規格/標準

エムエスツデー 1995年4月号

計装豆知識

SI単位の話(2)印刷用PDFはこちら

法定計量単位

計量法に定められた単位を法定計量単位と言いますが、「法定計量単位以外の計量単位は、取引または証明に用いてはならない」とされています。さらに、法定計量単位以外で目盛られた計量器は、販売も修理も禁じられます(これに違反したときは、罰則が適用されます)。そのため、新計量法で削除された単位で目盛られた計量器(たとえばkgf/cm2目盛の圧力計)は、所定の猶予期間後は、このままでは修理はできず、また新しく購入することもできなくなります。

猶予期間は単位別に3種類決められていますが、圧力の場合は1999年9月末までです。

新計量法における圧力の単位

新計量法における圧力の単位を表1に示します。参考までに1999年10月以降使用できなくなる単位も示しておきます。

表1 新計量法における圧力の単位

分類 単位
1999年10月以降も使用可 SI単位およびこれに準ずる単位 パスカル(Pa)、ニュートン毎平方メートル(N/m2)、バール(bar)
SI単位以外の単位 気圧(atm)
1999年10月以降使用不可 kgf/m2、kgf/cm2、mH2O、mmH2O、mHg、mmHg など

注)Torr は1997年10月以降使用不可

ところで、パスカルやニュートンとは何でしょうか。これらは、質量をベースとして力を定義するところから生まれた単位なのです。

SI単位系では、力の単位にニュートン(N)を使いますが、これは“1キログラムの質量の物体に、1メートル毎秒毎秒の加速度を与える力の大きさ”と定義されています。物体の重量は、物体が重力によって地球に引っ張られているために生ずる力です。重力の加速度は9.81メートル毎秒毎秒ですので、1ニュートンは1kgf の9.81分の1です。一方パスカル(Pa)は、“面積1平方メートルあたり1ニュートンの力が作用する圧力”と定義されています。これより、1パスカルは1kgf/cm2の9.81×104 分の1であることがわかります。

表1からおわかりのように、新計量法により、従来の圧力計の目盛りは、事実上ほとんど改造せざるを得ないこととなります。これによる費用の発生もさることながら、目盛りの桁数が大幅に変わるのはもっと問題でしょう。1kgf/cm2=98.1kPa となりますので、オペレータにとってはこれに慣れるまでが大変だと思います。

1つの選択肢バール

ただし1つの選択肢として、バール(bar)を使用する考え方があります。これはSI単位の親類で1bar=105Paです。ヨーロッパで広く使用され、とくにドイツではバール一色です。これを使うと1kgf/cm2=0.981bar となり、2%しか違わないのでオペレータにもなじみやすいでしょう。

表2に圧力単位の換算表を示します。この表では有効数字3桁で丸めてあります。

表2 圧力単位の換算表

Pa kPa bar kgf/cm2 mmH2O mmHg
1 1×10-3 1×10-5 1.02×10-5 0.102 7.50×10-3
1×103 1 1×10-2 1.02×10-2 1.02×102 7.50
1×105 1×102 1 1.02 1.02×104 7.50×102
9.81×104 98.1 0.981 1 1×104 7.36×102
9.81 9.81×10-3 9.81×10-5 1×10-4 1 7.36×10-2
1.33×102 0.133 1.33×10-3 1.36×10-3 13.6 1

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