エムエスツデー 2006年6月号

お客様訪問記

山形県戸沢村役場のマンホールポンプ監視に採用された
エム・システム技研のSS無線を使用した遠隔監視システム

(株)エム・システム技研 システム技術部

 山形県戸沢村は山形県北部の最上地方に位置し、中央を流れる日本三大急流のひとつ最上川は、俳聖芭蕉の句“五月雨をあつめて早し最上川”にも残り、その風情は最上川舟下りにより全国の人々から親しまれ、多くの観光客も訪れるところです。

 今回は、この戸沢村役場 建設水道課を訪問し、下水道主査兼下水道係長 八鍬(やくわ) 晃 様、また、システムを納入されたクシダ工業(株) 制御システム事業本部 営業部 部長 野口 利治 様から、過日ご採用いただいたエム・システム技研の無線テレメータを使った遠隔監視システムについてお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]本システムご導入の経緯についてお教えください。

[八鍬]戸沢村役場では、約5年前からNTT専用回線用のテレメータを採用したシステムでマンホールポンプの遠隔監視を行っていました。リアルタイムで監視できるため利便性は良いのですが、各マンホールポンプ場ごとにNTT専用回線を契約するため、高額な回線使用料が悩みの種でした。そのようなとき、クシダ工業からエム・システム技研の無線データ通信モデム(形式:RMD2)についてご紹介いただき、専用回線と同等のリアルタイム監視ができ、さらに回線使用料が不要になるのであればコストメリットは大きいと考え、早速採用することにしました。

[エム]本システムの構成およびご紹介いただいた経緯についてお教えください。

[野口]本郷地区農業集落排水施設を中心に、地区一帯の中継ポンプ盤の監視を行っています。全体構成を大きく分けると、本郷地区農業集落排水施設からRMD2の電波が直接届く2箇所のエリアと、電波の届かない8箇所のエリアに分かれました。そこで、電波の届かない8箇所のエリアに関しては、8箇所の中心に位置する第4号中継ポンプ盤を親局とする1:7の無線テレメータシステムが構成できることを確認し、本郷地区農業集落排水施設と第4号ポンプ盤の通信にはNTT専用回線テレメータを利用することによって、電波の届く2箇所のエリアと同様の監視システムを実現しました(図1)。

図1 戸沢村水道施設集中監視システム構成図
図1 戸沢村水道施設集中監視システム構成図[拡大図

 無線機本体は、できるだけ高い場所に設置した方が電波の受信感度が良いため、引き込み用電柱などを利用して、できるだけ高い場所に取り付けています。RMD2は無線機とアンテナが一体形になっていますから、アンテナ部分だけが盤の外に出る専用ボックスを製作し設置しています。なお、無線テレメータ導入にあたって一番心配になる点は、実際の環境下で電波が届くかどうかということです。本システムでは、計画前にエム・システム技研の方に現地で調査していただいたので、安心して導入することができました。

 私どもクシダ工業では、RMD2が発売されたときから通信コストゼロの無線テレメータに着目していました。戸沢村役場殿におかれましても例外ではなく、毎月の専用回線使用料にお悩みでしたから、このシステムをご紹介しました。

 RMD2の親子局間の電波到達距離は見通しできる場所で直線距離3km程度ですが、戸沢村役場殿のシステム構成のように専用回線テレメータも併用することで、適用範囲を拡大することが可能です。エム・システム技研の製品はI/Oユニットの種類、また他社製品との通信インタフェースについて様々な製品が用意されているため、お客様のニーズに合ったシステムを構築することができます。今回のシステムについても、テレメータ関連機器はエム・システム技研製ですが、監視画面用のソフトウェアやシーケンスコントローラなどの機器は、私どもクシダ工業の自社製品を選定しています。

図3 現場盤(左)とその盤内(右)

図2 RMD2設置盤

[エム]実際にご採用いただいていかがでしょうか。

[八鍬]NTT専用回線の契約数を減らしたために、毎月のランニングコストを大幅に削減することができました。また、当初無線を使用するにあたっては、天候(雨、雪)、周囲を自動車が通過すること、違法無線の影響などによって通信トラブルを生じる恐れが有線のテレメータよりも大きいのではないかと懸念していましたが、竣工後に無線通信のトラブルは一切なく、予想以上に信頼性が高い製品であることを実感しています。

[エム]お忙しいところ、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:
クシダ工業 株式会社
制御システム事業本部 営業部
部長 野口 利治 様
〒370-0042
群馬県高崎市貝沢町965
TEL. 027-362-1231
FAX. 027-370-1610

 (株)エム・システム技研
システム技術部
TEL. 03-5783-0511
FAX. 03-5783-0757


ページトップへ戻る