エムエスツデー 2005年2月号

お客様訪問記

札幌市下水道局の
水質連続監視システム(光ファイバ利用)に採用された
エム・システム技研製ネットワーク機器

(株)エム・システム技研 システム技術部

図1 札幌市下水道局施設部創成川水処理センター 北海道の中心地札幌市は、明治2年の開拓使設置以来130年、北海道の開拓拠点として発展し続けてきました。そして現在は、人口186万人を擁する全国5番目の大都市です。1972年には冬季オリンピックの開催地にもなり、現在では1年を通して四季折々の様々なイベントが開催され、海外からも多くの観光客が訪れています。

 今回は、この札幌市の下水道局施設部創成川水処理センターを訪問し、札幌市下水道局施設部創成川水処理センター 設備係長 村 廣二 様、またシステムを担当された札幌テーケーシー(株) 技術主任 松原 弘昌 様からエム・システム技研のネットワーク機器を使った水質連続監視システムについて、お話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]本システムご導入の経緯についてお教えください。

図2 モニタリングデータの活用方法

[村]北の理想都市をめざす札幌は、人口186万人を有する大都市へと成長してきました。それに伴い、下水道設備についても、都市の基盤システムとして札幌を地下から支えるべく、大正15年の事業着手から70年以上にわたって機能の充実を図ってきました。下水道が水循環において基礎的な役割を担っていることを念頭におき、環境保全に対して積極的に貢献し、次世代に「快適な町」として誇れる財産を残すことを基本理念として、下水道事業を推進しています。

 水質自動計測器については、これまで水温計やDO計など精度の高い機器を中心に整備を行っており、これらの計測器によって連続的に把握されるデータを参考に運転管理を行ってきました。

 一方、MLSS計注)や濁度計などの計測器も、精度が向上し、実用レベルに達していることから、これらの自動計測器の整備により、さらに最適な運転管理が可能となります。

 また安価なリモートI/Oを使用したネットワーク監視システムを利用し、遠隔地においても効率的な水質管理ができるようになりました。

 現在では、技術職員が常駐体制にない処理場の水処理状況把握を3箇所の中核処理場で補完していて、遠方監視の安定性向上が重要な課題になっています。

図3 監視室図4 監視用パソコン

[エム]水質監視システムの内容について教えてください。

[松原]札幌市下水道局本庁舎を中心にして、各処理場との間には事務基幹ネットワークとして光ファイバケーブルが敷設されています。各処理場の水質データは、処理場内の水処理センターに設置した水質監視装置にて収集、保存されています。上記事務基幹ネットワークの通信方式がEthernet(TCP/IP)であることを前提として検討した結果、MSデータロガーとリモートI/OとしてR5シリーズを採用することになりました。

 各処理場にはサーバパソコンを設置して水質データを取り込み、Citect SCADAソフトウェア(Citect5)によってグラフィック画面、トレンド画面、アラーム設定画面を監視するとともに、帳票アドオンパッケージソフト(EasyReport for Citect)を使って帳票を作成しています。また、各処理場にはクライアントパソコンも設置し、サーバで監視するのと同様の内容を複数のパソコンでも監視できるようになっています。入出力の機器としてR5シリーズを使用し、基幹ネットワークへの接続にはネットワーク変換器(形式:72EM)を採用しました。

 なお、下記のポイントがR5シリーズと72EM採用の決め手になりました。

 (1)各処理場がすでに光ファイバケーブルで結ばれ、場内にはEthernet方式LANが構成されているため、新たなケーブルの敷設を必要としなかった点
 (2)ネットワーク変換器(形式:72EM)はTCP/IPによる制御が可能である点
 (3)ソフトが高機能であり、画面のカスタマイズなど自由度が高い点

図5 Citect 監視システム構成図
図5 Citect 監視システム構成図 [拡大図]

図6 メニュー画面

図7 フロー画面

[エム]システム構築はどのように実施されましたか。

[松原]構築作業はすべて私ども、札幌テーケーシーで行いました。MSデータロガーは初めての採用だったので分からない部分が多くありました。とくに導入前に不安だったこととしては、一般業務で使用しているLANを併用してMSデータロガーで通信することが本当にできるのか、また通信できたとしても業務用のLANを併用することに問題はないのかという点がありました。

 エム・システム技研に相談したところ、導入前に実環境で試験を実施することになり、創成川下水処理場と拓北下水処理場間で通信試験を実施しました。その結果、問題ないことを確認したため安心して導入できました。予期せぬトラブルもありましたが、本当に困っているときにはエム・システム技研に依頼して現地サポートにも対応していただきました。

 現在では、MSデータロガーの様々な機能を自由に扱えるようになり、お客様からの幅広いご要求にもお応えできるようになりました。

[エム]実際に導入されてみていかがですか。

[村]本システムの導入により、これまでの水質試験では得られなかったリアルタイムでの変動データの収集が可能になり、たとえば、水処理機械のトラブルは水質データを介して把握できるなど、各施設における処理プロセスの運転、処理状況を把握した上での、きめ細かな水質管理ができるようになりました。

[エム]お忙しいところ、お話をお聞かせいただきありがとうございました。

注)MLSS計:下水処理プラントなどにおける、ばっ気槽内の活性汚泥濃度計。

本システムについての照会先:
 札幌テーケーシー 株式会社  技術主任 松原 弘昌 様
 〒003-0012  北海道札幌市白石区中央2条  1丁目 浅沼ビル
 TEL.011-813-3336  FAX.011-813-334


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