エムエスツデー 2017年1月号

お客様訪問記

IoT用端末「データマル®」を使用し、インターネットを活用した遠隔監視を経済的に実現しました。茨城県(独)水資源機構 利根川下流総合管理所で流入河川ゲート設備管理用に採用された「データマル®

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、茨城県稲敷市にある独立行政法人水資源機構 利根川下流総合管理所を訪問し、今回新たに設置されたIoT用端末データマル(形式:DL8について、利根川下流総合管理所 機械課 課長 中村様、同課 瀧内様、また機器の納入と設置工事を担当された宇野重工(株)水環境事業部 水門・機械課 石灘様、同 山田様にお話をお伺いしました。

IoT技術を活用した経済的な警報通報装置の導入

 [エム・システム技研、以下エムと略称]新しいシステムを導入された経緯をお教えください。

 [中村様]利根川下流総合管理所では、霞ヶ浦から流入河川への洪水時逆流の防止を目的とした流入河川ゲート設備を管理しています。これらの設備については、毎月職員による施設巡視を行っていますが、いずれも管理所から離れた場所に位置しているため、日々の設備状態を常に把握することが課題となっていました。そこで、警報通報装置を各流入河川ゲート設備に設置し、機側操作盤から発せられる故障などの情報を、携帯電話のEメール機能を使って通報する簡易的なシステムを導入することにしました。
 また、警報装置の導入にあたっては、①携帯電話(いわゆる、ガラケー)に送信できるもの ②今回、設置対象の設備が7箇所あることから、イニシャルコストおよびランニングコストを低減できること ③警報装置の設定作業などがインターネット回線を利用し、遠隔地からでも可能であること ④装置への機能追加が容易であること(拡張性)を条件に検討した結果としてデータマルを選定しました。

データマルからの異常時通報をガラケーのEメール機能で受信

 [エム]新しいシステムの概要や構成についてお教えください。

 [宇野重工:山田様]現場水位情報(電極式水位計の水位異常信号)とゲート操作盤の監視状態信号4点をデータマルへ入力し、警報発生時に発信しています。情報の発信装置としては、M2Mルータによるモバイルネットワーク(1箇所あたりの費用:月額1,900円)を利用し、Eメールによる異常時通報と定時通報、またWeb画面による状態監視を行っています。

 [エム]システム構築で苦労された点はございますか?

 [宇野重工:山田様]データマルは初めての採用だったため、入力信号の処理方法やEメール伝文の組み方、定時通報設定方法、ネット環境の設定方法などをスムーズに習得できるか不安でしたが、機能毎にわかり易い設定画面が用意されていたため、慣れるとスムーズに実施できるようになりました。

茨城県(独)水資源機構 利根川下流総合管理所に導入された流入河川ゲート設備管理システム構成図
茨城県(独)水資源機構 利根川下流総合管理所に導入された
流入河川ゲート設備管理システム構成図 [拡大図

データマルのWeb画面で管理所から遠隔地の設備を監視

 [エム]データマルのどのような機能を使用して監視されていますか?

 [宇野重工:山田様]今回は、異常発生時と定時通報時に現地の監視情報をEメール通報する機能を使用しています。また、管理所からはデータマルがもつWeb画面のデータ画面/トレンド画面/イベント画面(標準画面)を使って監視しています。ユーザ画面を作成する機能も搭載されているため、今後必要に応じて最適な画面を提案したいと考えています。

 [エム]新しいシステムを運用されてみていかがですか?

 [中村様]今回導入した警報システムでは、通報定時連絡(12時/毎日)および異常(水位警報、ゲート全開、設備故障、電源断)発生時に発報を携帯電話へ配信するようにセットしています。現状では、施設巡視点検の際、運転後の状態を確認するため、データマルのWeb画面や定時通報メールを利用し、管理所からもゲートや電源の状態確認を行い、電源の切り忘れなどのミス防止に活用しています。今後は、落雷や停電などが発生した際にも、設備の状態を早期に把握する手段として、導入した警報通報装置を活用していくことにしていて、現システムは有効であると認識しています。

 [エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム・システム技研をよろしくお願いします。

水資源機構 事業内容のご紹介

 独立行政法人水資源機構は、水資源開発促進法と水資源機構法に基づいて設立された法人で、国民生活・経済にとってとくに重要な水に携わる政策実施機関として「安全で良質な水を安定して安くお届けする。」その経営理念のもと、洪水の氾濫被害から地域を守るとともに、安定した水を供給することによって、安全で豊かな社会づくりに貢献しています。
 水資源機構が行っている事業は、複数の都府県にまたがり、水道用水・農業用水・工業用水を安定して供給するとともに、洪水調節などを行う広域的事業であり、多くの利水者や国、県などと関係しています。水資源機構は、関係者の様々な案件の調整を行う役割を担うとともに、併せてダムや用水路などを建設・管理する事業を実施する独立行政法人です。事業を実施している地域は、人口の集中や農業・工業などの産業の発展に伴い、とくに大量の水が必要になる地域(利根川水系、荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系および筑後川水系:7水系)であり、これら地域に対して、安定的に水の供給を行っています。

利根川下流総合管理所 事業内容のご紹介

 利根川下流総合管理所は、「霞ヶ浦開発施設」と「利根川河口堰」の管理を行っています。
 霞ヶ浦開発事業は、霞ヶ浦周辺地域の洪水や塩害の防止、および首都圏の増大する水需要に対応するため、霞ヶ浦の湖岸堤、常陸川水門の改築、流入河川整備工事などを実施し、工事開始から25年を経て平成8年3月に完成しました。その後、引き続き管理事業を実施して本年管理開始20周年を迎えました。
 霞ヶ浦開発事業で開発した水量は、茨城県および千葉県のかんがい用水として、かんがい期平均で毎秒19.56立方メートル(m3/sec)、茨城県、千葉県および東京都の都市用水(水道用水、工業用水)として毎秒23.36立方メートル(m3/sec)の、合計毎秒42.92立方メートル(m3/sec)を供給しています。また、霞ヶ浦に流入する河川では、洪水逆流防止を目的としたゲート設備の設置をしています。

霞ヶ浦(西浦)
霞ヶ浦(西浦)

本システムについての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200


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