エムエスツデー 2009年9月号

お客様訪問記

環境データ用ロガーシステムに
採用されたWebロガー

(株)エム・システム技研 カスタマセンター システム技術グループ

 今回は、エム・システム技研の本社と木津川を隔てて直線距離で約1kmのところにある、大手鉄鋼メーカー、(株)中山製鋼所を訪問しました。同社では水質監視、大気観測などの環境データを収集するため、エム・システム技研のWebロガー(現場設置形Web対応データロガー)をご使用いただいています。今回このWebロガーを含むシステムについて、環境管理部 環境管理室 岸 要介様にお話を伺いしました。

 [エム・システム技研、以下エムと略称]ご採用いただいた経緯をお教えください。

 [岸]中山製鋼所は大都市の中央部(大阪市大正区)にあることから、住宅地に近接しています。そのため、環境保全に尽力することを会社の目標とし、環境対策を推進するために必要な技術は最新・最善のものを取り入れています。

 その一環として、製鋼所内にある2箇所の排水処理施設のロギングデータ(排水流量、負荷量演算値、COD(化学的酸素要求量)、窒素、全りん量)の測定装置を更新する話が出たとき、測定データを自動的に印刷でき、かつパソコンで状況が容易に見られるシステムを計画しました。

 その条件にぴったり合ったのが、エム・システム技研のWebロガーでした。WebロガーにはI/O内蔵タイプの製品もありますが、今回は入力点数が多かったため、外部にリモートI/Oを接続するタイプのWebロガー(形式:TL2W-ER2を採用しました。リモートI/Oとしては、R1Mシリーズ直流/熱電対16点入力ユニット(形式:R1M-GHと、無電圧接点32点入力ユニット(形式:R1M-A1を各1台ずつ使用してシステムを構築しました(図1)。Webロガーはアナログの瞬時値をロギングするだけではなく、内部に演算機能が標準装備されているため、演算結果(負荷量演算値)もロギングできました。また構内LANに接続することによって、特別なソフトウェアを使う必要がなく、OSに付属されているブラウザ(Internet Explorerなど)で直接監視できるため、会社の事務所内で使っている通常の事務用パソコンが使えました。

図1 システム構成図

 [エム]Webロガーにはトレンド画面、帳票画面、アラーム画面も標準で用意してあり、それらをご利用いただいているようですね。また、設定に関しても、付属のビルダソフトで簡単にご設定いただけたと思いますが、いかがでしたか。

 [岸]はい、そのとおりでした。これらの画面表示機能のうち、最初は標準の帳票機能を使って日報を作成し、WebロガーのFTP送信通信を用いて指定したパソコンに日報のCSVファイルを転送していました。しかし、負荷量演算値が、1時間毎に更新されるため、他の項目と1時間のずれを生ずることが判明しました。横軸の時間を揃えたいのでエム・システム技研にも相談しましたが、1項目だけずらすことは不可能であることが判りました。そこで、Microsoft Excelのマクロ機能を使用して、負荷量演算値のデータだけを1時間ずらしてパソコンに保存しました。

 [エム]それ以外に問題はありませんでしたか。

 [岸]導入してから1年経過しましたが、とくに問題ありません。この実績をもとに、本システムとは別に14箇所ある大気観測データのロガーシステムを更新する話を進めるにあたって再度エム・システム技研に相談しました。

 [エム]大気観測場所は14施設あり、トレンドグラフは各施設毎に別画面にしたいとのご希望があり、全部で14画面のトレンドグラフが必要でした。また、グラフィック画面に風向表示を行い、風向は中心軸を中心に360度回転表示させたいとのご希望もありました。当初は、リモートI/O R3シリーズとHMI統合パッケージソフトウェア SCADALINXpro(形式:SSPRO4をお勧めしました。

図2 盤内に設置されたWeb ロガーとリモートI/O R3シリーズ

 [岸]従来SCADAソフトウェアに触れた経験がなく、自分で作成することに大きな不安がありました。そこで、前回使用したWebロガーでシステム構築ができないか検討をお願いしました。

 [エム]Webロガーは1台でアナログ入力32点に対応していますが、トレンドグラフは4画面しかないため画面数が不足しています。また、1箇所あたり約3点の入力があり、総点数が約40点程度必要であったため入力点数も不足でした。そこで、Webロガー4台を使えば対応可能であることをご回答しました(図1図2)。

 また、Webロガーには固有のグラフィック画面作成機能も標準装備されていますが、風向を回転させることはできないため、代案として16方位の風向表示(北、北北東、・・・)の上にランプを点灯させる簡単なグラフィック画面なら作成可能であることをご説明しました。

 [岸]その結果、水質監視、大気観測あわせて合計5台のWebロガーが設置されました。

 監視用パソコンで表示する場合、瞬時に画面を切り替えられるように、画面左側に「お気に入り」画面を常時表示させ、あらかじめ5台のWebロガーへのリンクを登録しました(図3)。

図3 Web ロガーのメニュー画面とその左側に表示された「お気に入り」画面

 グラフィック画面にはまだできていない部分もあり、今後制作拡張していきたいと思います。

 また、省エネのため電力監視の計画もあり、使い慣れたWebロガーで監視を行いたいと考えています。

 [エム]今後もエム・システム技研をよろしくお願いします。お忙しいところをありがとうございました。

本稿についての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ TEL:06-6659-8200

SCADALINXproは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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