エムエスツデー 2009年2月号

計装豆知識

シールド線と避雷器印刷用PDFはこちら

シールド付きケーブルで敷設した信号ラインに避雷器を設置する際、シールドの配線処理に悩まれることがあると思います。今回は、シールドを接地する場合と接地しない場合、また被保護機器にSG(シグナルグラウンド)端子がある場合について、シールドの適切な処理方法をご紹介します。

シールドを接地する場合

大地には交流電源線などに起因する迷走電流が流れているため、離れた2つの接地極間には大地間電位差が生じています。シールドを信号ラインの両端で接地すると、この大地間電位差によって、シールドに電流が流れるため、心線にノイズが誘起されます。これを避けるため、長距離配線のときは一般に片端接地が施されます。片端接地のうち、シールドを接地する側では図1に示すように配線してください。

図1 シールドを接地する場合

盤内シールドは避雷器側で接地するのも機器側で接地するのも電気的には同じですが、機器側の方が同電位性が増して、一層のノイズ遮蔽が期待できます。ただし、機器のFG(フレームグラウンド)と信号の間にもノイズが存在します。このノイズさえも無視できないときは、シングルエンド(片側接地)回路に限りますが、シールドを負側端子に接続してみてください。一般に、シールドをSG端子に接続すれば、最も遮蔽効果が上がります。シングルエンド回路の場合は、負側端子はSGと同電位であるため、遮蔽が期待できるわけです。

シールドを接地しない場合

シールドを非接地にする側は図2に示すように配線してください。ただし、非接地側のシールドに対しては雷サージが抑えられないため、スパークが発生しないようスリーブの端面を熱収縮チューブなどの絶縁物で覆うか、フローティング状態を保てる避雷器をシールド専用として別途設置してください。

図2 シールドを接地しない場合

SG端子がある場合

一般に、差動入力タイプの機器にはSG端子が付いています。そして、シールドはSG端子に接続するのが普通です。間違った接続として、心線だけ避雷器を介し、シールドは被保護機器のSG端子に直接接続される事例がときとして見受けられますが、このような結線は絶対にしないでください。雷サージがシールドから侵入して心線、接地と抜けるため、被保護機器は必ず壊れます。この場合、SG端子付避雷器を組み合わせていただくか、ノイズには弱くなりますが、いっそのことシールドを接地することをおすすめします(図3)。

図3 SG 端子がある場合

エム・システム技研の避雷器

図4 薄形避雷器 MD7 シリーズ

エム・システム技研では、シールド用端子が付いた、薄形避雷器MD7シリーズ(図4)を用意しています。シールドを接地/非接地とする場合、被保護機器にSG端子が付いている場合など、状況に応じて最適の雷保護を形式コードで選べるようになっています。

一度、下記ホームページで仕様書をご確認願います。
 (http://www5.m-system.co.jp/Japanese/index.html)

なお、以上はすべて避雷器の観点から説明しています。したがって、設備側の規定や、被保護機器メーカー側の取扱指示とは必ずしも一致しないこともあります。その場合には、設備側の規定を優先してください。

 

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