エムエスツデー 2006年8月号

お客様訪問記

兵庫県上郡町の遠方監視システムに採用された
SCADALINX HMIによるテレメータ装置

(株)エム・システム技研 システム技術部

 上郡町(かみごおりちょう)は、兵庫県の南部最西端、瀬戸内海からは赤穂市を隔てた内陸に位置し、温暖な気候に恵まれ、古くは農業が中心でしたが、その後播磨臨海工業地帯の後背地として発展し、セメント、電機、化学などを中心とする製造業を含むようになっています。町北東部には播磨科学公園都市、中央部には山陰と瀬戸内海を結ぶ智頭急行線をもつことによって町をとりまく社会的環境が大きく変わり、これに伴う商工業の発展が期待されています。町の発展を支えてきた農業に関しては、土地改良事業の推進と合わせて新規農作物の開発研究が行われ都市近郊型農業への展開が図られています。なお、町の中央部には清流千種川(全国名水百選に含まれる)が流れ、町全体が「水の郷」に指定されるなど、豊かな自然を有しています。

 この上郡町にある上水道設備の遠方監視システムに、エム・システム技研製テレメータ装置が採用され、稼働しています。今月は、上郡町水道事業所を訪ね、所長の岡本 博様、工務係長の辻 文継 様にお話を伺いました。

図1 兵庫県上郡町の遠方監視システム
図1 兵庫県上郡町の遠方監視システム[拡大図

[エム・システム技研、以下エムと略称]今回新たな浄水場を完成なさったとお聞きしましたが、お話を聞かせてください。

[岡本]水道事業は、町民生活を支える上でその重要性を高めています。近年における水道水源事情については、生活様式の変化や多様化に起因する環境汚染に伴い水質悪化が懸念され、水道の安全性や信頼性を脅かす大きな問題としてクローズアップされています。上郡町の具体的な水道水源は、千種川と水源背景の豊かな自然を源とした浅井戸水における水源であり、病原性微生物対策その他、安全な水を供給するための諸整備が求められていました。

 このような背景から、平成12年度に浄水方法の変更について国の認可を受け、高度浄水処理施設(膜処理)の建設事業に着手しました。既設の新大枝水源の原水と今回新設された大枝新浄水場の原水(1号井および2号井)を大枝新浄水場に導入し、これらを一括して高度浄水処理した後、浄水を既設の大枝配水池、岩木配水池および大池受水槽へ送水する施設を整備することになりました。

 大枝新浄水場の水源については、上流域に複数の下水処理施設が存在するため、クリプトスポリジウムによる汚染の可能性が高いと考えられます。実態として、病原性大腸菌群のうち、糞便による水質汚染の指標となる糞便性大腸菌群の試験結果は、過去陽性と判定されていて、クリプトスポリジウムによる汚染の恐れがあり、上郡町では、浄水処理方法として、「MF膜による膜処理浄水処理法」を選定し、高度処理施設を設置しました。大枝新浄水場の完成によって最新の浄水処理が可能になり、懸案であったクリプトスポリジウム等病原性原虫対策が図られ「いつでも安全で、安心して飲める水道水」を供給できるようになりました。

[エム]テレメータ監視システムを導入された経緯を教えてください。

図2 テレメータ盤内図3 大枝新浄水場の内部

[辻]元々は、大手メーカーのテレメータを採用していましたが、予算の関係もあり、エム・システム技研のテレメータ装置および遠隔監視システム( MsysNet )を5年前から採用していました。このテレメータは、現在も稼働しています。

 今回、新設浄水場についても既設と同じテレメータを導入しました。しかし設置後数年経過していることもあり、既設のMsysNet で採用している監視 操作ソフト(形式:SFDNがOS Windows 2000 までしか対応していないため、新たにIE(インターネットエクスプローラ)用の監視ソフトであるSCADALINX HMI(形式:SSDLX)にリプレースすることにしました。

[エム]設備なさったテレメータ装置による遠隔監視システムの構成をお教えください。

図4 監視画面

[辻]図1に示すように、NTTの50bpsと300bpsに対応するエム・システム技研製テレメータ装置を使い、8箇所ある子局からの計測信号(配水流量および水位)を、役所の水道事業所内に集めて監視しています。

 浄水場では、パソコンと新設グラフィックパネルを使い各テレメータを介して取り込んだ信号をグラフィック画面やトレンド画面で表示することによって、子局の状態のリアルタイムな監視ができるようにしています。

[エム]今回の遠隔監視システムに、エム・システム技研製テレメータ装置をご採用になって、いかがでしたか。

[辻]予想以上の設備費の低減、またこれまでに問題が何ら発生していない点に満足しています。

 新しい事業に取りかかるためにも、未給水の部分に上水を送れるようにするため、これからも安価で実績のあるエム・システム技研のテレメータを採用したいと考えています。

[エム]お忙しいところ、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:
(株)エム・システム技研
システム技術部

上郡町水道事業所のご案内:
上郡町水道事業所
〒678-1225
兵庫県赤穂郡上郡町與井380
TEL. 0791-52-0097

MsysNetSCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。


ページトップへ戻る