通信/ネットワーク

エムエスツデー 2008年10月号

計装豆知識

専用電話回線と避雷器(2)印刷用PDFはこちら

前回(『エムエスツデー』誌2008年9月号)の「計装豆知識」では、アナログ専用回線の帯域品目についてご説明しました。今回は符号品目の回線の種類と避雷器の選定についてご説明します。表1に前回も掲載しましたが、NTTグループが提供するアナログ専用サービスの種類とそれぞれに対応するモデムと避雷器を示します。

符号品目

図1 アースリターン方式の構成例符号品目は、直流方式を利用した50bpsのサービスとデジタル伝送方式 注)を利用した2400bps、4800bps、9600bpsのサービスに分けられます。さらに50bpsについては、大地と電線を使って通信を行うアースリターン方式と2本の電線をループにして通信を行うメタリックリターン方式があります。アースリターン方式では、1本の電線と大地をループ状態にして通信するため、2本の電線を使えば送信と受信を同時に行える全二重通信が可能です(図1)。

メタリックリターン方式では、2線で単方向通信あるいは電流の方向の差によって送受信を識別する半二重通信を行うことができます。また4線式にすれば全二重通信が可能です。 

避雷器の選定

図2 テレメータ用避雷器(形式:MDP-MFA)使用する避雷器については、伝送方式により電気的仕様が異なるため、それぞれに対応した避雷器を選定する必要があります。たとえば50bpsの2線式回線を使用する場合は、対応するテレメータ装置(50bpsモデム(形式:MOD1など)と避雷器(テレメータ用避雷器(形式:MDP-MFA図2))を選定します。

なお、結線方法については、標準的な50bpsで2線式アースリターン、全二重通信の場合は、R(受信用)端子、S(送信用)端子、SG(Signal Ground)端子をそれぞれ避雷器と接続します。アースリターンであるため、SG端子は避雷器の雷サージ侵入側(図3の端子A側)から接地します。また避雷器のG端子とテレメータ装置のFG端子は連接接地します。メタリックリターンの場合には回線を接地する必要がないため、避雷器のSG接続用端子(図3の端子1)はフローティングになります。

図3 50bpsで2 線式、アースリターン、全二重通信の場合の結線

表1 アナログ専用サービス(NTT グループ)と対応モデムおよび避雷器




伝送速度 品 目 端末区間の
構成
通信
方式
モデム 
形式/通信速度
避雷器
~4800bps 3.4kHz 2線式 適宜 MOD2 300bps
(全二重)
形式:
MDP-FT
MOD3 1200bps
(全二重)
MOD4 300bps
(半二重)
MOD5 1200bps
(半二重)
MOD6 2400bps
(全二重)
MOD7 300bps
(半二重)
MOD8 1200bps
(半二重)
~4800bps 3.4kHz 4線式 適宜
~9600bps 3.4kHz(S) 4線式 適宜



伝送速度 品 目 端末区間の
構成
通信
方式
モデム 
形式/通信速度
避雷器
50bps 特殊な直流
方式以外
2

アース
リターン
全二重 MOD 50bps
(全二重)
形式:
MDP-MFA
特殊な直流
方式
2

アース
リターン
全二重 MOD1
2

メタリック
リターン
単方向
半二重
4

メタリック
リターン
全二重
2400bps デジタル伝送
(AMI符号)
4

全二重
4800bps
9600bps

図4 AMI 符号方式注)デジタル伝送:AMI(Alternate Mark Inversion)符号方式を利用した伝送方式です。AMI符号は、入力情報に“1”が発生するごとに正符号の“1”と負符号の“1”を交互に送出する符号です(図4)。

〈参考文献〉
NTT東日本技術参考資料「アナログ専用サービス」
http://www.ntt-east.co.jp/ether/refer/index.html

〈関連記事〉
『エムエスツデー』誌2002年3月号「計装豆知識」テレメータ装置と専用電話回線

【(株)エム・システム技研 開発部】

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