エムエスツデー 2015年1月号

アプリケーション紹介

シングルループコントローラのアプリケーション

第4回 定量混合出荷調節システム 機種 バッチ調節機能付 SC200B
混合調節機能付 SC200B

 今回は、バッチ調節機能付シングルループコントローラ(形式:SC200B、以下「バッチコントローラ」と称します)と混合調節機能付シングルループコントローラ(形式:SC200B、以下「混合コントローラ」と称します)を組合せた定量混合出荷調節システムのアプリケーション事例を紹介します。これは、今まで第1回から第3回までに紹介してきましたシステムを統合したもので、定量出荷調節制御と混合調節制御を1バッチ工程で同時に行います。

 このシステムでは流量計からのパルス列信号をカウントして調節弁の連続制御を行い、原料(流体)を決まった分(定量)だけ計量投入し、同時に別の第2の種類の流体を連続的に混合し、各流体の仕込体積の比率が所定の値となる混合調節制御を行います。図1に簡単な構成例を記載します。図1において、「バッチコントローラ」でマスタラインの流体Aの定量出荷調節制御を行います*1。制御の結果、図2に示すように流体Aの仕込体積QAが得られます。この仕込体積QAに対し、「混合コントローラ」を使用して流体Aの流量をマスタ信号とし、任意の比率を指定して流体Bの流量を混合調節制御すればQBが得られます*2。つまり、QBとしてQAに比率Rnを乗じた定量が投入されることになります。

図1 定量混合出荷調節システム構成例

図2 バッチ進行とプログラム出力のタイミングチャートおよび混合結果


定量混合出荷調節システムの概要

 (1)制御開始の準備を行います。「バッチコントローラ」と「混合コントローラ」にある「積算リセット」ボタンを押し、それぞれの入力パルス積算値をリセットして “0” にします(図2①)。設定流量積算値qAに対する混合比率(%)を「混合コントローラ」の画面から入力します。

 (2)バッチのスタートを行います。外部から接点信号を「バッチコントローラ」に入力するか、または液晶パネル前面に割り付けられたスイッチによって開始します。バッチスタートと同時に「バッチ・プログラム設定」ブロックのプログラム出力を開始し、出力値を初期値20%から設定された上昇傾斜率K1(%/s)の設定に沿って上げていきます(図2②)。

 (3)このプログラム出力を目標値としたPID制御も開始され調節弁Aの開度を制御します。積算リセットを解除して、マスタラインに成分が流れ始めれば、流体Aの流量パルス列信号qAが「バッチコントローラ」に取り込まれます。同時に再発信パルス列信号qA’(設定流量)を出力して「混合コントローラ」に送り、調節弁Bの制御を開始します。

 (4)制限設定75%に到達すると、出力は一旦保持され(図2③)、入力パルスの積算値が「初期流量積算制限値」に到達したとき、定常値100%まで上昇して、目標値が100%となった調節弁Aの開度はほぼ全開になります(図2④)。調節弁Bは流体Aの流量に追従し設定した混合比率となるように開度が制御されます。

 (5)積算値が「プリバッチ値(バッチ設定値-プリバッチ設定値)」に到達すると、スローダウン設定(50%)までプログラム出力を絞ります(図2⑤)。さらに積算値が「バッチエンド値(バッチ設定値-漏れ予測値)」に到達すると、プログラム出力を0%にして調節弁Aを全閉にします(図2⑥)。調節弁Bも流体Aの減少に追従して開度を絞っていき全閉にします。

*  *  *

 このように2台のコントローラを組合せることにより高精度なバッチ制御と混合調節制御を同時に行うことができます。

バッチ機能付シングルループコントローラ 形式:SC200B 基本価格:500,000円 / 混合調節能能付シングルループコントローラ 形式:SC200B 基本価格:500,000円

*1 エムエスツデー』誌2014年7月号参照。
*2 エムエスツデー』誌2014年10月号参照。


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