エムエスツデー 2014年4月号

お客様訪問記

汎用性・信頼性の高さと廃形せず需要に応じて作り続ける点が魅力
(株)サイバーリンクスのデータセンタで
電力監視のために導入されたリモートI/O

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は和歌山県和歌山市所在の(株)サイバーリンクスを訪問し、新設されたデータセンタの電力監視用としてご採用いただいたエム・システム技研の電力マルチメータ(形式:54UリモートI/O R9R7シリーズについて、同社の代表取締役社長 村上 恒夫 様、同クラウド基盤管理室 松山 浩士 様および谷口 泰章 様、並びに機器の納入と工事を担当された(株)冨士商會の 第一営業部 森下 秀樹 様にお話を伺いました。

クラウドサービスの提供

(株)サイバーリンクスの事業内容についてお教えください。

 [村上様](株)サイバーリンクスは、「ITクラウド事業」「モバイルネットワーク事業」を主体として情報処理、通信制御、ネットワーク業界で展開しています。「ITクラウド事業」の適用対象は、主に流通業向けクラウドサービス分野と官公庁向けクラウドサービス分野であり、両分野においてシステムの開発・導入・保守・運用サポートに及ぶ幅広いクラウドサービスを提供しています。

既設機器の安定稼働

 データセンタの特長についてお教えください。

 [松山様]新設したデータセンタは本社から離れた海抜60mの高台に位置し、しかも免震・耐火構造を採用して高い信頼性と安全性を誇っています。また、電力会社からは常用・予備の電力2回線を引込み、無停電電源設備、自家発電設備、消火設備などの災害対策や入退室管理や監視カメラによる防犯対策まで、高品質なセキュリティ機能を備えています。なお、最新の空調設備によって室内の温度、湿度を適値に保持し、機器の安定稼働を目指しています。

既設装置にはリモートI/O R3シリーズを使用

 過去に、エム・システム技研製リモートI/Oをご導入いただいた経緯についてお教えください。

 [谷口様]数年前に(株)サイバーリンクス本社で電力監視を初めて実施することになったとき、どのような機器を使用すればよいかが分からず、そこで、(株)冨士商會 森下様に相談したところ、エム・システム技研のリモートI/O R3シリーズの使用を提案していただきました。設置後、電力監視装置が問題なく正常に稼働している実績を踏まえて、今回新たに設置するデータセンタにもエム・システム技研製品を使用することにしました。

 [森下様](株)冨士商會はエム・システム技研の販売代理店をしていて、エム・システム技研の製品は汎用で信頼性が高いこと、万一不具合があったときは代品出荷などで即応してくれること、一度、世に出した製品は廃形せず、需要に応じていつまでも作り続けてくれるという点をよく知っていましたから、安心して(株)サイバーリンクス様に推薦することができました。

Modbus通信を使用したシステム構築

 電力監視システムの概要や構成についてお教えください。

 [森下様]本社に既設の電力監視システムでは、R3シリーズを使用しました。当時はR3シリーズI/Oカードに電力カードなどがなかったため、別途トランスデューサで変換した電力のアナログ信号をR3シリーズに取り込みました。そのため、多数のトランスデューサからの信号をR3シリーズへ集約することになり配線数が大変多くなりました(図1)。

図1 本社に設置されたリモートI/O R3シリーズ

 今回は、リモートI/Oの種類が豊富になったので設置場所や用途に応じて使い分けました。受電設備や電力負荷の監視には、液晶表示の電力マルチメータ(形式:54Uや、電力監視用の多チャネル一体形リモートI/O R9シリーズ電力マルチユニット(形式:R9MWTU)を使用しました。R9MWTUは同じ電力系統であれば本体で8回路、増設用電力マルチユニット(形式:R9WTU-EPを追加すれば、さらに8回路と合計16回路を取り込むことができます。クランプ式交流電流センサ(形式:CLSEを電力線に取付けて、そのままR9MWTUに結線すれば、電力や電流、力率、電力量などあらゆる要素をModbus通信で取り出すことができます(図2)。

図2 データセンタに設置されたリモートI/O R9MWTU

 部屋の温度や湿度の計測、非常用発電機の燃料タンクのレベル測定、空調設備の状態監視に、少チャネルコンパクト一体形リモートI/O R7シリーズ Modbus用少点数入出力ユニット(形式:R7Mを使用しました。これらの機器を500mまで伝送可能なModbus-RTUで接続し、ネットワーク変換器(形式:72EM2-M4でEthernetに変換してから監視サーバに接続しています。今回のデータセンタでは、配線を引き回すことがないようにEthernetとRS-485の通信を使い分けて分散設置したことで省配線の施工が可能になりました。リモートI/Oは全てオープンネットワークのModbusによって通信できるため、サイバーリンクス様が用意された監視サーバでデータを収集しています(図3)。

図3 電力監視システム構成図

図3 電力監視システム構成図[拡大図

 [谷口様]森下様が使用機器の選定と構成をうまくまとめてくださったので、既設のシステムと比較して盤内のリモートI/Oは小形のもので済み、配置や配線にも大変余裕ができました。

担当者へ自動的にEメール通報

 監視システムの概要をお教えください。

 [谷口様]電力監視の主な目的は、設備へ供給している電力の低下の監視です。供給電力が極端に下がった際には、保守員が現場へ急行します。それ以外にも、過負荷になっていないか、設備を増設するとき変圧器の負荷容量以下になるよう負荷分散を考慮して設計するときの参考にしています。また温度の監視では、ホットゾーンとクールゾーンのエリアを設けて、人がいるところは暖かくてもよいが、冷却が必要なエリアでは、適切な温度に冷却されているかどうかを監視しています。

 リモートI/Oのデータを収集する監視サーバはデータセンタにあり、データセンタと本社は直接つながっています。(株)サイバーリンクスの仮想サーバシステムで瞬時に本社へデータを持ってくることが可能ですし、本社からもブラウザで監視しています。

 電力低下や温度上昇など設備の異常が発生したときは、監視サーバで判定して自動的に担当者へEメールで通報するようにしています。さらに、何らかの問題でインターネットも使用できなくなったときのための最終通報手段として、NTTの一般公衆回線による音声通報ができるようにしています。音声通報装置としては、エム・システム技研のてれまる(形式:TLOを使用しています。

エム・システム技研のサポート

 システム構築で苦労された点はありましたか?

 [谷口様]Modbusプロトコルによる通信プログラムの作成については、(株)サイバーリンクスは高い技術力をもっていますからとくに問題はありませんでした。しかし、実際に監視サーバとリモートI/Oの通信テストを行うと通信のタイムアウトが発生し、どの程度の収集周期でリモートI/Oにアクセスしたらよいかなど、エム・システム技研に相談しながらプログラムの修正を行ったため、システムとしての検証に時間がかかりました。

負荷変動や設備の稼働状況を確認

 どのような画面を作成して監視されていますか?

 [谷口様]たとえば、受電の電圧や電流の瞬時値を54Uから取得して、どのように負荷変動しているかのトレンドグラフで見たり、全体の電源系統図を作成して、ひと目で設備の稼働状況が分かるようにしています(図4)。

図4 監視画面例

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 お忙しいところ、ありがとうございました。

SCADALINXpro リモートI/O 拡大

【和歌山市のご紹介】
和歌山市は、近畿地方の南西部、和歌山県の北部に位置する市で和歌山県の県庁所在地となっています。市のシンボルである和歌山城は市の中心部の虎伏山に位置しています。和歌山城は、天正13年(1585年)に紀州を平定した豊臣秀吉が弟の秀長に築城させたのが始まりです。まず、秀長の城代として桑山重晴が入り、慶長5年(1600年)には、関ヶ原の戦いで功をたてた浅野幸長が入城。そして、元和5年(1619年)には徳川家康の第10子徳川頼宣が55万5千石を領して和歌山城に入り、以後、和歌山の町は、江戸幕府御三家の紀州徳川家の城下町として栄えます。町は、城を中心に広がり、かつて雑賀と呼ばれた地には、新しい町名が付けられ、街には「大水道」と呼ばれる下水道設備が完備されます。そして、江戸後期には約9万人の人口を擁する全国8位の近世都市となりました。この街からは、文人画の祖・祇園南海、国学の泰斗 本居宣長、そして、近代産業界の発明王 松下幸之助など優れた人物を数多く生み出しています。

和歌山県和歌山市

本システムについての照会先:
(株)冨士商會
第一営業部
〒640-8113
和歌山市広瀬通丁2-30
TEL:073-422-3101
FAX:073-426-5644

てれまるは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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