エムエスツデー 2006年5月号

PCレコーダの納入実例
No.11

ハンディレコーダ(形式:50HR)によるデータ収集

 今回は、PCレコーダシリーズの一つであるハンディレコーダをご紹介します。

 前回までにご紹介したPCレコーダは、パソコンやタッチパネルを表示器として使用するパソコン記録計システムで、常時設置形ともいえます。しかしながら、設備のメンテナンス・検査・試験あるいは試運転時などに、長期間のデータ保存が目的ではなく、一定期間だけ現場に機器を持ち込み、データロギングしたいというご要求もあります。

 これを実現するのが、ハンディレコーダ(形式:50HRです。50HR は、本体単体で記録・表示できるオールインワンタイプの記録計です。

 その主な機能と特長を簡単にご紹介します。

図1 50HRの外形、寸法、質量(本体のみ)

 外形は、小形(B5サイズ、図1参照)軽量であり、手軽に持ち運びができるハンディタイプです。電源は、ACアダプタまたは内蔵バッテリで動作するため、機動性にも優れています。入出力部は、アナログ8点/16点入力用(直流電圧、熱電対、測温抵抗体)と32点入力用(直流電圧、熱電対)の3タイプを用意しており、いずれもチャネルごとに絶縁されています。画面には、5.7インチ(240×320ドット)のカラー液晶ディスプレイを採用しているため、現場でのデータ確認が容易です。収集したデータは、フラッシュATAカードに保存でき、最速100msからの保存を実現しています。データ解析用ソフトウェアとしては、PCレコーダソフト(MSR128)が付属していますから、フラッシュATAカードを50HR本体から取り外して、パソコンによるデータ解析が簡単に行えます。また、本体にはLANポートも用意されていますから、Ethernetを経由して、MSR128による解析とリアルタイムでのロギングも行えます(図2)。

図2 50HRの構成図

 次に、最近メンテナンス会社にご採用いただいた事例をご紹介します。

 定期的に真空装置の点検業務を行っていて、装置内の真空度・温度・圧力などの信号10点ほどを一定期間連続測定してロギングし、装置の診断を行い合否を判断しています。エンドユーザーの現場での作業になるため、手軽に持ち運びが可能なハンディタイプである点とチャネルごとに各種入力(直流電圧、熱電対、測温抵抗体)を任意に設定できる点が決め手になり、ご採用いただきました。

 50HRを使用する前は、装置に組み込まれているデジタル指示計を10分毎に目視測定し、手書きでメモを取り、レポートを作成していました。50HRを採用することにより、自動的にデータ収集を行ってフラッシュATAカードへ保存し、作業終了後に50HR本体からフラッシュATAカードを取り外して、カードリーダーを経由してパソコンへデータを取り込み、レポートを作成しています。データ収録周期が任意に設定でき、かつ目視測定より正確に装置の状況を把握できるようになりました。なお、内蔵バッテリを装備しておけば、瞬停によるデータ保存中断の危険性を回避できる点についても高い評価をいただいています。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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