エムエスツデー 2001年6月号

計装豆知識

接地について印刷用PDFはこちら

接地の目的

「接地」は、「アース」あるいは「グランド」ともいわれます。いずれも大地に由来する用語で、電気機器の外箱や架台などを大地と同電位に保つために、地中に埋設した導体に接続することをいいます。

接地は、電気設備の保安にとって重要であり、主として次のような目的をもっています。
 1.絶縁物の劣化損傷などによって機器の金属製外箱などが充電されることによる障害の防止。
 2.高低圧混触などによって電路が異常電位をとることによる障害の防止。

以上のほかに、静電気防止用、避雷針用、雑音対策用など各種の障害防止を目的とする接地があります。他方、接地の機能を積極的に利用しようとするものもあり、その例として接地型アンテナの接地などがあります。

電気設備技術基準

電気設備の技術基準として、「電気設備に関する技術基準を定める省令」(通称「電気設備技術基準」(以下「電技」と呼ぶ))がありますが、この省令は1997年3月27日に全面改正されました。この改正によって、保安上必要な性能が電技で定められ、当該性能を実現するための具体的な手段、方法などは、別途公表された「電気設備の技術基準の解釈」(以下「解釈」と呼ぶ)で示されています。

電技では接地に関して、「電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。(10条)」、また「電気設備に接地を施す場合は、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。(11条)」と定められています。

また、上記の改正に伴い、従来数字で表されていた接地工事の種類が、新たにアルファベットで表示されるようになり、第1種がA種、第2種がB種、特別第3種がC種、第3種がD種と呼ばれるようになりました。なお、接地工事の種類や各種接地工事の細目は、電技ではなく解釈に記載されています。

接地工事の種類と細目

解釈に記載された接地工事の種類と、それぞれに必要とされる接地抵抗値および使用すべき接地線の概要を以下に示します。

A種接地工事: 10Ω以下、引張強さ1.04kN以上の金属線または直径 2.6mm以上の軟銅線
B種接地工事: 変圧器の高圧側または特別高圧側の電路の1線地絡電流のアンペア数で150を除したオーム数以下、引張強さ2.46kN以上の金属線または直径4mm以上の軟銅線
C種接地工事: 10Ω以下、引張強さ0.39kN以上の金属線または直径1.6mm以上の軟銅線
D種接地工事: 100Ω以下、引張強さ0.39kN以上の金属線または直径1.6mm以上の軟銅線

なお、移動して使用するため可とう性を必要とする部分に用いる接地線についても、接地工事の種類ごとに、使用すべき接地線の種類と断面積が示されていますが、ここでは省略します。

また、各種の接地工事の適用対象は次のとおりです。

A種接地工事: 高圧または特別高圧の機器の鉄台、金属製外箱などの接地に用いられるもので、高電圧の侵入のおそれがあり、かつ危険度の高い場合
B種接地工事: 高圧または特別高圧電路と低圧電路を結合する変圧器において、混触するおそれがある場合
C種接地工事: 300Vを超える低圧用の機器の鉄台、金属製外箱、金属管など
D種接地工事: 300V以下の機器の鉄台、金属製外箱、金属管など

エム・システム技研製品の接地

エム・システム技研製品のうちで接地が必要なものについては、仕様書、取扱説明書の結線要領図または端子接続図にその旨を記載しておりますので、ご注意ください。

なお、接地が必要な製品としては、避雷器、電力用変換器(組み合わされる計器用変成器の2次回路)、アースリターン方式のテレメータのモデムなどがあり、いずれもD種接地工事が必要です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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