エムエスツデー 2007年6月号

PCレコーダの納入実例
No.21

連続焼成炉の温度管理に採用されたチャートレス記録計

 PCレコーダの納入実例として、ある焼成炉工場の温度管理用に導入された、オープンネットワーク対応 入力カード選択形 チャートレス記録計(形式:73VR3100について、今回はご紹介します。

 この工場では、連続焼成炉が8基あり、セラミックス部品の焼成を行っています。1炉当たり24点またはそれ以下のK熱電対が設置されていて、今までは打点式記録計で温度データを記録していました。温度データの管理は、チャート紙に記録されたものを読み取り、パソコンによる手入力で行われていました。既設の打点式記録計の老朽化に伴うリプレースが検討される中で、現場盤と管理室設置のパソコンの両方でデータを見られるようにしたいとのご要望がありました。これに対応して、現場盤には73VR3100を設置して監視できるようにするとともに、73VR3100 がもっているオープンネットワーク対応機能を利用して、収集データをCC-Link 経由で PLC に取り込み、さらに管理室設置のパソコンへデータ送信する構成をとりました(図1)。

図1 73VR3100のシステム構成例

 73VR3100 の本体には、最大4枚のリモートI/O R3シリーズ 入出力カードと通信カード(最大1枚)を実装することが可能であり、今回は、絶縁8 点 熱電対入力カード(形式:R3-TS83枚とCC-Link対応 通信カード(形式:R3-NC3を実装しました。

 工場内には炉毎に現場盤が設置されています。従来は、1台の盤に3台の打点式記録計があり、送り不良やインク切れ、記録紙の交換や機械部分への注油など、定期的なメンテナンスが必要でした。

 記録計をリプレースした結果、現場盤に設置した1台の73VR3100 によって、いつでもリアルタイムにデータが見られることはもちろん、従来の打点式記録計にはなかったアラーム履歴画面やオーバービュー画面も見られるようになりました。このため、オペレータはアラーム履歴画面で異常の履歴を確認したり、オーバービュー画面で監視点数すべての状態を一目で把握することができ、作業性の向上と設備異常時の対応の迅速実施が可能になったとのことです(図2)。

図2 73VR3100の画面の種類

 また、消耗品の購入費や人件費など、メンテナンスのためのランニングコストがほとんど不要になりました。さらに、今回とくにご評価いただいた点は、事務所のパソコンで工場内の全焼成炉の温度データを監視できるようになったことです。

 PLCへのデータ送信は必須条件であり、従来は1入力2出力形のアイソレータを使用して、ハードワイヤリングでPLCへ入力していました。一方、本システムでは73VR3100 に実装しているオープンネットワーク対応の通信カードR3-NC3)を使用して、ネットワーク経由でPLCへデータ伝送できたこともご評価いただきました。

 今後も、PCレコーダ用のリモートI/Oやレコーダソフトウェアの改善を進めて参ります。適当な用途へのチャートレス記録計のご採用について、ぜひご検討ください。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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