エムエスツデー 2006年10月号

お客様訪問記

屋久島(屋久町)の簡易水道監視システムに採用された MsysNetシステム

(株)エム・システム技研 システム技術部

 1993年にユネスコの世界自然遺産として登録された屋久島は、九州の最南端 佐多岬の南方約60kmに位置し、九州最高峰の宮之浦岳(標高1,935m)をはじめとする1,800m級の山々が連なる山岳島です。「月に35日雨が降る」といわれるほど 雨が多く、山では多いときには年間10,000mm、平地でも4,000mmの雨が降ります。山間部には樹齢数千年の屋久杉の森が広がる、自然の豊かな島でもあります。

 今回は、このように水の豊かな屋久島に、屋久町役場 建設課を訪問し、現在運用されている簡易水道監視システムについて、 建設課長 鹿島忠明様と同課主幹兼水道係長 鹿島 直喜 様、そして盤工事、システム構築を担当され、その後メンテナンスも担当されている八栄電設(株)の代表取締役 寺園 駿一 様と牧之段 雄二 様にお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]それではまず、実際に運用されている簡易水道監視システムの 概要についてご説明をお願いします。

[寺園]屋久町内には直線距離にして約40km の間に、10箇所ほど簡易水道関連施設(浄水場、配水池など)が点在しています。それらのうち、原地区の新規施設工事を実施するに当たり、信号を遠隔伝送して中央(町役場建設課)のパソコンで監視する方式を導入することになりました。

 まず、原地区配水池から原地区減圧施設(A区間)までは1km 弱の山間部でしたから、MsysNetシステム無線データ通信モデム(形式:RMD2を使用し、ランニングコストがかからない特定小電力無線(SS無線)方式を採用することにしました。

 また、原地区浄水場から原地区配水池の間(B区間)は約1.2km 離れていますが、水道管の敷設時に同時に電線(自営線)を引くことができたので、より対線(CPEV線)を使用する有線伝送システムを採用しました。当初はアナログ信号伝送を考えましたが、電線の芯数を減らせるため多重伝送方式を採用することにし、具体的には最長2kmまで伝送可能なMsysNetリンクアダプタ(形式:DAMを使用しました。

 また、原地区浄水場と屋久町役場建設課間(C区間)は距離が10km と大きく離れているため、毎月わずか約4,300円のランニングコストで済む、NTT専用回線の符号品目 50bps の通信手段を採用しました。

 湯泊地区の前処理施設からは、小形信号監視・報告ロボット てれとーくW(形式:TLWを使って、デジタル信号による異常通報を行っています。アナログ信号(濁度信号)については上下限警報を用いて異常通報を行っています。

 また、平内地区の加圧ポンプ施設からは小形信号監視ロボット てれまる(形式:TLOを用いて、デジタル信号(異常信号)だけを伝送しています。

図1 屋久町簡易水道監視システム
図1 屋久町簡易水道監視システム[拡大図

[エム]通信媒体をNTT専用回線、NTT一般公衆回線、自営線(多重伝送)、SS無線と、設備、設置場所を考えて効率的な使い分けをされていますね。

図2 原地区減圧施設

[寺園]今回のシステムを導入する前に設置されていた他社製の異常通報装置もまだ何台か使われており、更新時期にきているものがありますので、上記のような安価で効率的な監視システムへ更新することへのご提案も行っているところです。

[エム]今回ご採用いただいたMsysNetシステムでは、いろいろな通信回線が使われていますが、NTT一般公衆回線を利用して役場のパソコンで監視する方法だけが使われていないようです。異常通報装置が入っているところではランニングコストが今までと変わらないので、集中監視を行われてはいかがですか。

[寺園]NTTの回線を使用する場合、毎月の回線使用料は専用回線の符号品目50bps では約4,300円です。一般公衆回線の電話の場合、1級局で約2,400円ですが、別途ダイヤル通話料がかかるため専用回線で常時監視しても費用はあまり変わらないので、現在変更することを考えています。

[エム]ただしNTT専用回線に切り替えると、設置時に施設設備負担金が2契約必要になり、異常通報装置の回線(既設)が1契約ありますから、もう1契約分の36,000円が新たにかかってしまいますが、上位のパソコンのソフトはすでに監視 操作ソフト(形式:SFDNをご採用いただいていますから、画面構築だけで済み、経済的に実施できます。

[寺園]このような集中監視システムは、すでに鹿児島県内の市町村に数箇所導入していて、簡単に構築できることを実証済みです。

[鹿島係長]今後順次採用したいと考えています。そのときは相談に乗ってください。

[寺園]はい、承知しました。

図3 屋久町役場 建設課のパソコンと監視画面

[鹿島課長]屋久島は林業と観光で成り立っています。『エムエスツデー』読者の皆さん、 町内には2万本以上の屋久杉が鑑賞できる屋久杉ランドや千尋滝などがあります。屋久島の貴重な自然を楽しみに、ぜひ一度お越しください。

[エム]お忙しいところ、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先
八栄電設 株式会社
代表取締役 寺園 駿一 様
〒891-0108  鹿児島県鹿児島市中山二丁目28番14号
TEL.099-269-6767  FAX.099-269-6803

てれまるてれとーくエム・レスタMsysNet は、エム・システム技研の登録商標です。


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