号に変換され、パソコンのA/D変換ボードを経て解析用ソフトウェアのデータとして取り込まれます。

充放電試験装置の概略構成図


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