エムエスツデー 2002年01月号

計装豆知識

インターネットとイントラネット(2)印刷用PDFはこちら

イントラネットとは

インターネットとよく比較されるのがイントラネットですが、これはインターネットの仕組みを社内に再現したクローズドな世界のインターネットといえます。内部(intra)のネットワーク(net)という語源から、イントラネット(intranet)と呼ばれるようになりました。同じようなネットワークであるとすれば、既存の企業内情報システム、たとえばホスト集中型システムや、企業内LAN 注1)による販売管理システムなどと違いがないように思われます。では、何が違うのか。通常の企業内情報システムでは、たとえば販売管理システムにはそれに特有のソフトウェアがあり、それを立ち上げて使う、またワープロのときは、ワープロ専用のソフトを起動させて使うというように、それぞれが別々のソフトウェアであるため、いくつものソフトウェアを動かす必要があります。また、それらの操作をいちいち覚える必要があります。一方、イントラネットでは、別々のソフトウェアを使うのでなく、同一のブラウザだけを使います。具体的には、電子メールにも文書データ検索にも販売管理にも会計処理にも、すなわちオフィスにおける情報処理のすべてをネットスケープ・ナビゲータやインターネット・エクスプローラのようなブラウザ画面の中で処理できるような仕組みがイントラネットです。これらを実現しているのがWEBサーバに代表されるインターネット特有の技術です。

図1 イントラネットの構成

インターネットとイントラネットの違い

結局、現在のインターネットとイントラネットは、ともにブラウザでの画面操作がキーワードになっています。この仕組みが社内で適用されれば、「イントラネット」になり、これが社外(すなわち全世界)に適用されれば「インターネット」になります。

計装分野でのインターネット、イントラネット

今や、工業計測や計装の分野においてもインターネットやイントラネットの技術が活用され始めています。これまでも多くの設備産業では、工場内の各現場や中央操作室に監視・制御用あるいは生産管理用のパソコンが数多く設置され、これらのパソコンはLAN(Ethernet)で接続されていました。そして、これらのパソコンに搭載されるソフトウェアは、たとえばプロセス監視・操作用のSCADAソフトやデータロガーなど、目的に応じた専用ソフトが用いられていました。しかし、最近は工場内にWebサーバを設置し、各パソコンにはブラウザソフトだけを搭載して、Webサーバで蓄積、加工された情報を、必要なときに必要な形で取り出して処理できる、便利なシステムが多く実用化されています。このようなシステムは工場内イントラネットといえます。さらに、プロバイダ(接続業者)と専用契約を結び、社外のネットワークや現場に置かれたサーバからも、インターネット経由で情報を取り出せるシステムが登場しています。

今後、このような技術は、高速データ通信回線や携帯電話をはじめとする通信インフラの進歩と相まって、その普及の速度にますます拍車がかかるものと考えられます。

注1) LANとは「Local Area Network」の略であり、社内や家庭内などの限定された範囲に設置されているコンピュータ同士を専用のケーブルで接続し、互いに通信ができるようにしたネットワークのことです。

注2) WANとは「Wide Area Network」の略であり、本支店間のネットワークなど、比較的広い範囲をカバーするネットワークのことです。インターネットとの違いは、インターネットは不特定多数が対象であるのに対し、WANは、地域の異なる同一組織内に限定されたネットワークです。

注3) Firewallとは、組織内のネットワークとインターネットとの間に設置し、外部から内部への不正なアクセスを防ぐセキュリティシステムです。

 

【(株)エム・システム技研 電算課】


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