和歌山県和歌山市 本州化学工業(株)のくにまる®」と「無線データ通信モデム(形式:RMD2)」を用いた工場内の設備監視システム

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

今回は、和歌山市にある本州化学工業(株)を訪問し、敷地内の3つの異なった設備監視に導入されたエム・システム技研の無線監視システムについて、管理部 副部長兼工場企画グループリーダー 小畑様、技術部 技術グループ グループリーダー 三隅様、サブグループリーダー 笹村様、電気・計装担当の山本様にお話を伺いました。

エム・システム技研、以下エムと略称 本システム導入の経緯についてお聞かせください。


山本様 初めて導入したシステムは、都市ガスのデマンド監視システムです。以前、都市ガスのデマンド超過が発生しました。都市ガスの基本料金は単位時間あたりで使用できるガスの最大量(デマンド値)によって決まります。 デマンド値が高ければ高いほど、ガスの基本料金は高くなってしまうため、動力プラントの中央監視室にあるDCSでも監視を行うことにしました。しかし、都市ガス負荷計測器とDCSのある監視室までの距離が260mほど離れているため、負荷計測器から出力されるガス使用量のパルス信号を取込む有線の敷設ができません。また、距離が長く信号が減衰して正しくパルス信号を取込めないため無線の導入を決定しました。決定後すぐに、920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまるの導入前試験をエム・システム技研に実施してもらい、無線通信ができることを確認できましたので大変助かりました。


エム 本システムの概要や構成についてお聞かせください。


山本様 構成については図1を参照してください。都市ガス負荷計測器から出力された積算パルス信号をPLCに入力してから、くにまるによる無線ネットワークによりDCSまで伝送し、DCSでデマンド値の予測と監視をしています。ただ、パルスのON/OFF信号をそのまま送るのではなく、PLC内部で演算したデマンド積算の差分値をDCSに送信したいと考えていました。そこで、くにまる子機通信入出力カード(Modbus/TCP(Ethernet)用)(形式:R3-GE1)を使用し、差分したデータをPLCからくにまる子機にオープンネットワークで通信させることで実現することができました。


エム システム構築を行われたご感想をお聞かせください。


山本様 今回、くにまるの無線設定やPLCとの接続などの設定は自分たちで実施することにしましたので、エム・システム技研に個別セミナーを開催していただきました。設定方法を丁寧に教えてもらうことで、不明点はその場で解決できたのでエンジニアリング工数を削減でき大変助かりました。


エム 導入後、運用してどうでしょうか?


山本様 導入後、デマンド超過は発生していません。上手く管理ができています。
その後、焼却炉と管理センター間のデータ通信システムで、新事務所の建設にともない、使用していた架空線を新しい事務所を避けて再敷設する必要が発生しました。また、公道も挟んでいることから、これを無線化する際にくにまるを検討しました。都市ガスデマンド監視の件で、くにまるの使用実績もあり、導入前試験を行ってみたところ、結果が良好だったことから安心して採用することができました(図2)。
次に行ったのが、無線による屋外タンクの残量監視です。今まで、作業者が見に行っていたタンクの残量監視をDCSに入力して自動化する仕組みを無線で設計する際、同様にくにまるを検討したのですが、通信距離が長いためか導入前試験では良い結果が得られませんでした。そこで、エム・システム技研から無線データ通信モデム(形式:RMD2)を勧めていただきました。RMD2の機器単価はくにまるより高いですが、南北に500mほどある当社の敷地内のどの場所からでも中心部にあるDCSの場所まで電波が届くことを確認でき、この機種を採用しました。4点のタンクの液位信号(4~20mA DC)をテレメータD3シリーズとRMD2を使用してアナログ信号(4~20mA DC)をDCSに出力しています(図3)。
これにより屋外のタンクまで、わざわざ作業者が見に行く必要がなくなりました。

いずれのシステムでも低予算で無線化することができトラブルもなく稼働しているので、良い製品に出会えたと思っています。


エム 今後の予定などをお聞かせください。


山本様 新たに敷地内に点在している騒音計からの信号を無線で伝送し一括監視を行うため、I/O連結ユニット(形式:JC-IO)を使用して、くにまるで集約したデータをPLCに伝送することを検討しています。JC-IOはModbus/TCP通信で集約したくにまるのデータをSLMP通信でPLCに伝送できます。PLCからModbus/TCP通信でデータを集約する方法ではラダーなどによる設定が必要になりますが、JC-IOはPLCのレジスタに直接書込みができるため、PLCの設定が不要になり通信の構築が容易にできると期待しています。


「くにまる®」と「無線データ通信モデム(形式:RMD2)」を用いた工場内の設備監視システム

エム 本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム・システム技研をよろしくお願いいたします。

採用された製品のご紹介

  • ワイヤレスI/O

    形式 WL40EW3 icon

    Modbus/TCP(Ethernet)、920MHz帯特定小電力無線機器くにまる用のワイヤレスI/Oです。
    形式  WL40EW3
  • 少点数入出力ユニット

    形式 WL40W1-DAC4A

    Modbus-RTUの通信プロトコルを無線化してModbusのリモートI/Oと接続できます。
    形式  WL40W1-DAC4A
  • 多チャネル組合せ自由形リモートI/O
    R3シリーズ 通信カード

    形式 R3-NMW1 icon

    Modbus通信機能が付いた通信カードです。現場の計測信号をModbusで収集して無線で通信することができます。

    形式 R3-GE1 icon

    Modbus/TCP上のデータを異なるプロトコルの通信カードで扱うことができる通信入出力カードです。

    形式 R3-NMW1
  • 多目的テレメータ D3シリーズ

    icon

    D3シリーズなら、専用回線から無線まで様々な通信方法であらゆるアプリケーションにお応えできます。
    多目的テレメータ D3シリーズ
  • D3シリーズ、MsysNet®
    無線データ通信モデム

    形式 RMD2

    429MHz帯の無線データ通信モデムです。特定小電力タイプの無線であるため、無線局設置の許認可が不要で通信料金も不要です。
    形式 RMD2
  • 920MHz帯無線の特長

    ●920MHz帯は回折性が高く障害物に強い周波数帯です。
    ●ネットワーク構築は信頼性の高いマルチホップ方式です。
    ●長距離 見通し1kmまで届きます。
    ●免許申請は不要です。
    ●通信の配線工事が不要です。

    導入前
    電波試験
    無料
    ご一報いただければ直ちに伺います! 必ず導入前電波試験をお願いいたします。
    遠方や離島、計測箇所が多数にわたる場合など、費用について、別途ご相談させていただく場合があります。試験日程の調整につきましては、ホットラインまでお問合せください。

本州化学工業(株)のご紹介

本州化学工業は、1914年(大正3年)に創業者の由良浅次郎らが日本で最初にアニリンの原料となるベンゼン精留装置(経済産業省・近代化産業遺産認定:2009年、日本化学会・化学遺産認定:2012年)を設計・完成させ、アニリンの工業化を成し遂げました。また、翌年にはフェノールの製造設備を完成させ、合成フェノールの工業化も成し遂げました。当社は創業以来、パイオニアとして長年にわたり培ってまいりましたフェノール誘導品の合成技術を活かし、特徴のあるファインケミカル製品を創出・提供しております。
当社は、「Finechemical Specialistとして独自技術を開発、駆使し、価値ある製品を創出してお客様に提供し、お客様とともに発展していくことにより、人類社会の福祉の増進に貢献していく」ことを経営方針として、お客様、従業員、株主の皆さま並びに地域社会から真に信頼される存在となることを目指しております。
現在、この方針のもと、① クレゾール誘導品(家畜用飼料用ビタミンE、電子材料、酸化防止剤等の原料)、② ビフェノール(液晶ポリマー<LCP>、ポリフェニルスルホン<PPSU>の原料)、③ 電子材料(半導体、フラットパネルディスプレイ等の製造過程で使用)、④ 特殊ビスフェノール(特殊ポリカーボネート樹脂、特殊エポキシ樹脂の原料) の4事業をコア事業と位置付け、これらの製品を中心に主として情報・通信、自動車、医薬などのニッチ分野向けに国内・海外において積極的な事業活動を展開しております。

本州化学工業株式会社 和歌山工場
本州化学工業株式会社 和歌山工場
本州化学工業株式会社

本システムについての照会先:
株式会社エム・システム技研 
カスタマセンター システム技術グループ