エムエスツデー 2007年1月号

操作部コンポーネント、電源、共通機器

CC-Link対応 電子式アクチュエータ
ミニトップシリーズ

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 ユーザー各位のご愛顧を受け、エム・システム技研は、変換器メーカーとして国内のみならず海外にも広く知られるようになりました。

 エム・システム技研の主力製品は工業用信号変換器ですが、ほかにも多種類の工業計器をご提供しています。

図1 CC-Link対応ミニトップ(形式:MSP5C)

 今回はその中からバルブアクチュエータについてご紹介します。ご存じのとおり、バルブアクチュエータとしては空気式の製品が世の中で大半を占めています。そのような中、エム・システム技研は、全電子式アクチュエータを早くから市場に投入し、電子式アクチュエータのパイオニアとしての地位を築いて参りました。

 おかげさまで、電子式アクチュエータの販売は年々増加傾向にあり、今後も確実に増加してゆくものと考えています。今後も、より優れた魅力のある製品を世に送り出し、電子式アクチュエータのさらなる地位向上に努めたいと考えています。

 そのような方針の一環として、新しい製品を開発しましたのでご紹介します。

1.ミニトップ

 エム・システム技研には、ミニトップシリーズと呼ばれる小形の全電子式アクチュエータがあります。

 構成は大きく2つに分かれ、リニアモーションタイプの MSP、ロータリモーションタイプの MRP があり、推力やストロークに応じてさらに細分化されています。

 このミニトップのアナログの入出力部を CC-Link 用入出力部に置きかえたのが、今回ご紹介する製品です。

 その他の仕様についてはアナログ信号タイプのミニトップとまったく同じです(図1)。

表1 CC-Link対応ミニトップの主な仕様

タ イ プ
リニアモーションタイプ
ロータリモーションタイプ
形  式
開度検出
ポテンショメータ
最大ストローク
または最大回転角度
15 mm
20 mm
40 mm
180°
90°
180°
最大推力またはトルク
および最大速度
700 N
700 N
2500 N
5 N ・ m
10 N ・ m
33 N ・ m
5秒/10mm
5秒/10mm
5秒/10mm
7秒/90°
13秒/90°
4秒/90°
分 解 能
1/1000
駆動用モータ
ステッピングモータ
通信ケーブル接続方法
5芯マイクロコネクタ(CC-Link規格)
電源ケーブル接続方法
4芯マイクロコネクタ
電  源
DC24V
保護等級
IP55

2.通信付き

 インターネットの普及は確実に社会を変えました。PA や FA の世界においてもネットワーク方式はもう当たり前になり、監視レベルの上位からセンサレベルの下位にいたるまで、多様なネットワークが使用されています。

 今回、ミニトップに搭載する通信方式 CC-Link は、主に三菱電機製 PLC にて使用されるオープンフィールドバスです。

 では、以下に CC-Link を搭載したことによるメリットをご紹介します。

 (1)コストダウン

 まず、PLC で多数のミニトップを使用する場合は、システムの構築コストを下げることができます。

 たとえばアナログ信号タイプのミニトップを使用すると、その台数分のアナログ信号出力(開度指令)とアナログ信号入力(開度モニタ)ユニットを PLC で用意する必要がありますが、CC-Link を使用すればミニトップ 64台までなら通信ユニット1台で構成できます。

 また、配線作業も電源を除けば通信ケーブル1本に集約されるため作業コストの低減が可能であり、システムの簡素化も実現します(図2)。

図2 システム構成例

 (2)診断情報

 ネットワーク通信方式に対応したことにより、起動回数、反転回数、総運転距離、異常警報の情報をモニタすることができます。

 これらは、ミニトップ自体の診断やバルブのメンテナンス時期の目安を与えてくれます。また、PLCの時計機能とミニトップの運転状況などから、システムが適切な運転状況にあるかどうかの診断にも活用できます。

 また、これらの情報は不揮発性メモリに保存され、電源を切っても失われることはありません。

3.アクチュエータ機能

 ミニトップは、1/1000の分解能を誇る高性能電子式アクチュエータです。

 またモータにはステッピングモータを使用していて、DCモータに見られるブラシの摩耗はなく、寿命の点でも優れています(図3)。

図3 ミニトップの内部構造 

 電源コネクタ、通信コネクタともに防水コネクタを使用しているため、市販の専用ケーブルを使用するだけで、IP55相当の防水結線が行えます。

お わ り に

 近年、マイクロプロセッサの価格性能比の向上から、見かけ上はアナログ信号を扱う製品でも、内部にマイクロプロセッサを搭載しているケースが非常に多くなってきました。

 ただしこの場合、内部はデジタル信号処理であっても、外部に対してはA/D、D/A変換を行う必要があります。

 しかしデジタル通信を装備すれば、そのまま伝送誤差のない送受信が可能になります。また、診断情報など多くの情報を発信できることから、マイクロプロセッサの恩恵を最大限に引き出すことが可能です。

 マイクロプロセッサを内蔵した製品は何でもネットワーク通信方式に対応すべきだとは思いませんが、価格的、機能的に見て極めて効率が良い場合が多いと思います。

 ミニトップのデジタル通信は、現在 DeviceNet と CC-Link の2つの通信に対応できるようになりました。多数のミニトップを使用する場合や、PLCをマスタにする場合にはぜひご検討願います。

 今後も、さらなる電子式アクチュエータの進化に力を入れて参ります。ご意見、ご要望をぜひお寄せください。   

ミニトップは、エム・システム技研の登録商標です。


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