エムエスツデー 2011年7月号

お客様訪問記

インターネット経由による遠隔監視を実現
宮崎県えびの市水道課で監視 操作ソフトの
リプレース用として導入されたSCADALINXpro

(株)エム・システム技研 カスタマセンター システム技術グループ

図1 えびの市庁舎 今回は、えびの市庁舎を訪問し、水道施設の監視システムを更新するために採用されたHMI 統合パッケージソフトウェアSCADALINXproについて、水道課の課長補佐 植竹 泰文 様と、システムを納入されたテクノシステム(株)境田 典泰 様にお話を伺いました。

えびの市の水道について概要をお教えください。

 [植竹様]現在のえびの市の上水道が完成したのは、1977年から1980年に実施した第3次拡張事業のときです。

  水源としては、熊本県との県境にある川内川(せんだいがわ)上流の大河平(おおこうびら)国有林内にある又五郎谷で取水しています。取水口から2844mの導水路トンネルを掘り柿木原浄水場まで水を引き込み、ろ過および滅菌を行います。柿木原(かきのきばる)浄水場で処理された水を自然流下によって主要な配水池へ送水し、えびの市内全域へ給水しています。

本システムの導入経緯についてお教えください。

 [植竹様]柿木原浄水場ができたときはアナログ指示計で配水池の水位や流量などを表示するだけのシステムでしたが、約10年前に薬注設備を設置したときデータロガーの導入を検討しました。

 当時のデータロガー装置は非常に高価でしたが、エム・システム技研製品の監視 操作ソフト(形式:SFDNを使用すればシステムを経済的に構築できることが分かり、そのメリットを評価して導入しました。また、市庁舎で監視を行うためにNTT専用回線を利用して柿木原浄水場と市庁舎を結び、SFDNを搭載したPCを置いて市庁舎で監視を行っていました。そして、今回、SFDNの監視用PCが経年劣化していることもあり、SFDNSCADALINXpro HMIパッケージ(形式:SSPRO4に更新しました。

システムの概要や構成についてお教えください。

 [境田様]場内の各設備のアナログ信号や接点信号をMsysNet機器(形式:ABHSML39M)(図2)に入力し、通信レベル変換器(形式:LK1経由でPCと接続していました。SCADALINXproMsysNet機器とは、L-Bus(Ethernet)を介して接続する必要があり、既設のNestBusをL-Busへ接続するため、通信ユニット(形式:72LB2-NB図3)を追加しました。しかし、既存のMsysNet機器はそのまま使用できたため経済的に更新できました。

図2 MsysNet機器図3 通信ユニット(形式:72LB2-NB)

 また、SCADALINXproはインターネット経由による遠隔監視が可能なので、柿木原浄水場と市庁舎間の既設NTT専用回線を廃止し、インターネット回線に変更しました。柿木原浄水場側に固定IPアドレスを取得して市庁舎のクライアントPCから浄水場のサーバPCに接続し、画面を表示できるようにしました(図6)。

図6 システム構成図
図6 システム構成図[拡大図

構築で苦労された点についてお教えください。

 [境田様]既設のシステムでは市庁舎の水道課でも帳票を印刷していましたが、SCADALINXproはサーバ・クライアント方式であるため、印刷は柿木原浄水場にあるサーバPCから実行します。したがって、画面上の印刷ボタンを押しても市庁舎のプリンタではなく柿木原浄水場のプリンタから印刷してしまいました。この問題の対策として、サーバPCでExcel 形式のサブレポートを作成し、そのサブレポートを市庁舎にダウンロード後に市庁舎のクライアントPCによってファイルをExcel で開き、Excel の印刷機能で印刷することにより解決しました。

SCADALINXpro で、どのような画面を作成し使用されていますか?

 [境田様]柿木原浄水場のグラフィック画面をメインに、トレンド画面、警報画面、帳票画面などを表示しています(図5)。

図5 画面例

 一目で設備の状況が分かるように、PCのモニタとは別に大形液晶表示モニタを市庁舎の水道課事務所(図4)と柿木原浄水場にそれぞれ設置しました。

図4 市庁舎の水道課事務所に設置された大形液晶表示モニタ

本システムを導入されてのご感想をお聞かせください。

 [植竹様]画面がきれいで、とても見易いのが印象的です。事務所の大形モニタで柿木原浄水場のグラフィックを常時表示し監視しています。

 また、インターネット回線に変更してからは、以前利用していたNTT専用回線と比較して月々のランニングコストが大幅に減少しました。

今後のご予定などありましたら、お聞かせください。

 [植竹様]現在、柿木原浄水場内でSCADALINXpro に取込んでいない警報関係の信号を追加する予定です。また、現在水源が一箇所しかないため、さらに安定した給水を行うために将来は新しい水源地や浄水場を建設する予定であり、そのときにも、今回のような監視システムを導入したいと思っています。

本日はお忙しい中をありがとうございました。

テレメータの回線にインターネットをご利用になると 便利な上にコストダウンが期待できます。

【宮崎県えびの市のご紹介】
えびの市は宮崎県の南西部に位置しており、1966年に飯野町・加久藤(かくとう)町・真幸(まさき)町が合併してえびの町が発足し、1970年にえびの市となりました。宮崎県、鹿児島県、熊本県の3県の境界にあり、九州縦貫自動車道はえびの市を中心に、宮崎、鹿児島、熊本の3方へ伸びています。市の南部に広がるえびの高原は、1934年に日本で最初の国立公園に指定された霧島屋久国立公園の北部に位置し、豊かな自然の宝庫としても知られる県内屈指の観光エリアです。2010年9月には、霧島山を中心とした一帯が日本ジオパークに認定され、ますます注目をあびています。市内には温泉も多く、西郷隆盛も湯治に訪れたといわれるえびの高原の白鳥温泉をはじめ、加久藤盆地の京町温泉、吉田温泉などは良質の湯が湧出する温泉郷としても知られ、古くから湯治場としても賑わっています。

宮崎県えびの市

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SCADALINXproMsysNetは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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