エムエスツデー 2014年10月号

アプリケーション紹介

シングルループコントローラのアプリケーション

第3回 混合調節システム 機種 混合調節機能付 SC200B

 

 今回は、バッチ機能付 シングルループコントローラ(形式:SC200B、以下「バッチコントローラ」と称します) *1混合調節機能付 シングルループコントローラ(形式:SC200B、以下「混合コントローラ」と称します) *1 を使用した「混合調節システム」のアプリケーション事例をご紹介します。

 混合調節システムとは、2種類以上の流体を連続的に混合し、各流体の仕込体積(混合を開始してからの流量積算値)比率が所定の値になるように制御するシステムです。図1に簡単な構成例を示します。図1においてマスタライン(流体A)に混合したい流体Bを所定の比率で投入し、流体Aの流量パルス列信号qAの積算値(=QA)と流体Bの流量パルス列信号qBの積算値(=QB)を比較して調節弁を連続制御します。

図1 混合調節制御システム構成例  このように制御すれば、流体Aの流量が変動しても、流体Aの仕込体積QAと流体Bの仕込体積QBの混合比率Rn(割合)は常に一定となります(図2)。

図2 混合概念図

 なお、図1ではqAを「バッチコントローラ」に取込み、積算計として使用しています。これをマスタステーションと呼びます。図3には「混合コントローラ」の機能ブロック図を示します。マスタステーションからの再発信パルス列信号qA’(設定流量)の積算値に混合比率を乗じます。この再発信パルスqA’は、マスタステーションに取込んだqAと同等のパルス列信号であるため、qA’の積算値はqAの積算値QAと等価になります。このQAに比率を乗じた値QA’と流体Bの流量パルス列信号(測定流量)qBの積算値QBとの偏差QDVを算出します。そして、QDVが“0”となるようにPIDブロックでPI制御を行います。なお、ここではQDVが“0”の時にPIDブロックのPVがレンジの中心になるように、SPを50%に設定して、QDVをPVとして入力する前に加減算ブロックで50%を加算しています。

図3 機能ブロック図

混合調節システムのオペレーション

 

 以下に混合調節システムの操作手順の例を示します。

 (1)混合調節開始の準備を行います。「混合コントローラ」には、混合調節機能表示画面(図4)を搭載しています。画面にある「積算リセットボタン」を押すか、外部から接点を入力して測定流量qBのパルス積算値をリセットして“0”にします。リセット中は設定流量qA’と測定流量qBのパルスが入ってきても積算しないため積算偏差は生じません。

 (2)設定流量積算値QAに対する混合比率(%)を画面から入力します。

 (3)積算リセットを解除して、マスタラインに成分が流れ始めれば、システム運転を開始します。

 (4)混合調節制御がマスタラインの流量に追従できず積算偏差が大きくなった場合、2段の積算偏差警報出力機能により接点を出力してブザーやランプを点灯させることができます。

 (5)追従できなかったり混合の精度を上げたりする場合、「混合コントローラ」にはPIDのチューニング画面があるため、PIのパラメータを変更して混合調節制御をチューニングします。

 なお、ここではポンプなどの起動に関する操作については説明を割愛しています。

*  *  *

 このように積算偏差によるPI制御を行っているため、高精度な混合ができます。

図4 混合調節機能表示画面例

*  *  *

 このように、SC200Bはバッチ制御と調節弁のPID制御を同時に行うことができます。

*1 バッチ機能付 SC200Bについては『エムエスツデー』誌2012年7月号参照、
   混合調節機能付 SC200Bについては『エムエスツデー』誌2013年7月号参照。
   SC200Bの詳細形式、詳細仕様についてはホットラインまでお問合せください。
*2 測定流量積算値は、オペレーション画面の積算リセットボタンでリセットできる積算値で、
   1バッチ毎の積算値を表示します。トータル測定流量積算値は、積算リセットボタンでリセットできない
   積算値で、測定された積算値の合計値を表示します。


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