変換器

エムエスツデー 1994年2月号

計装豆知識

変換器の基準精度と許容差印刷用PDFはこちら

エム・システム技研のMSS(仕様書集)では、変換器の精度を表す用語として、基準精度と許容差の2通りを使用しています。

●基準精度:計装用変換器に適用
 精度に影響する外部要因をすべて基準動作条件下で固定する。

●許容差:電力用トランスデューサに適用
 精度に影響する外部要因は、どれか1項目だけ規定範囲内で変化してもよい。

精度を表現する統一規格はありません

精度に影響を与える外部要因(環境条件など)はたくさんあります。精度を表現するとき、この外部要因をすべて盛り込むか、あるいは部分的に盛り込むか、それとも完全に除外するかを統一的に決めている規格は存在しません。

したがって、ユーザーが複数のメーカーの同じ種類の変換器について比較するとき、各社が同じく「精度:±0.1%」と表現していても、実際の実力値はメーカーにより異なるかも知れません。

変換器の精度に影響するおもな外部要因

精度に影響を与える外部要因としては以下のようなものがあります。
 ●自己加熱
 ●周囲温度
 ●供給電源電圧
 ●電源周波数
 ●外部磁界
 ●入力側の各種条件
 ●出力側の外部負荷抵抗

基準精度

エム・システム技研では基準精度を次のように規程しています。

「基準動作条件において、エム・システム技研で管理している信号発生器と測定器を使用した場合の、理想出力と実際の出力との差を出力スパンに対する%で表したもの」

ここで、基準動作条件とは、精度に影響する外部要因が、エム・システム技研が定めた範囲に固定されたときの測定条件を言います。

外部要因のうち、基準動作条件から外れると基準精度に大きく影響するものは、その割合を仕様書上で個別に表現しています。たとえば、「周囲温度の影響」などがその例です。

許容差

電力用指示計の精度を示す「階級」と類似の内容を電力用トランスデューサの「許容差」と呼んでいます。許容差は、精度に影響する外部要因が1個変動しても、その許容差内に入るという数値です。

すなわち、「許容差」は、「基準精度」に「外部要因1個分の変動幅」を加えたものに相当します。

ここに考慮している外部要因とその許容変動幅は次表のとおりです。

電力用トランスデューサの許容差に含め得る外部要因とその許容変動幅

電力用指示計の精度を示す「階級」と類似の内容を電力用トランスデューサの「許容差」と呼んでいます。許容差は、精度に影響する外部要因が1個変動しても、その許容差内に入るという数値です。

すなわち、「許容差」は、「基準精度」に「外部要因1個分の変動幅」を加えたものに相当します。

ここに考慮している外部要因とその許容変動幅は次表のとおりです。

電力用トランスデューサの許容差に含め得る外部要因とその許容変動幅

種類 要因の許容変化幅
自己加熱
周囲温度
外部磁界
通電開始30分後の出力変化
±10℃変化
400 A/m の外部磁界変化
入力電圧
入力電流
補助電源電圧
動作入力範囲内の変化
動作入力範囲内の変化
定格使用電圧範囲内の変化
周波数
負荷抵抗
波  形
46~65 Hz
許容負荷抵抗の範囲の変化
第3高調波を15%含む波形を入力したとき

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