エムエスツデー 2010年4月号

お客様訪問記

小学校暖房設備の効率的なコンピュータ制御を実現
北海道中川郡の美深(びふか)小学校に導入された
SCADALINXproによる暖房装置運転スケジュール管理システム

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、北海道中川郡美深町立美深小学校を訪問し、暖房装置の運転スケジュール管理用に採用されたエム・システム技研のHMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXpro(形式:SSPRO4を使ったシステムについて、教頭の菅原 修 先生、そして本システムを設計・構築された(株)北弘電社 田中 寛 様、毛利パソコン出張講習合同会社の毛利 泰康 様にお話しを伺いました。

本システムを導入された経緯についてお聞かせください。

 [菅原様]美深小学校では、20年くらい前からDOS版パソコンを使って教室などの温度監視および電気ヒータのON/OFF制御を行ってきましたが、校舎の耐震構造を強化するために行った改築工事に伴い、このシステムを更新することになりました。

 校舎については3つの校舎を統合的に改修し、1つは新築、その他は内装を新しくして、断熱材を入れるなど、暖房効果を強化改善しました。

 暖房設備についても、6種類(石油温風ヒータ(FF式)、電気パネルヒータ、電気ベースボードヒータ、電気蓄熱暖房機、遠赤外線放射式石油暖房機、フロアヒーティング(電気式床暖房))を使用するようになりました。したがって、これらの設備を効率的に稼働させるためのコンピュータ制御することが必要になりました。

システムの構成や概要についてお教えください。

 [田中様]システムの機器構成については、図1を参照してください。

図1 システム構成図

 15台のリモートI/O R7シリーズのModbus用 少点数入出力ユニット(形式:R7M図2を7箇所に分散配置して、RS-485で通信し、職員室に設置したパソコンと、ネットワーク変換器(形式:72EM2-M4を介して接続しています。

図2 リモートI/O R7シリーズ Modbus用入出力ユニット(形式:R7M)の現場盤

 パソコンには、SCADALINXproをインストールし、スケジュール管理・制御を行わせました。R7Mは、小さいスペースに設置できる点を評価して採用しました。

 スケジュール設定については、職員室、教室、特別室(家庭科室、音楽室、理科室)、保健室、教材室、廊下、体育館、その他を、約60箇所に分け、各場所について、20ブロックに分けた時間割毎に行います(図3)。

図3 On-Off時間テーブル画面

On - Off時間テーブル(オリジナルテーブル)は学期毎に設定しますが、場所毎にスケジュール確認画面(図4)で、設定日を含めた1週間先までのスケジュール(テンポラリテーブル)を変更できます。

図4 スケジュール確認画面

スケジュールを確認したい場所については、校舎平面図(図5)を使って、視覚的に該当する場所を確認し、クリックすることによって容易に指定できます。平面図画面によって暖房装置の運転状況も把握できます。

図5 校舎平面図

 その他、各種のテーブル(予熱テーブル、休暇テーブルなど)があります(図6)。

図3 On-Off時間テーブル画面

SCADALINXproの、どのような機能を主に使用されていますか?

 [毛利様]1分周期の定周期イベントにより起動されるスクリプト(処理プログラム)を使い、スケジュール確認画面で設定されたテンポラリテーブル内情報にもとづいて、場所毎の暖房装置のOn/Off(該当する接点出力タグ) 設定を行っています。校舎平面図では、どこをクリックしても該当する場所が容易に選択できるよう、大小の検出エリア(四角形)をいくつか並べています。また、システムの負荷を軽くするために、スケジュール制御などを処理するソフトウェアと、オリジナルテーブル設定用ソフトウェアを分け、どちらかのソフトウェアをブラウザで選択して、実行するようにしています。暖房機の故障が発生した場合などに警報音を出すためには、SCADALINXproの標準的な機能であるアラームアクションを使用しています。

今回、システムを更新されてのご感想をお聞かせください。

 [菅原様]従来のシステムでは、DOSベースであったため、設定画面がわかりにくく、慣れるまでに時間がかかりましたが更新によってWindowsベースの画面になり、設定を変更したい教室を、グラフィック上で容易に認識できるようになりました。液晶画面も22インチワイド画面であるため、横長の校舎平面図であっても、非常に見やすくなり助かっています。

 したがって、先生方に一度使い方を説明すれば、誰でもが容易に操作できるようになり、新システムは非常に好評です。

今後の課題などはございますか?

 [菅原様]今後は、温度も自動的に管理していきたいと考えています。そのためには、温度センサの設置から考えていかなければなりません。

本日は、お忙しいところをありがとうございました。

【北海道中川郡美深町のご紹介】
北海道中川郡美深(びふか)町は、上川支庁管内の北部中川郡に位置し、稚内(わっかない)市と旭川市を結ぶJR宗谷本線 ・国道40号のほぼ中央で、西方に天塩(てしお)山地、東方に函岳(はこだけ)を主峰とする北見山地を望む盆地に開けた町です。また、町内を道内第2の天塩川が南北に貫流し、北は音威子府(おといねっぷ)村、南は名寄(なよろ)市、東は雄武(おうむ)町・枝幸(えさし)町、西は雨竜(うりゅう)郡幌加内(ほろかない)町・中川町に隣接しています。面積は672.14km2の広大な土地を擁しています。現在町名を「びふか」と呼んでいますが、昔は「ピウカ」(アイヌ語で「石の多い場所」)と呼んでいました。1994年7月23日にカナダのブリティッシュ・コロンビア州アシュクラフト村と国際友好都市提携が結ばれ、文化・産業・教育など各分野の相互交流が盛んに行われています。とくに1994年以降、美深高校生を交換留学生として派遣しており、地域の生活や文化に触れながら交流を深めています。

北海道中川郡美深町

本システムについての照会先:
(株)北弘電社
電力事業本部 発変電情通工事部
参事 田中 寛 様
〒060-0011
札幌市中央区北11条西23丁目2番10号
TEL:011-640-2247
FAX:011-640-2152

SCADALINXproは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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