エムエスツデー 2007年6月号

お客様訪問記

京都府向日市の浄水場に採用された、
エム・システム技研のチャートレス記録計

(株)エム・システム技研 システム技術部

図2 物集女西浄水場

 向日(むこう)市は、京都府の西南部、旧山城の国に位置し、市の西部、北部および東部の三方を京都市に、また南部を長岡京市に接する、京都と大阪を結ぶ交通の要衝の地として発展しています。向日市の歴史と文化は原始・古代にさかのぼって古く、延暦3年(西暦784年)から延暦13年(西暦794年)にかけての旧都「長岡京」の時代において一段と多彩になり、政治・経済・文化の中心地として栄えました。市の名称の起源となった向日神社は、「明神さん」の名で親しまれている養老2年(西暦718年)創建の古社で、應永25年(西暦1418年)に建造された本殿は、室町時代の三間社流造という、後に東京 明治神宮のモデルにもなった建築様式であり、国の重要文化財にも指定されています。また、向日神社は春になると向日市一番のお花見スポットになり、市民の木である桜の開花期に合わせ、桜まつりが開催されます。

 今回は、この向日市の物集女西(もずめにし)浄水場を訪問し、エム・システム技研のチャートレス記録計をご採用いただいた、向日市上下水道部 高田 勝己 様、中村 文明 様にお話を伺いました。

図3 計装盤に設置されたチャートレス記録計(形式:73VR3000)

[エム・システム技研、以下エムと略称]本システムの導入の経緯についてお教えください。

[高田]集中監視装置と併用していた既設のデータ収集装置が破損したため、浄水場独自に汎用ソフトウェアを利用したデータ管理システムの導入を検討していました。その折りにエム・システム技研からチャートレス記録計(形式:73VR3000のPRがあり、十分に検討を重ねた結果、チャートレス記録計の導入を図りました。同記録計に魅力を感じた主な特長は次の3点です。

 (1)汎用品にもかかわらず、多機能でメンテナンスフリーであること

 (2) チャートレス記録計に付属している専用の PCレコーダソフトMSR128-V5)と組み合わせ、ネットワーク経由でパソコンでのリアルタイム監視、データロギングができること

 (3)収集したデータを CSVファイルに変換して出力できるため、汎用の表計算ソフトウェアとデータベース管理ソフトウェアで扱えること

[エム]システム構成についてお教えください。

[高田]物集女西浄水場で監視する信号は、既設の監視装置へ入力している信号線に2出力形 直流入力変換器(形式:W5VSを取付け、信号を分岐してチャートレス記録計に入力しています。また、物集女西浄水場には上植野浄水場からのデータがテレメータで送られてきているため、この機会に、その信号も変換器で分岐してチャートレス記録計に取り込みました。

 また、PCレコーダソフトをインストールしたパソコンとチャートレス記録計は Ethernet で接続され、同時に両方でデータをロギングします。したがって、常時は PCレコーダソフトで収集したデータを使用していますが、万が一パソコンがダウンしてデータが保存できなくなったときにも、チャートレス記録計がデータをCFカードに保存しているためデータがなくなることはありません。データのバックアップもできているので安心です(図1)。

図1 向日市物集女西浄水場の浄水場管理システムの機器構成

 主な記録内容は各浄水場の配水池水位、送水流量、残留塩素濃度などです(図4)。

[エム]システムの構築はどのように行われましたか?  

[中村]チャートレス記録計の設定方法について、事前にエム・システム技研で講習を実施してもらいました。導入後は自分たちで設定を行い、わからないところはエム・システム技研のホットラインに電話で問い合わせながら構築しました。システム構築後も、活用方法の相談にのってもらいながら改善しています。

[エム]収集したデータはどのように活用されていますか?

[中村]PCレコーダソフトで収集した1日のデータを、翌日CSVファイルに変換します(図5)。それを自分たちで作成したデータベース管理ソフトウェアで読込み、データベース化します(図6)。次に同じ管理ソフトウェアを使って作成した帳票のフォーマット上にデータベースから値を読込んで表示を行い、日報を作成して管理しています(図7)。

図4 PCレコーダソフトの画面
図5 前日のデータをCSVファイルに変換
図6 CSVファイルのデータを自作のデータベース管理ソフトウェアに読込む
図7 独自の帳票フォーマットにデータ表示

 今後は集中監視装置のデータベースと関連させて、たとえばトラブルが起きたときの内容、そのときの水位や流量などのデータの変動、処理した内容などを電子化して保存しておき、今後の水道の運用に活用していきたいと考えています。

[エム]お忙しいところ、お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:
(株)エム・システム技研
システム技術部


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