エムエスツデー 2017年4月号

アプリケーション紹介

こんな変換器ご存じですか(その5)

機 種 デューティパルス出力変換器 形 式 MTD

 今回は4〜20mA DCや1〜5V DCなどのアナログ電気信号を入力して、その信号値に対応したデューティ比のパルス信号を出力する、デューティパルス出力変換器(形式:MTD)をご紹介します。
 図1がその外観と入出力の仕様です。入力信号は4〜20mA DC や1〜5V DC以外にも、10〜50mA DCや0〜10V DC、その他お客様ご指定のレンジなど、さまざまな入力仕様のものを用意しています。出力は入力に比例したデューティ比の方形波パルス(波高値 24V DC±1V)です。

図1 デューティパルス出力変換器(形式:MTD)の外観と主な仕様

デューティ比とは

 デューティ比とは図2に示すように、パルス信号のONの時間とパルス周期との比をいいます。
 図3はデューティ比の具体例です。図からも分かるように、デューティ比が「0%」は出力パルスがすべてOFFの状態にあります。逆にデューティ比が「100%」であれば出力パルスはすべてONの状態にあります。
 デューティパルス出力変換器は、入力信号の0〜100%に対して出力パルス信号のデューティ比が0〜100%に変化します。なお、出力パルス信号の周期は、周期選択スイッチと周期調整ボリュームで、0.1sから102.4sの範囲で任意に設定できます。

図2

図3

応用例

 デューティパルス出力変換器の応用例としては、電気炉の温度制御などがあります。炉内の電気ヒータのON-OFF制御だけでは、温度の目標値に対して炉内の温度はある幅の範囲で変動しますが、電気ヒータをON-OFF時間のデューティ比で制御すれば、ON-OFFしかできない電気ヒータのPID制御が可能となり、制御性が向上します。
 制御周期は炉の熱容量によって決めますが、一般には熱容量の大きな炉では制御周期を長く、熱容量の小さな炉では制御周期を短く設定します。また、電気ヒータを接点をもったマグネットスイッチで制御しているか、SCR(サイリスタ)やSSR(ソリッドステートリレー)などの半導体スイッチで制御しているかによっても、制御周期を検討する必要があります。
 そのほかの応用例としては、直流LED照明の照度コントロールや、直流モータの回転数制御などにも使われます。

PID実習セット

 エム・システム技研のPID実習セット(形式:PID-TS)では、シングルループコントローラの4〜20mA DC出力を、デューティパルス出力変換器を介してパルス信号に変換して、白熱電球の電源をコントロールし、白熱電球の表面温度のPID制御を実体験できるようにしています(図4)。
 PLCや温調計で電気ヒータのようなON-OFFの操作端を制御する場合は、制御性の高いPID制御を実現するデューティパルス出力変換器の利用をご検討ください。 

図4 PID実習セット(形式:PID-TS)


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