エムエスツデー 2007年11月号

お客様訪問記

東洋紡績(株)敦賀事業所の排水監視システムに
採用されたMsysNetシステム

(株)エム・システム技研 システム技術部

 今回は、東洋紡績(株)敦賀事業所の排水監視システムにご採用いただいたMsysNetシステムについて、システム構築を担当された(株)日新メンテナンスを訪問し、同社敦賀事業所 主任 平田 国幸 様にお話を伺いました。

 (株)日新メンテナンスは創業以来、工場の電気設備、制御設備のメンテナンスについて豊富な実績を培い独自の技術を育んでこられました。

 現代の工場は、その大部分が電気の力で動いているといっても言い過ぎではありません。最新鋭の製造設備は、そのすべてが電気で動き、いったん電気がストップすればたちまち工場の機能は停止してしまいます。

図1 監視用パソコン (株)日新メンテナンスでは、製品製造のための生産設備から始めて、受発電設備、あるいはボイラ設備、空調機器、環境設備など各種のユーティリティにいたるまで、工場が必要とするあらゆる設備について定期点検や日常の保守点検、故障の際の修理、また電気・計装設備のエンジニアリングなどを幅広く手がけておられます。

 一方、エレクトロニクス技術の飛躍的な進歩を背景に、生産現場の自動化・省力化がめざましい勢いで進み、センサ、PLC、コンピュータなどの制御設備がいまや工場のFA化になくてはならないものになっています。

 (株)日新メンテナンスは、このような新しい分野のメンテナンスについても豊富な実績と経験を積み重ね、取引先の皆様から高い評価を受けています。

[エム・システム技研、以下エムと略称]排水監視システムをご採用になった経緯をお教えください。

[平田]お客様(東洋紡績(株)敦賀事業所)では、主に工業用/包装用フィルム、機能樹脂用素材のポリマなどを製造されています。そして、従来は各設備から排出される排水の監視はそれぞれの設備単位で行われていました。 

 工場で発生した排水は、必要な処理を施した後、河川に排出されています。しかし、たとえばpH値などが異常値のまま排出されれば大問題です。そこで河川の環境を考えた危機管理を目的として、各設備から排出される排水の集中監視システムの採用が検討されました。

図2 東洋紡績(株)敦賀事業所の排水監視システム
図2 東洋紡績(株)敦賀事業所の排水監視システム[拡大図

[エム]排水監視システムではどのような項目を監視されていますか。

[平田]TOC(Total Organic Carbon)、TOD(Total Oxygen Demand)、pH、油膜、導電率を監視しています。各測定値に上限あるいは下限値を設定し、異常が発生すると警報を出力します。

図3 分析計器盤 監視箇所で異常が発生すると、排水溝の堰を閉めて、河川への排出を止めるようにしています。

 このとき、全工場のすべての排水を止めてしまうと、排出先である河川の水位が低下してしまいます。水位が低下することで河川に生息する生物に影響を及ぼすことが考えられます。このため、異常が発生している系統の排水溝の堰だけを閉め、異常が発生していない系統については、排水をそのまま継続します。このように、環境に対して配慮しています。

 また異常が発生すると、各責任者に通報して招集するようになっています。

 異常通報で招集された方々によって、監視 操作ソフト(形式:SFDNの監視画面をプロジェクタに投影させ、対策会議などが行われています。

[エム]今回の監視システムにMsysNetシステムをご採用いただいた経緯をお教えください。

[平田]集中監視を検討するにあたり、監視用のパソコンがダウンすることによってシステム全体が止まってしまっては大問題です。そこで、現場側で独立した制御が行える製品を探していたところ、MsysNetシステムの存在を知りました。

 MsysNetシステムの各ユニットは、ユニット毎にCPUを搭載していてユニット単位で制御が行えること、NestBus、L-Busなどの通信ネットワークも自立分散方式であるため、パソコンがダウンしても各ユニット側で制御が行えること、さらにシステムの拡張が容易に行えることが採用のポイントでした。

 なお、検討当初にはPLCを使用したシステムについても考えていました。しかし、以前お客様の設備でPLCネットワークを使用したシステムが雷害に見舞われ、大変困った経験があったとのことで、PLCを使用したシステムは却下されました。

 MsysNetシステムを導入して数年経過していますが、雷害による大きな被害は出ていないため、お客様からお褒めの言葉をいただいています。

[エム]MsysNetシステムをご採用いただいていかがでしたか。

[平田]ご説明したとおり、異常が発生すると異常通報によって関係者が招集されます。この際誤報があると大きな無駄が生じてしまいます。MsysNetシステムでは、計器ブロックを組み合わせることによって、より正確な異常警報を出すことができ、信頼性が高いとお客様には大変好評です。また、容易に増設できることも大変好評です。

 今後も排水監視に当たって、より詳細な部分の監視を行いたいというお客様からのご要望が出ているため、増設が容易なMsysNetシステムを採用して良かったと思っています。

 現在は、監視操作ソフトウェアとして監視 操作ソフト(SFDN)を採用していますが、将来はSCADALINXへリプレースすることも検討されています。

[エム]お忙しいところ、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:
(株)エム・システム技研
システム技術部

MsysNetSCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。


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