エムエスツデー 2007年4月号

PCレコーダの納入実例
No.19

テレメータD3シリーズの上位監視に用いたPCレコーダ

 今回は、専用回線を使ったテレメータでのデータ監視を目的として、PCレコーダソフトが採用された例をご紹介します。

 エム・システム技研では、専用回線によるテレメータとして、MsysNet テレメータ、テレメータD3シリーズ、テレメータD5シリーズジャストフィットテレメータなど、いろいろな種類の製品を販売しています。通常、上位ソフトウェアでテレメータを監視する場合、監視ソフトウェアとしてはSCADAソフトウェア(監視 操作ソフト(形式:SFDN)、SCADALINX HMI(形式:SSDLXなど)をご使用いただきますが、今回のシステムではPCレコーダ総合支援パッケージ(形式:MSRPAC-2006PCレコーダソフトMSR128-V5)をご使用いただきました。

 SCADAソフトウェアでは、上位側から出力の操作ができグラフィック画面の作成も可能です。しかし今回は、そのような機能は不要であり、トレンドグラフでのデータ監視と帳票作成ができればよいという背景から、テレメータD3シリーズMSR128-V5 を組み合わせたシステムをご採用いただきました。

 SCADALINX HMISSDLX)は基本価格が150,000円ですが、MSRPAC-2006 は基本価格が38,000円でありコスト面でのメリットがあります。さらに、SCADAソフトウェアでは機器登録、タグ登録、トレンド画面へのペン設定など各種の設定が必要であり、機器のアドレス位置などを構築するための知識が必要になります。これに対しMSR128-V5の場合には、設定操作はユニット形式と入力チャネル番号を指定するだけであり、容易に実行することが可能です注)

 システム構成例を図1に示します。上位ユニットには、1つのベースに複数のD3シリーズ 1200bps通信カード(形式:D3-LT3を組み込み、2箇所の子局と通信しています。スロットに余裕があれば、3箇所以上との通信も可能です。

 入力データとしては、色度、濁度、残留塩素濃度、水圧などのアナログデータおよびサーキットプロテクタ異常、テレメータ異常、装置異常などの接点信号を2箇所から取得しています。MSR128-V5にはグラフィック機能はありませんが、トレンド表示機能、アナログ値のアラーム表示履歴、接点信号による事象発生/アラーム履歴の表示が可能であり、MSRPAC-2006に付属している帳票作成支援ソフトMSRDB2-V5)を使えば、日報、月報、年報作成も容易に行えます。

図1 システム構成例

 画面例を図2に示します。図2に示すように、アラーム情報は、発生の都度ポップアップ表示されますが、メニューバーから履歴を表示し、日毎にCSVファイルを保存することもできます。

 図3に帳票例を示します。前述したように、MSRDB2-V5を使って作成できます。

図2 トレンド、アラーム履歴画面例図3 帳票画面例

 テレメータでは、回線の不調によって一時的な回線断状態が発生する場合がありますが、D3シリーズにおいてはD3-LT3からのRUN接点信号を使って状態を検知することが可能です。また、相手側入出力カードの異常はD3-LT3のRUN1接点信号で検知できます。本システムでは、それらの信号を上位D3シリーズの接点入力カードに入力することによってPCレコーダソフトで表示し、故障履歴も記録しています。

 エム・システム技研では、ここにご説明した製品以外にも様々なレコーダソフト、テレメータシステムを扱っていますから、要求される機能に対応して最適なシステムをご選定ください。なお、グラフィック画面などによる操作や演算処理(例:運転中信号を使っての運転時間の積算など)が必要な場合には、MsysNet テレメータの採用をおすすめします。

注)テレメータD3シリーズPCレコーダソフトMSR128)上で設定する場合は、ノード種類としてR3を選択します。

MsysNetSCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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