エムエスツデー 2017年10月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 毎年7月が来ると、テニスの世界4大グランドスラム大会の一つである「ウィンブルドン選手権大会」が、ロンドン近郊のウィンブルドンで開催されます。多分イギリス人は、この大会が世界で最も権威のあるものと言いたいのでしょう。会場へ入るとすぐの所で、主な出場選手の写真とプロフィールのほか、過去の優勝者リストや当日のプログラムが詳細に記された印刷物が10ポンドで販売されており、その表紙には「THE CHAMPIONSHIPS」と記されていました。今年は、これが最後になるかもしれないという思いで、夫婦連れで出かけることにしました。
 何しろこの7月は私の誕生月であって、83歳になりました。ロンドンはまともに地球の裏側に当たり、日本とは昼夜が逆になっていますので、「時差に耐えられるかな」と心配になりましたが、何とか無事に観戦して帰国しました。
 今回は「テレビに映ってやろう」と考えて、日の丸の扇子を懐に入れて会場に臨みました。初日の7月3日(月)には、入場して早速日本人選手がプレーをしているコートへ直行しました(年甲斐もなく・・・)。そして大坂なおみ選手が一回戦を戦っているコートを見つけ、チェンジコートの時に座るベンチの後ろに立って、扇子を振って応援?をしました。このゲームは、日本ではWOWOWのチャンネルで放送されていましたので、私が会場に居た証拠になりました。
 今回も、イギリス人は忍耐強いと改めて感心する場面がいくつかありました。その一つは、私が宿泊したホテルのエレベータに「閉」のボタンがなかったのです。途中で乗り降りする人がいると、なかなか目的の階に着かず、じれったくて参りました。もう一つは、テロの警戒もあってか、テニス会場で一般の入場者には全員携帯荷物のX線検査があって、長蛇の列ができており、並んで数時間待たされることもありましたが、それでも誰もがおとなしく、最後尾の大きな黄色い旗をもった係員から順次番号札を受け取って、整然としていました。
 ウィンブルドンから帰国してみると、出かける前に関係者にお願いしておいた「プレゼンマップ」(新製品をお客様の前でプレゼンテーションするときに用いる、見易いカラー印刷の8ページ構成のパンフレット)の原稿がいくつもできていて、私の原稿確認を待っていましたので、時差ボケによる疲れなどは言っておられませんでした。

リモートI/Oシリーズ プレゼンマップ
リモートI/Oシリーズ プレゼンマップ

 エム・システム技研では、日本国内で使用されている各種のオープンネットワークのほとんどに対応したリモートI/Oを商品化して、新しいネットワークの時代にお役に立とうとがんばっています。計装用に特化したリモートI/Oシリーズや、FA用の高速通信を可能にしたリモートI/Oシリーズ、そしてビルオートメーション用に特化したリモートI/Oシリーズも用意して、お客様のご要望にお応えし続けています。その活動の結果が如実に表れているのでしょう。ここ数年リモートI/Oシリーズの需要が急拡大しています。

 私が工業計器の仕事に携わったのは、1958年に(株)北辰電機製作所に入社した時からですが、その頃の工業計器は空気式制御が一般的で、ようやく電子式の工業計器が誕生しようとしていました。今思えば空気式制御の出力信号を備えた電子管式指示記録調節計が、唯一PID制御を行う製品で、良く売れていたように記憶しています。
 間もなく、電子技術の急速な進歩に促されるようにPA(プロセスオートメーション)用電子式工業計器が熾烈な開発競争を展開し、DCSの時代へと発展して高度成長を支えてゆきました。
 1970年頃のFAの世界では、装置の制御にはリレーシーケンスが用いられていましたが、アメリカ発の「シーケンサ」(または「PLC」)と呼ばれる電子機器の流入に刺激を受けた電機メーカーは、より高度な制御が行えるμCPUを駆使したシーケンサを開発してその普及に努め、その先にはロボット用制御モータをモーションコントロールすることで、FAの世界が急速に拡大発展してゆきました。PA、FAを問わず物づくり工場では、プラント設備や加工機械に対する自動制御化は企業の競争力を獲得する為に不可欠なものとして追求され、自動化、省力化が進んでゆきました。
 さてそのような高度な工業化社会でも、これらの生産設備を円滑に運転してゆくためには、電力設備・水道設備のほか、ガスのようなエネルギー源を供給する設備などが正常に稼働していることが前提です。これらをまとめてユーティリティ設備と呼ばれていると思いますが、その中には圧縮空気を供給するコンプレッサ、蒸気や温水を供給するボイラや、工場排水を処理して放出する設備まで含まれると考えられます。このユーティリティ設備ですが、どうしても工場設備の中では脇役と見なされることもあり、そのための計装は集中管理の対象にはなりにくく、計装投資が行き届いてこなかったのではないかと思われます。
 折りしも、世界的に地球温暖化を引き金にした自然環境問題がクローズアップされ、電力の節減、排水の水質確保などが重要課題になってきました。

 エム・システム技研では、このような環境に一石を投じるべく、ユーティリティ設備の集中監視を経済的かつ手軽に実現する920MHz帯の電波を利用した計測・監視情報の無線伝送機器(商品名「くにまる®」)の商品化を果たし、関係者筋の注目を集めています。また、ほとんど毎日全国各地のお客様にデモPRをすると同時に、ご要望の測定現場と事務棟の間の電波通信テストをその場で行って、確実に電波が届くことを確認させていただいております。工場内外に設置された配電盤に「くにまる®」の子機を配置して、工場全体の消費電力の「見える化」を実現し、工場全体の効率的な稼動に貢献させていただいております。
 更にまた、工場の運転に欠かせない圧縮空気の集中管理もこの「くにまる®」を用いて手軽に実現できます。給水ポンプ、排水ポンプなどに対しては、運転状況の把握はもちろんのこと、振動センサなどと組合せて予知・予防保全にも役立っています。最近目立つのは、大学の研究棟や各種工場の排水のpHの集中管理の仕事が増加していることです。こんなところにも世相が現れていることを感じております。
 面白いアプリケーションとして目を引いたのは、ゴルフ場の散水設備の一件です。給水する地下水のポンプの発停をスマホから行うというものです。ポンプの止め忘れに気がついたときに、スマホから停止信号を送れるようにするというもので、これは身近なIoTではないかと思いました。

 このようにエム・システム技研は今まで陽の当らなかったユーティリティ設備の集中監視を、容易かつ安価に実現する無線機器のラインナップを揃えて、日本中の工場でまだまだ続く「見てまわり手書きメンテナンス」の世界の脱皮に貢献してゆきたいと考えています。
 読者の皆様にはぜひご声援のほど、よろしくお願い申しあげます。

920MHz帯 マルチホップ無線 くにまる® 充実したラインアップ!
920MHz帯 マルチホップ無線 くにまる® 充実したラインアップ! [拡大図

ウィンブルドン選手権大会2017

(2017年10月)


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