変換器

エムエスツデー 2005年11月号

計装豆知識

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今回は、前回(『エムエスツデー』2005年10月号)ご説明した「電空変換器」と相互補完関係にある「空電変換器」についてご説明します。

空電変換器

「空電変換器」は、その名のとおり空気圧力信号を電気信号に変換する機器で、前回の「電空変換器」とは逆の働きをします。プロセスオートメーションに限定せずに「空電変換器」という言葉を用いると、何らかの形の空気圧力を何らかの形の電気信号に変換するものを表し、たとえば空気圧機器業界では、圧力スイッチを「空電変換器」と称しているメーカーも存在します。しかし、プロセスオートメーションの世界では、計装用空気圧力信号を、その圧力に比例した電流または電圧信号に変換する変換器を指します。したがって、プロセス中の制御、測定対象として空気圧力があり、それを測定する機器があっても「空電変換器」とは呼ばず、「圧力伝送器」と呼んで区別しています。

上述のとおり、空電変換器は計装用空気圧力信号(たとえば、20~100kPa)をその圧力に比例した電気信号(たとえば4~20mA DC)に変換します。したがって、その主な用途は計装信号の監視ということになります。その点が、温度変換器などプロセス量そのものを扱う変換器とは異なります。ただし、空気式計装から電子式計装への移行後も、高価な空気式現場機器が数多く残されているため、その信号を制御用コンピュータに取り込むために多数の空電変換器が使用されています(図1)。この場合は、間接的にプロセス量を扱っているといえます。

図1 力平衡式液位発信器

さすがに、新設プラントではこのような例はありませんが、現在でも既存プラントの計装設備更新の際は、多数の空電変換器が使用されます。

図2 空電変換器(形式:PV)前回の電空変換器の中で述べた電子回路方式電空変換器と同様、空電変換器においても使用する圧力センサの精度が非常に重要になります。エム・システム技研の空電変換器には、温度安定性に優れた半導体圧力センサを用いているため、変換器全体としても温度安定性に優れています。

ここで、少し計装用圧力信号について補足説明します。空気の圧力には、差圧、絶対圧、ゲージ圧があります。差圧は2点間の圧力差を表します。差圧式流量計では、流量を測定するためにオリフィス前後の圧力差を測定するので、なじみ深い言葉です。絶対圧は、絶対真空からの圧力差であり、天気予報で用いられている気圧は、これに該当します。ゲージ圧とは、大気との圧力差を示します。空電変換器や電空変換器が取り扱う計装用空気圧力信号はゲージ圧です。

計装用圧力信号としては、国内では計量法改正以前によく用いられた0.2~1.0 kgf/cm2をそのままPa(パスカル)に置き換えた19.6~98.1kPaと20~100 kPaが主として使われています。一方ヨーロッパでは、後者をbar(バール)に置き換えた0.2~1.0 barが一般的です。また北米では、3~15 psi(pound per square inch)が主であり、エム・システム技研の電空変換器および空電変換器は、ともにこれらすべての信号に対応しています注)

注)計量法の規定に従い、Pa、 bar以外の非SI単位の使用 は輸出向け製品のみとさせていただきます。

 

【(株)エム・システム技研 開発部】

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