エムエスツデー 2007年7月号

PCレコーダの納入実例
No.22

製品の品質管理に採用された
PCレコーダソフトウェアMSRpro(エムエスアールプロ)

 PCレコーダの納入実例として、今回はある工場の生産ラインに導入されたPCレコーダソフトウェア MSRpro(形式:MSR2K-V5についてご紹介します。MSRpro はサーバ/クライアント方式を採用しており、サーバソフトウェアにてデータを収録し、クライアントソフトウェアにてデータの表示・解析を行うパソコン記録計です。

 この工場は、製造過程においてプレスで原材料を加圧して焼入れを行っています。従来は、焼入れ用機械の温度や圧力のデータをペンレコーダで記録し、規定値範囲内の温度や圧力で製品が製造されているかどうかを確認して品質管理を行っていました。

 今回、機械を新しく3台導入するにあたり、今までのペンレコーダの記録紙からでは正確な値を読み取れないこと、また、記録紙の保管場所や管理が大変になってきたなどの理由から、デジタル方式によるデータ管理を実施したいとのご要望がありました。

 具体的なご希望としては、常時、データを収集するのではなく、製造装置の運転開始と同時にデータの記録を開始し、停止と同時に記録を終了することによって必要でないデータは記録しないこと、また、データは表計算ソフトウェアで読込めるCSVファイル形式で直接保存できることでした。

 その目的は、表計算ソフトウェアを使ってグラフを作成し、また、ロットサイズや顧客コードを入れて管理できるようにするためでした。CSVファイルに入力したい項目は、(1)使用する機械名称、(2)ロット番号、(3)顧客コード、(4)ロットサイズ の4項目でした。

 データ入力用機器としてはリモートI/O R3シリーズを使用しました。

 図1に全体の構成図を示します。製造装置内の温度測定用センサとしてはT熱電対を使用しているため、温度の取込みには熱電対入力カード(形式:R3-TS4 を使用し、圧力計からはDC4~20mAのアナログ信号が出力されるため、直流電流入力カード(形式:R3-SS4 を使用しました。記録開始・終了用信号として製造装置の運転・停止リレーの接点信号を取込むためには、接点入力カード(形式:R3-DA16 を使用しました。

図1 システム構成図

 CSVファイル(図2)の作成には MSRpro のバッチ機能を使用しました(図3)。

 この機能では、サーバソフトウェアで収録中のデータから、1グループ毎に収集したデータをCSVファイルに変換して、収録開始から終了まで1ファイルとして保存します。CSVファイル名は、収録毎に設定できるため、機械の運転前に、あらかじめ使用する機械名称とロット番号を入力しておきます。機械からの運転信号を検知すると記録を開始し、ファイルが作成されます。

 ファイルの中には、機械名称、タイムスタンプ、ペンのタグ名、工業単位そして入力値が表示されます。入力値は、タイムスタンプに沿って時系列に保存されているため、収録後に表計算ソフトウェアで表示すれば温度や圧力の変化が容易にわかります。最後に、できあがったファイルに顧客コードとロットサイズを入力して保存します。

図2 CSVファイル

図3 MSRproのバッチ処理画面

 MSRpro を使用することによって、従来に比べインク代やチャート代などのランニングコストをなくすことができました。さらに、パソコンによるデジタルデータ管理の採用に伴って、記録紙の保管場所や管理を含めて作業効率が大幅に向上しました。

MSRpro は、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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