エムエスツデー 2010年1月号
合併に伴う旧各町村の水道施設の監視を統一するシステムを実現
岡山県真庭市上下水道部で採用されたSCADALINXproとWebロガー
（株）エム･システム技研 カスタマセンター
今回は、真庭市上下水道部を訪問し、水道施設の監視システムに採用されたエム･システム技研のHMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXproとWebロガー（インターネット利用の遠隔監視データロガー）について水道課の片山 誠 様、杉本 隆弘 様、そして本システムを設計・構築されたミツワ電設（株）の 坂本 弘行 様、両金 道也 様にお話しを伺いました。
本システムの導入経緯についてお教えください。
［杉本様］合併に伴い旧各町村の水道施設の監視を統一するシステムを検討したところ、美甘地区の監視システムを構築する機会がありました。その際、真庭市がすでに、市内に敷設した光ネットワークがあったため、これを有効活用して監視が行えるシステムの設計を開始しました。
システムの概要や構成についてお教えください。
［両金様］構成については図6をご参照ください。
図6 システム構成図［拡大図］
監視する浄水場やポンプ所にはWebロガー（形式：TL2W）（図1）を設置し、水位や流量などの信号やポンプの運転・故障信号を入力します。
TL2Wは入力された信号から運転や異常などの事象を8,000件、また日報は10日分、月報は13か月分、年報は2年分を作成し保存します。そして、上下水道部の事務所では、TL2Wが保存したこれらのデータを収集し表示をするためにSCADALINXpro HMIパッケージ（形式：SSPRO4）を設置して光ネットワーク経由で通信を行い集中監視ができるようにしました。
どのような画面を作成・表示されていますか。
［両金様］各浄水場、各ポンプ場のフロー画面を作成しアナログデータ値、運転・故障状態を表示することによって、状況がひと目で分かるようになっています（図2）。
トレンドグラフや現在値表示はTL2Wの標準機能であるWeb画面を使って表示しています（図3）。
また、警報設定値を変更する専用画面を作成し、ここに画面を表示するときはパスワードを入力しないと表示できないようにしています（図4）。
ご苦労された点がありましたら、お聞かせください。
［坂本様］市の光ネットワークを利用した監視であったため、何もかも初めてでした。セキュリティが厳しくてネットワークに接続できないこともあり大変でしたが、市の情報推進課の担当者と種々打合せて解決できました。
本システムを導入されてのご感想をお聞かせください。
［杉本様］今までは、遠隔監視にNTT専用回線を利用していたため、情報通信のランニングコストが毎月かかっていましたが、通信コストが無くなり満足しています。
さらに、WebロガーのEメール機能で通報を行っていますが、真庭市のEメールサーバ経由で通報しているためプロバイダを利用せず、これも無料でEメール通報が可能になりました。ただ、セキュリティの問題で誰でもがこのネットワークに入ることはできないため、自宅や携帯電話から監視できないのが残念です。
また、今まで手書きで記録していた日々の帳票が自動で作成できるようになったため、設備管理が容易になりました（図5）。
たとえば配水流量が通常と比較して異常に増えていたので、調査したところ漏水している箇所を発見できました。現在も毎日、施設の巡回はしていますが、さらに安心できるようになりました。
今後のご予定などがありましたら、お聞かせください。
［片山様］現在は美甘地域で2箇所、勝山地域で2箇所を監視しており、現在勝山地区で工事中の4箇所、さらに来年度以降も順次増設していく予定です。
直接監視しているのは勝山地区と美甘地区だけで、それ以外の地区は旧町村時代に構築した監視システムで運用し、それぞれ独立しています。
そのため、異常があったときは電話で連絡があり現場に見に行っているため、他の地区もSCADALINXproで監視ができるようにしたいと思っています。
お忙しいところ、ありがとうございました。
【岡山県真庭市のご紹介】
岡山県真庭市は、2005年に勝山町、落合町、湯原町、久世町、美甘村（みかもそん）、川上村、八束村、中和村（ちゅうかそん）および北房町の5町4村が合併して発足しました。岡山県北部中国山地のほぼ中央に位置し、北は鳥取県に隣接していて、東西に約30ｋｍ、南北に約50ｋｍの広がりを見せています。本地域の北部は大山隠岐（だいせんおき）国立公園の一部であり、「蒜山（ひるぜん）三座」をはじめ津黒山など標高1,000ｍ級の山々が鳥取県との県境を形成しています。その南部には蒜山三座や津黒高原などの広大な高原地帯が広がり牧歌的な高原風景を醸し出しています。本地域は岡山県の三大河川の一つである旭川の源流地域であり、この旭川が地域のほぼ中央部を支流と合流しながら南下しています。流域には、「美作三湯」の一つである湯原温泉郷、「日本の滝百選」にも選ばれた神庭（かんば）の滝など多くの観光地があります。
本稿についての照会先：
ミツワ電設（株）
〒701-2155
岡山県岡山市北区中原
511-1
TEL：086-275-3004
FAX：086-275-5886
＊SCADALINXproは（株）エム･システム技研の登録商標です。
