エムエスツデー 2022年7月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 株式会社エム・システム技研は去る4月1日に、無事「創立50周年」を迎え、全社員でこの喜びをわかち合うことができました。私にとっては大変めでたく、嬉しい一日になりました。
 改めて創業当時を振り返ってみると、私がいうのもおこがましいですが、こんなに立派な会社ができあがった上、これだけ世の中が混乱しているというのに、創業の精神である「多品種、少量生産、短納期」を守り続けていられるのは本当によくやっていてありがたいことだと思います。それは株式会社エム・システム技研の社員全員が、ご注文いただいた商品の納期を守るために日頃から知恵を絞り、「非常事態に備えるのは当り前」の社風ができあがっているからです。

 創業から今日まで、変換器一つをとっても、その設計から作り方まで説明するのが難しい程の変遷を遂げてまいりました。創業の頃はプリント基板にリード部品をハンダ槽を用いてハンダ付けをしていました。そのうちに標準回路のハイブリッドIC化を進め、部品点数を大幅に削減できたと喜び合った時期もありました。しばらくすると両面にプリントした回路パターンを貫通の孔で接続したり、表面実装部品をチップマウンタでプリント基板に自動実装したりするようになりました。生産技術の進歩は目覚ましく、チップマウンタの高速化が進み、工場中のチップマウンタを高速形にし、その上実装部品の種類を増やすために複数のチップマウンタを連結して使うようになり、それをコントロールするサーバコンピュータも時代に合わせて高度化を果しました。
 これで人手によるミスもなくなり、信頼性が飛躍的に向上した上、人手でやっていた目視検査も電子カメラで自動化し、生産効率も大幅に向上させることができました。今では創業時に目指した「工業計器の商品化」を果し、「いつでもどこでも誰でも、それが必要なときに、あらかじめ公表されている価格で、かつ1個単位ですぐ手に入る工業計器の専門メーカー」として活動しています。その結果、電子部品の入手難に遭遇しても、電子部品の供給元に対し自社の生産の見通しからはじき出した需要予測を伝えることにより、必要な部品の確実な確保ができています。もちろん中には設計変更を伴うケースもあります。それもスムーズに設計部門、品質保証部門、製造部門が一体になって取組むことで切り抜けています。
 計装システムを構成するのに必要な工業計器の単体供給だけに絞った株式会社エム・システム技研の企業方針は、関係各位のご理解をいただいて、50年間赤字決算することなく成長を続けてまいりました。この事実をありがたく受け止め、次なる成長に繋げて行きたいと考えています。
 それにはまず
(1)次世代の変換器を打ち出して行きます。
 電子技術は「ムーアの法則」にしたがって進歩し、気が付けば高度なADC(アナログ/デジタル コンバータ)を内蔵したCPUのICチップが小さく高性能で、信じられないほど容易に入手できます。このICチップを用いて使いやすい小形で高性能な変換器をシリーズ化して商品に加えることにしました。その名も端子台形変換器タンシマル写真1)です。DINレール取付けができる上、片手で握れるサイズの端子台構造をした変換器シリーズです。電源は100~240V ACの「ワールド電源」になっています。 そのほかに24V DC電源用もあります。小さな壁掛け盤の中にもブレーカと並べてDINレールに取付けられます。CPUチップの入った機種はすべてPCスペック形になっており、パソコンから入出力の仕様や測定スパンなどを設定できます。

写真1 端子台形変換器 タンシマル M5・UNITシリーズ 写真1
端子台形変換器 タンシマル M5・UNITシリーズ
写真2 電力マルチタンシマル(透過写真)
写真2
電力マルチタンシマル(透過写真)

(2)次に同じ「タンシマル」の形状で電力マルチ変換器(形式:M5XWTU)(写真2)を発売しました。「電力マルチタンシマル」と呼んでいただけるものです。入力信号は単相、または三相の交流信号で、電圧信号は80〜260V ACです。電流信号はクランプ形CTの出力です。装置ごとの電源パネルの小さいスペースに取付けて使っていただけるように工夫しました。電源は電圧入力信号を流用しますので電源端子はありません。もちろんPCスペック形です。仕様の設定は無料でダウンロードしていただける設定ソフトによりパソコンから行います。もちろん「無料設定出荷サービス」もあります。「カーボンニュートラル」の市場要求をまとめると、この「電力マルチタンシマル」に辿り着きました。
写真3 電動アクチュエータ ステップトップ®(開発中)
写真3 電動アクチュエータ ステップトップ®(開発中)
・開発中製品のため仕様・形状が変更になる場合があります。ご注文・ご使用に際しては、
必ず最新の仕様書でご確認ください。
(3)「ステップトップ®」(写真3)の新シリーズを発売します。
 直流の電流パルスで力強く駆動するステッピングモータが近年開発され、それに改良が加えられたものを組込んだ電動アクチュエータは、性能が向上し使いやすくなりました。そこで、これを機に「ステッピングモータを使った電動アクチュエータ」を見直し、統一した考え方で機能を整理しました。その結果、ストレート形と回転形に標準化しました。
 新しい機能としては、Modbus/RTUを付けました。したがって
(a)PLCに直結できます。
(b)外部からのスパンや開閉速度などのパラメータを設定できます。
(c)Modbus通信ができますので、入力信号や開度出力信号がModbus経由で受発信できます。配線のマルチドロップもできます。またモジュラジャックにプログラミングユニット(形式:PUー2A)を接続すれば、直接各種パラメータをプログラミングユニットから設定できます。もちろん4〜20mA DCによる開度制御指令信号を直接入力できます。4〜20mA DCの開度出力信号も用意しました。電子回路はすべて端子ボックス内に納めました。カバーの材質を透明のポリカーボネートにすることで、電源のon/offや状態表示用のLEDランプが外から見えるようにしました。
 このステップトップ®の出現で大量に電気を消費するコンプレッサを含む空気源装置が不要になり、装置の取扱いが簡単になる上、カーボンニュートラルにも大いに貢献することになります。

 このようにして次の50年に向けて活動を始めていますので、限りなく発展する「株式会社エム・システム技研」に引続きご期待くだされば幸いです。

京都商品センターの製造ライン


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